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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
王都
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魔女

今の租借地は元々宰相が所有していたらしいが

人もほとんど住んでおらず思い切り過疎っていたので

随分と前に陛下に返上していたらしい。


王都周辺に領地を持つには、王家または公爵家つまり

王族の血縁でなければならない。

また遠隔地であったとしても領地貴族は辺境伯家以上の

家格の貴族でなければ領有はできない。

そのような不文律があるので、俺が王都周辺に領地をもつには

公爵の爵位が必要なわけだが、租借地のままで十分だと叙爵を断れば

それでは税制改革がかなり遅れる

公爵として他の貴族の模範となって欲しいので

是非受ける様にと説得されたが

俺は王家の血は引かない平民なので受けるわけにはいかないと突っぱねた。


「何をバカなこと言ってるんだい。

 君はもう王家の一員だよ、俺の娘を(めと)っているじゃないか」


・・えっ? 何の事? 思い当たるふしは・・あり過ぎるが・・

陛下の顔をじっと見つめ・・・・あっ!!

陛下の髪は赤い・・これは悪魔族特有の色だ。

と言うことは・・赤髪のお姉さんが娘?????

まさか?あのバインバインだと!!!

・・・待てよ・・娘は12歳で軍務卿の嫁になるのを避けて

近衛騎士団に入団していたはずだから・・・うん??

あの赤のバインバインが12歳だと!!!!

でもみんながお姉様って呼んでいるから違う・・

悪魔族は髪が赤いが、お姉さん以外いない・・

ちなみに俺は特殊で黒だが黒もいない・・

俺が悩んでいると


「いや~、娘からの手紙を読んだときは正直びっくりしたよ。

 まさか君は手を出さないだろうし、アイラ辺境伯やディアナ嬢が

きっちりガードしているとばかり思っていたからね。」

・・・ダレのこと?分からん・・


「まさか、(とぼ)ける気じゃないだろうね。

 私の娘ブラウ・ファラ・マイオス知らないわけないよね!」


・・・・知らん

聞いたことが無い名だが・・そんな名前いたか?

そう言えば俺が名前を知らない女性が一人いる。

・・本当はたくさんいるけど。

まさか、あんなに可愛い子が陛下の娘?・・ありえん!


と思った時、コルネ氏が慌てて入室して陛下に耳打ちし

陛下は度肝でも抜かれたか・・(ほう)けてしまった。

俺は陛下の娘の事で頭が一杯になった。

大変な事をしてしまったという自覚はあるが、責任は取る・・

責任とって処刑とかないよね?・・それなら取らない!

取れなければ・・皆を連れてどこかに逃げる・・その覚悟はある!


「とんでもない事をしてくれたね。

 ノーヴ公爵さぁ~・・・

 この責任取ってもらうよ!!」


俺は陛下から二人の魔女の話を聞かされた。

一人は赤髪の魔女・・紅蓮の魔女またの名を狂乱の魔女とも言う。

もう一人は銀髪の魔女・・鋭牙の魔女。

この二人の魔女は最も強力な魔法を使い(こな)

最強の魔法師と言われているらしい。

また紅蓮の魔女は無限の時を生きているとも言われ

各国から非常に恐れられてもいる。


コルネ卿は俺が公爵と呼ばれたことに

驚きと喜びに満ちた顔に一瞬だけなったが

その後どうしましょうか?という苦渋に満ちた表情になった。


陛下の娘の責任は取ります・・が

後の二人は・・知りません!!!

陛下は娘の件は俺を信用し任せると言ってくれたが、

今後は陛下が自分を父と呼べと強力に念押ししてきた。

・・呼ばないし!


二人の魔女はこれまで王家との契約により束縛され

暴れたりする事もなく静かにこの国で暮らしていた。

しかしひと月程前に王家との契約が切れ自由の身となった。

そして二人は俺の許へ自ら進んでやって来た。

初めは興味本位の暇つぶし程度で俺の許へと足を運んだらしいが

興味が本気へと徐々に変わって行ったらしい。

そして二人王室に対し絶縁状を送り付けた。

これで王国との関係は一切無く、王国も干渉するなって事らしい。


陛下は娘よりこの二人が心配らしく、とにかく抑えてくれと再三頼んできた。

もう既に、他の事はどうでもよくなった感じで頼んできたが

俺としては陛下の娘の方が気になって仕方がない。

急ぎ街へ戻った・・・ちなみにこの街もロンヒルと名付けられた。

何かややこしい、ロンヒル辺境伯領にロンヒル街にロンヒル公爵領。


アイラに王城での出来事を伝えたら(スケベ元帥は伝えてない)

街中大喜びだ・・大変だ・・どうしよう・・困ったのは俺だけだ。

国家経営戦略に口出しはした。

俺は官僚でも貴族でもないので適当な事が言える・・責任無いし。

しかし今後はマジにヤバイ・・他人事だから言えた‥無責任だし。

この街の正式な責任者になってしまった。

失敗したからと言って逃げ出すこともできない。


今騒いでいる皆を見て不安でいっぱいになった。

責任の重大さで()(つぶ)されそうになっている。

皆を幸せにできるだろうか?街の運営を上手くやれるか?

今まで描いて来た街の構想が全部不安で塗りつぶされてしまった。


「おや~、どうしたんだい、そんな(つら)そうな顔して。」

ふと顔を上げれば魔女二人が俺の顔を(のぞ)き込んでいた。

今の俺は情けない顔をしているのだろう。

俺は二人に抱かれ彼女たちの胸に(うず)もれている。


「素敵な顔をなさっています。流石私たちの旦那様です。」

銀髪の魔女メルテが俺の顔を自分の胸で包み込むようにして言った。


「本当だね、他の貴族たちには出来ない顔だよ。

 真剣に領民の事を考えている顔だね・・素敵さ。

 こんな顔した貴族とか今まで一度も見たことがないさね。

 やはりノーヴ様は最高の男だよ。」

・・・いや、違う・・ビビりでヘタレでどうしようもない男です。

赤髪の魔女アグラットが俺を(いや)そうとする。


「心配することは何もないよ。 

 ノーヴ様はやりたいと思った事だけ 

 どんどんやれば良いだけさ。

 ほら周りを見てごらん。」


いつの間にか皆に囲まれていた。

落ち込んでいる自分を見られて恥ずかしい気持ちだ。


「「「「ノーヴ様、全部私たちに任せてくださいね」」」」



みんなに心配をかけてしまった・・・


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