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怪盗結社ファントム・ガールズの事件簿  作者: 一星
第六章 盗聴怪人
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さて、迎えに行こう

 スーツ姿の男は、森の中をゆっくりと歩いていく。


 ゆっくりと。音を消して。気配を殺して。それでいて、自然体で。一見すると、ただ散歩しているようにしか見えない。いや、こんな夜中にスーツで森を歩いている光景がそもそも違和感でしかないので、どうあれ、ただ散歩しているようには見えないか。

 手元の端末に表示されたGPSの反応を頼りに、その場所へと向かって進む。

 そして、


(……ここが、そうか。随分とご立派なことで)


 森を抜け、男の目の前に広がる景色。海を背にして崖の上に聳え立つ、広い敷地の大きな館。――――怪盗結社〝ファントム・ガールズ〟のアジトがそこにあった。


 これだけ目立つ拠点が、よくもまあ今まで見つからなかったものだ。


 一流の怪盗が揃う結社だからこそか。わずかな隙も見逃さず、どこにでも忍び込んでどんな財宝も盗み出す、令和に生きる本物の怪盗達。その犯罪スキルは言うまでもなく、セキュリティにも転じれる。わずかな隙を全て埋めれば最強の要塞だ。


 でも、セキュリティというのは外敵に対して講じるものである。

 内側は得てして脆い。

 内側から破壊してしまえば、どんなセキュリティも意味を成さない。


(さて……〝あの人〟は、仕込み通りに動いてくれているかな? 予定通りなら今頃……)


 近くの草むらで、音も無く影が揺らいだ。

 気付けばそこに、特殊部隊のような黒い装備を身に纏った男が、アサルトライフルを持って立っていた。


『総員、配置完了。ポイントは全て潰した。逃走ルートは無い。ネズミ一匹逃がさない』


 黒装備男から、声は発されず、ハンドサインのみで放たれる無音の言葉。対するスーツ男もまた、ハンドサインで無音の返答を返す。


『了解。そのまま待機だ。爆発にも備えておけ』


 雲に隠れていた月が徐々にその姿を現していく。

 満月に近い、輝かしい金色。

 月光を避けるように男は、木の陰にそっと隠れる。夜の闇が正装代わりの裏稼業にとっちゃ、少し明るすぎる光だ。


『一応確認しておくが、武力はあくまで保険。お前達の力を借りるのは、交渉が決裂したときだけだ』

『御大層な〝話し合い〟だな』

『丸腰で行くと無礼だろ?』


 それじゃあまるで、相手を信用しているみたいじゃないか。

 裏社会に信用は無い。武力も含めて〝話し合い〟だ。抑止力ゼロの丸腰で挑もうなんて、舐めプでしかない。

 月が生み出す木陰から、男は館の方を覗き見る。


『さて、迎えに行こう。我々〝暗渠〟の新たな仲間を』


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