表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/24

第18話:鉄と秩序

俺の独走と、ハイペリオンの不穏な動き。

それを、「秩序」を重んじる連中が見過ごすはずもなかった。

ある日、ネオ・コンプトンの空と陸は、突如として沈黙した。


通信網は寸断され、リニアモーターカーは緊急停止する。上空には、これまで見たこともない漆黒のステルス戦闘機が、威圧的に旋回していた。

ノヴァ・アームズ。そして、都市インフラを掌握するアトラス・インフラ。

「軍産派閥」が、ついに実力行使に乗り出したのだ。

街は、企業間戦争の様相を呈し、市民は混乱に陥っていた。

だが、俺には関係ない。ただの障害物が増えただけだ。



俺は、アリシアから与えられた次のミッションを遂行していた。

その道中で、奴らと正面からぶつかった。

ノヴァ・アームズの精鋭部隊。その動きは、これまで相手にしてきたギャングや警備兵とは次元が違った。統率された、一切の無駄がない動き。


そして、その部隊を率いていたのは、巨大なパワードスーツだった。

歩く要塞。暴力の化身。

その機体から響いてきたのは、女の声だった。


「面白い。ハイペリオンの犬が、これほどの牙を持つとはな」


スピーカーから響く声には、余裕と、戦士だけが持つ闘争への喜びが満ちていた。

俺の魔改造ドローンが放つ変則的な攻撃を、彼女――ノヴァ・アームズCEO、マリア・「アイアン」・ヴァスケスは、圧倒的な軍事力でいなしていく。

次元が、違いすぎた。



激しい戦闘の末、俺のドローンは半壊し、活動限界を迎えていた。

マリアは、とどめを刺さずに、通信回線を開いてきた。


「見事な腕だ、戦士。ハイペリオンの小娘の言いなりになるな。お前のような男は、戦場でこそ輝く」


彼女は、堂々と、悪びれもなく言った。


「私の元へ来い。本物の力をくれてやる」


ゼウスの芸術家、リカルド。

ハイペリオンの悪魔、アリシア。

そして、ノヴァ・アームズの将軍、マリア。


巨大企業のトップたちが、次々と俺に接触してくる。俺の力を求めて。

その時、俺は理解した。

俺はもう、スラムに住むただのガキじゃない。

世界のパワーバランスを揺るがす、危険な「駒」になってしまったのだと。


兄貴を救いたい。

ただそれだけだったはずの俺の物語は、巨大な企業間戦争という、血生臭い渦の中心へと、その舞台を移していた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


面白い、続きが気になる、と思っていただけましたら、

ブックマークや、下にある☆☆☆☆☆から評価をいただけると、大変励みになります。

どうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ