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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
バーレン
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盲目

メタンティは恋愛に対し傲慢なようだ。

ブラウを幸せに出来るのは自分しかいないと信じて疑わない。

裏を返せばそれだけブラウに恋慕していると言えよう。


メタンティの恋愛論はかなり続いた。

呆れるほど長い時間を費やした気分だ。


「それでメタンティさん、情報は彼女たちから

直接得たわけではないんですよね?」


「と、当然です、高貴な彼女たちにそう簡単に

会えるわけがないじゃないですか」


「では仲介役がいたと?」


恐らくその仲介役が真実を捻じ曲げ純真無垢なメタンティを嵌めたのだろう。

恋は盲目に陥るという心理状態をうまく利用し

彼を操ったのではないかと思う。


「それは言えません、彼らの名誉に係るので」


彼らだと? 複数いるってことか・・・


「僕はいるとは一言も言ってない」


いるって言っているのも同じだろう。


「メタンティさん、君はその仲介役に(だま)されてるんだ」


「はは、何を言い出すかと思えば・・

 僕のどこが(だま)されていると?」


自信たっぷりに(だま)されてはいないと断言するが

その根拠は一体どこにある?


「僕はね、仲介役からブラウさんの事を色々教えて貰ったんだ。

 彼女がこの僕を如何に愛しているかということをね!」


あ~ぁ・・こいつ、色ボケにも程がある。

いや、この純真な少年の心を(もてあそ)んだ奴を憎むべきだろう。

女性経験の無い少年は恋に理想を描く。

その理想に近い情報と言う名の虚報を与えれば簡単に(だま)されてしまう。

当然かもしれない、理想が現実へとなるのだ。

誰もが夢描く恋愛シチュエーションを

現実のものに出来るとなると舞い上がってしまう。

憧れの彼女が自分のものにと思うだけで

昇天してしまうのは想像に難くない。


メタンティの自分にとって都合の良い妄想を

打ち砕くようで申し訳ないが彼に真実を告げた。

ブラウはメタンティの事を何とも思っていないことを。

思っていないどころか知りもしないだろう。

アザリアの式典の際には数多くの来賓への挨拶など多忙を極め

誰とどの様な言葉を交わしたか定かではないはずだ。


「そ、そんなことは無い、君はやはり大嘘つきだ」


真実を教えると嘘つき呼ばわり、もう病気としか言えない。


「知っているんだぞ、僕は・・

 君はお気に入りの女性に魔女の名を(かた)らせているそうじゃないか。

 オッパイの大きな女性を魔女の名を(かた)らせ彼女たちの自尊心を傷つけ

 同時に魔女の名を(おとし)める。

 何と狡猾(こうかつ)な奴なんだ、君は!!」

 

ここからは俺の悪口のオンパレードだ。

俺を悪く言うのは一向に構わない。

聞いている振りだけして聞き流せばいいだけだ。


「僕はね、そういう君の魔の手から彼女たちを救い出すんだ。

 ブラウさんたちを解放しろ。

 僕のもとに彼女たちを渡すんだ!

 ()もなければ血の雨が降ることになるんだぞ」


血の雨って・・どういう意味?


「僕はね、暴力は嫌いなんだ。

 しかし彼女のためやむを得ない・・・

 ブラウさんとアイラさんを渡せ。

 拒否すれば全面戦争だ!!」


ここまで正気を失うとは・・

それほどまでにブラウが愛おしいのか。

しかし俺としてもブラウやアイラを渡すつもりはない。


「好きな女を手に入れる為に多くの人の命を懸ける・・

 メタンティさん、正気か?

 いくら好きに人のためとはいえ

関係の無い人たちを巻き込んじゃダメでしょ!」


恋は盲目と言う言葉があるが

ここまで人としての判断を鈍らせるものなのか。

何と言う恐ろしいものだ、恋と言うのは・・

常軌を逸するにも程があるだろう。


好きの人を思う気持ちは分からなくもない。

しかし分別を無くして良いものでもない。

やはりまだメタンティは子供なのだ。

ここは一つ大人の恋を教えてやらなくては!







恋愛に溺れることなかれ!!!


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