宿舎
ご覧頂きありがとうございます。
本日2話更新予定です。
1話目になります。
近衛騎士団の宿舎は、詰所同様狭かった。
部屋数こそ多いのだが、一部屋当たり6~8畳くらいの広さに10名前後が寝泊まりするようになっている。
魔法騎士団と呼称されていた時代は敷地面積がここの20倍以上の広さだったらしいのだが、近衛騎士団と変更された際に大幅に縮小され今に至ったらしい。
まあ軍務卿の指示によるものだろうと思われるが・・酷い。
軍の施設であれば軍務卿に改善要請などするのだろうが、近衛騎士団の施設なので要請相手は王家になる。
国王と会う機会はあるだろうから、その時にお願いしよう。
しかし、トイレ丸見え囲い無しって、森の中のトイレと同じだった。
道理で彼女たちが初めて森の訓練場に訪れた時、違和感なくトイレが使用できたわけだ。
ここには風呂は無く洗い場のみ、中庭で囲い無し。
以前森のトイレで囲いを設置しようとしたら反対されたので、ここでのトイレ、洗い場の改築?には、皆の意見を聞くことにしよう。
今回は強制的に改築させるけどね。
建物自体もなにやら古ぼけた石造りの建物で、強度に問題有りって感じだ。
森にあるログハウスの方が耐久性に優れている様に感じる。
いっその事、この敷地の宿舎全体を改築しようとは思うが
近衛騎士団の宿舎なので王家管理だ。
陛下の許可が必要になるのだが、王宮に行くのは面倒なので悩む。
一応アイラに相談しようと思い探したら、何やら揉めている。
一度も森に来ることが無く王都に残っていた近衛騎士団の今の師団長が、
アイラに文句を言っているみたいだ。
アイラが凄く謝っているのだが、誰かが何かミスでもしてしまったのかもしれない。
揉め事の仲裁など不得意なのだが、放置するわけにもいかないので、
揉めている訳を聞いていると
王都に残っている近衛騎士団も森に呼び寄せるので、
それまで我慢して王都に残るようアイラは言い渡し
大隊長のうち1人に近衛騎士団長を任せて
自分の隊を編成し森にさっさと行ってしまった。
必ず森に呼んでくれるものと信じ待っていたら、
呼ぶどころか森に行った皆が帰って来て
森に行けないことを知り約束が違うと怒りだしたらしい。
どうしてそんなに森に行きたかったのか訳を聞いたら
初めて森に滞在した連中が王都に比べ森はすごく生活し易く、
温泉もありトイレも素晴らしい。
訓練もかなりきついが充実してすごく楽しいと吹聴しまくったので
皆憧れを持ってしまったという事だった。
・・・なるほど、庇い様がない・・
俺は王都に残されていた団員たちを全員庭に集めて自己紹介をした後、
宿舎を含め様々な改善要求を王室に行う事を約束し
皆の了承を取り付けたが、何故かウケてしまった。
王宮で貴族から言われたことを題材にした自己紹介が面白かったらしい。
「え~、森から来た田舎者の礼儀知らずで、下民の獣扱いされたノーヴです・・」
まあ自虐?ネタで皆の剣呑とした雰囲気が消えたので良し、としよう。
アイラに頼んで主だったメンバーに集まってもらったが
20人程度が入る事の出来る部屋が無い。
仕方が無いので庭で輪になった簡単な会議?を開始した。
ほら、そこ、座り込む時は膝を立てない、見えてるでしょ・・
王都で初めて会う騎士団員もいるので、何か意見でもあればと思い
発言を促すが何も言ってこない。
慣れるまでは仕方がないと思い、議事進行をアイラに任せた。
本日の議題の主なテーマは宿舎の改築と指揮権の確認だ。
まず指揮権だが、この宿舎にはアイラ辺境伯と近衛の2師団が存在している。
指揮系統が異なるのでそれを統一させるが、それは思ったよりすんなり決まった。
もともと、アイラの師団は近衛騎士団なのでもとの形に戻るだけだ。
何も問題が無い筈だったが、俺が司令官という立場になってしまい
俺の中ではそれが一番の問題になった。
アイラが司令官になってくれれば良かったのだが
アイラは司令補佐になると言って譲らない。
ただ、全軍はアイラの指揮下に入るようにしたので問題は解消した。
俺は名目上の司令官となって実質的にはアイラが行う様にもっていった。
軍の指揮なんて出来るわけない。
会議は無事終了・・・するはずだった、アイラが余計な事を言わなければ。
宿舎の庭は混沌の時代へと化した。
「最後に皆に通達しておく。
夜間、ノーヴ様に近づくことは限られたメンバー以外禁止だ。
この場にいない団員にも周知徹底すること。以上、解散」
「「「「ちょっと、まったー!!」」」」
アイラの師団も、近衛騎士団もみんな元気だ。
おお~、凄い声でてるね~
あ~、ほら、そこ、スカート捲り上げない。
見えるような動きは禁止で。
そう、そう、動くなら上品にね。
うん、元気があってよろしい!
・・・おれ、もうしらん・・・




