表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
バーレン
577/596

失念

メタンティ・コニャンとの戦いが始まった。

戦いと言って良いのかは分からない。

ある意味戦いと言ってはいけない様な気もする。


戦った内容はこうだ。

一方的にメタンティが殴り掛かるがそれを俺が全て避けた。

猫人族特有と言うべきか彼の動きはかなり速い。

高速で動き回り俺を撹乱するつもりだったのだろう。

彼の最初の攻撃を仰け反る様に(かわ)すと

正面からの攻撃は当たらないと思ったのか

四方へと飛び何処かともなく攻撃を仕掛けるようになった。

しかしその程度で俺に攻撃を当てることは不可能だ。

全てを(かわ)し彼の疲れを待つ。

あれだけ激しく動き回るのだ。

直ぐに疲れるに決まっている。

・・・ほら、息遣いが荒くなった・・・


「ひ、卑怯だぞ! 

 僕にばかり攻撃させて・・・」


えっ? 勝手に攻撃してきて卑怯者呼ばわりか・・


「ぼ、僕に殴られろ!!!」


殴られろ、って言われてもね~

痛いの嫌だし・・・

殴られてもダメージが無いのは分かってはいる。

しかし衝撃はあるのだよ、君・・と言いたいが言わない。

痛覚無効化の魔法を掛ければ痛くは無いが

そんなことまでしてわざと殴られる必要は無い。


「メタンティ、ゴチャゴチャ言わず戦え!!」


ほら、ノラネの叔父さんが怒ってるぞと言いたいが言わない。


こちらから攻撃を仕掛ける気にはならないが

何もしないのも芸が無いと思い

彼が攻め込んだのに併せ足を掛けてやると

メタンティは当然の如く派手に転んだ。


「この僕の八双飛びを打ち破るとは、なかなかやるな・・」


大きく転んだメタンティは息を整えながら立ち上がると

透かさず負け惜しみを言うが八双飛びって何?

と思ったのは秘密だ。



メタンティは方々より攻撃を繰り返す。

その速度はかなり速くはあるが・・・単調だ。

多方面からではあるが直線的に攻撃を繰り返すだけなので

避けることは造作もない。

彼は単調な攻撃ほど(かわ)し易い攻撃は無いと気が付かないようだ。

たまに向きになった攻撃が混じるがその度に足を掛け転ばす。

まあ力を込めるだけではダメなんだと

教えているつもりなのだが彼はそこまで思い至らない様でもある。


「や、やるな・・・

渾身(こんしん)の攻撃に恐れをなし僕を転ばせるとは」


意味不明である・・・何が言いたい?

メタンティは先程から転ぶたびに同じ言葉を繰り返す。

その言葉にどんな意味があると聞きたい気分だ。


「そこまで、勝負あり!!

 メタンティの負けだ」


ノラネの言葉に呆然とするメタンティだが勝敗は誰の目から見ても明らかだ。


「ぼ、僕はまだ負けていません!

 奴の方こそ僕の攻撃を避けるのが精一杯なんですよ?

 負けは奴の方です!!!」


メタンティの言葉は負け惜しみではなく真剣にそう思っている様だ。

ノラネは仕方が無いと言わんばかりの表情を作り俺に言う。


「おい、小僧!!

 何時まで茶番を俺たちに見せるつもりだ?

 いい加減に終わらせろ」


ノラネは俺が手を抜いているのもお見通しの様だ。

叔父であるノラネが言葉を言い終わると同時に

メタンティは俺に攻撃を仕掛けるが相変わらず直線的な攻撃だ。

俺もそろそろ飽きた頃でもあるのでカウンターを繰り出した。


カウンターと言えば聞こえは良いが

相手の攻撃に合わせただ単に拳を突き出しただけだ。

格好としてはその拳にメタンティが突っ込んできたことになる。


高速で俺の伸ばした拳に突っ込んだのだ。

当たりどころが良くてもかなりのダメージになる。

当然のごとく彼は失神した。


この事態に周囲の反応は無反応である。

『よくも王子を!!!』とならないだけマシだ。


「勝負あり、小僧の勝ちだ」


無機質にメタンティの叔父であるノラネが宣言する。

そこまでは良い。

俺が勝ったのだ。

問題なく猫人族は引き上げてくれるだろう。


「約束は約束だ。

 俺たちは引き上げるし魔族に文句も言わない・・・

 ただなぁ~、ドラムスは返してもらおうか」


あっ!!! 忘れてた・・どうしよう?

返せと言われても返せるはずもない。

開き直るしかないのか?

ドラムスに関し詳細を説明し返還不可と納得してもらうか?

果たしてそれで納得してくれるか?

また戦争だとか言い出さない?

不安要素はまだ残っていた。

と言うより今回の揉め事の根源とも言えよう。

・・ドラムスを失念していたのは秘密だ。






ドラムスよ、失念してゴメン!!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ