低レベルな戦いここにあり
「なぁ~レイ~俺有給とってるから旅行行こうぜ!」
俺はうきうきした表情で相方のレイに向けてそういった。だが………
(は~つまんねーのぉ)
レイはちっとも興味のなさそうな顔でこちらを見ていた。
しかも溜息を吐いてる。
俺はそんなレイの姿を見て結構がっかりしたのだ。
だっていつもなら笑って突っ込んでくれるはずなのに。最近のレイは疲れているな。
誰のせいなのやら?もしかして俺のせい?いや俺は世界最高のいい子だからな!
「!?」
「嘘だ!りおんが仕事をやってる?えっ?」
「ニート という仕事をな!」
キラーンッ
無駄な効果音がこの世界に響き渡る。
そして俺の超イケメンな決め顔がきらびやかに輝いた。
「ぷ……www」
(自慢すること間違ってるでしょ!決め顔が地味にうぜぇーーwニートをドヤルナw)
え?
なんで笑っているのかな?
俺は…ちゃんと仕事をやっていることをレイに打ち明けたというのに。
どうして?
やっぱ天才だから凡人の考えが理解できなかったのか。
これこそ俺天才である証拠!!!だがマジで理解できないというのが本音である。
「あっわかった!有給って言ったのもニートだから普段の空いている日々を少しかっこよく言いたかったんだ!なるほどぉ~理解できたよりおんっ」
ぐさっ
今言ったレイの一言が俺のみぞおちあたりに強く突き刺さった。
「なぜ……わかった…」
俺はなぜわかったんだと弱弱しくあるものの本心を口にした。
いや…口にしてしまった。実をいうと俺の心のハートはすでにボロボロなのである。
レイは謝る気がないのか笑いをこらえながら、こちらをじっと見つめていた。うざい。
俺たちは何もない草原に二人で来たというのに。
というのに。
なぜ俺はいじめられなきゃいけないのかな。
レイの言葉は一言一言がきつすぎるんだよ。そうとても心が持ちそうにない。
だが冒険の相方をレイだと選んだのはこの俺だ。だから何とも言えない。
歯向かいたいけど歯向かえない。
これが現実……………………か。
だけれども俺はレイとの冒険が楽しく思えているのもまた事実。
心の崩壊を守るか。
心の楽しさを守るか。
どおすればいいんだぁぁぁぁぁーーーーーーーー。
「ねぇりおん。空に何か見えない?」
はぁ。目が狂っちゃったんじゃないのと言おうとした矢先。
俺も信じがたいものが目に映る。
どっかぁぁーーーーーん
「はっはっはっはっはっはっはぁぁーーーー!!!」
そう。俺が目にしたのは空から急降下してくるなにかだったのだ。
そのなにかが俺の目の前にエラそうなポーズで立っている。
だが何かではなく人型なので魔族か…人類だろうな。
どうだ?俺もなかなか博識だろ。
「われは有名なので名乗らずとも………」
は?誰だよ。と言いたくなってしまった。だが俺は優しいのでわからないということを親切にいうことにした。そう。俺は優しいからな。
「誰ですか?」
「え…………?」
「われは魔………………」
「まぁ知らなくてもいいや。」
俺は思わずそう言ってしまった。でもちゃんと思ってることを伝えるといいって誰かが言っていたような気がするんだけどな。まぁ最初のほうの記憶はあいまいだしまあいっか。
「え?」
「貴様らあぁ!ふざけるなよ!このわれの聖なる自己紹介を邪魔しやがって!」
「あのぉーー。魔王なのでしたら聖なるじゃないんじゃないですか?」
「はぁ?そんなのどうだっていいだろ!」
レイが正論(?)を魔王らしき人物にもぶち込んだ。
レイは怖いもの知らずなのかな?魔王だぞ?地理になりたいのと一緒だよね。
俺だったら土下座して許しを請うぞ。
仮にも勇者だが、死にたくないし。俺は死にたくないし。
勇者やって死んで称えられるのはなんか嫌だし。
どうせならこの世にいる全体の魔王を倒してから生きているときに称えられたい。
俺がそう心で語っているうちに魔王とレイの言い争いはどんどんヒートアップしていたが、俺は全く気付いていなかった。
「魔王やってるなら実力見せてくださいよぉ!」
「生意気ながきめ!われの聖なる技を平民に見せるわけにはいかんのよ。」
「だ・か・らぁ!てめぇが本当の魔王なら聖なるじゃねぇって言ってんだよ!」
「お前は……」
「ストップーーー!」
俺はあんだけ入りたくなかったけんかを止めに行ってしまった。
「ほんとにお前らは死にたいのか…そうか…」
「必殺っ」
これはもう積んだな。昇天いたしまぁす。
ってこんなあっさり死ねるかよぉ!
最後まで醜くあがきたい…がそう心から思っても手足が動かない。
どこかもう駄目だと思ってしまった心があったのだろう。
「スーパーウルトラミラクルサイきょーバーストッ!!!」
『説明しよう。ただのパンチなのである。』
あ。
痛くない。なんだ。
てかこいつ本当に魔王か?俺の知ってる魔王はもっと強くて魔法戦を好むんだけど…。
違う。俺が強すぎるだけなんだ!
「なにぃーー!?われの必殺技が効かないだと!?貴様らはなにものなのだ!」
「俺たちは一応だけど…勇者やってるんです。」
「貴様ら!そういう大切なことは最初に言え!次からは名乗れ!」
「あっはい。で途中で名乗りを遮ってしまいましたが…名前は何というのですか?」
「われは魔王キングオブレジェンドである!」
(りおん以上に決め顔がうざいな。俺には変な名前にしか聞こえないが。)
「かっこいいぃぃ!ぜひともこの俺を子分にしてくださいっ」
俺は本心からキングオブレジェンドがかっこいいと思った。
この名前の人なら一生ついていけるなと。
ばしっ
俺は思いっきりレイに叩かれた。
だが心を崩壊させるひどい一言よりはましだ。
だがなぜ叩かれなければいけないのかがわからないかった。
「バッカじゃないの?お前か・りにも勇者なんでしょ?戦え!」
え?あ?そうだね。
かり。という言葉が聞こえたのは昨日せいなのだろうか。
俺の勘違いであってほしいな。
だけど、こいつ弱いから俺の足元にも及ばない。はず。
うん。はずだ。
「いやだあぁぁぁーーーーーやっぱ俺ヤダ!」
「はぁ?」
レイに強くンにらまれた。
俺は自分の心をはっきりと伝えただけなのに。
それの何が悪いのだろうか。
「ちっ俺の技を見せてやる!」
目の前で失神しそうなほどおびえているキングオブレジェンド。
どうしてでしょう。相手は最初、あんなにもエラそうな態度であったのに。
べちっ
おれはデコピンをした。というか剣で戦えばよかったのだが俺は弱い者いじめが嫌いだからな。
だからあえてデコピンをした。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」
そう。デコピンをしたのに。なんだよこのやられ具合は。
これが世の魔王だったら世界一瞬で平和だよ。
いや、お俺が強すぎただけだな。ってことでこいつは雑魚魔王って名前にしよう。
「何だこの魔法わぁぁっ!」
え?これのどこが魔法なんだ?そう思って回答が遅くなったりおんに代わってレイが。
「デコピンっていう魔法だよwww」
はぁ?wwwマジ笑えるんだけど。デコピンが魔法wいくらおかしなレイでもそれがないでしょw
デコピンが魔法はないでしょwそして笑いを必死にこらえていたがついに吹き出してしまった。
「えぇぇいっ笑うでないぃ!」
「なんで?」
「われの前で人が笑うとは魔王の威厳が損なわれるであろう?」
「威厳とかそういう前にもう風格もないですw」
俺は笑いながら言ったので自分で思うのもなんだがとてもうざいと思った。
「ほんと貴様ら癪に触る。もういい!我城に帰る!」
「次ぎあうときに強くなっとけよぉ~!」
俺たちは最後また会おうな、みたいなことを言ってしまったけれど。
正直言ってもうあんなめんどくさい奴とかかわるのはいやだ。だからそんなこと言わなければよかった。
と、後悔してしまったりおんであった。
♦魔王の話
「はぁ~疲れたなぁ。ほんと弱かったよなアイツ。」
「ぇ?そうかな?りおんと変わらないように見えたんだけどな。」
………………………ん?
あんな雑魚が俺と同等だって?聞き捨てならん。
「どこが一緒か言ってみろよ。」
「傷ついても知らないよ。ええっとね。決め顔が地味にうざいのと、自分が天才だの、最強だの言っているところでしょ。ちょっと言っただけで心が折れちゃうところでしょぉ~……………………」
俺がちゃんと隣にいると知りながら容赦なくぶち込んでくる。
もう聞きたくない。あとまだあるの?っやめて。もういやだ。やめてくれ。
レイはやっとりおんの苦しそうな表情に気が付いた。
「ごめんね。だって知りたいかな?って思っちゃっただけだから。」
「うん…」
俺たちはとても悲しい気持ちを抱えながら草原を歩いていた。
「ねぇレイ?レイって魔王何人知ってるの?
「はい?なんだよ急に。」
「知りたいからさ。いいだろ?」
最後までご覧になっていただきありがとうございました!どうでしたでしょうか。
私個人は雑魚魔王が好きですね。
よろしければ皆様の好きなキャラクターを教えて下さい。