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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
バーレン
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花畑

メタンティの述べた情報の出所は不明で

彼はブラウやアイラから入手したと言うがそれは嘘だ。

ブラウと彼は懇意なのかもしれないがアイラとは絶対に違う。

ましてや知人ですらない。

その様な者にアイラが情報を漏らす事などない。

少し考えてみれば分かる事だが彼女たちが

俺に関する情報を渡すこと自体があり得ない。


アイラの名を聞いたので幾許(いくばく)かの余裕が出来た。

その所為(せい)もあって話し合うことが面倒になって来た。

早く彼女たちと会いたい気分だ。


「どうしました、アイラ・フォン・ラウドの名を聞いて

驚きの余り言葉を失ったんですか?」


そう、失ってしまった。

話す気を全く失ってしまったのだ。


「そうですね、その通りです、メタンティさん。

君の発言が全て虚偽であることが分かったので

話す気が失せたんですよ」


「言うに事欠いて嘘つき呼ばわりとは無礼千万!

 僕のどこが嘘だと言うのですか!!!」


嘘つき呼ばわりされて怒らない者は滅多にいない。

まあ彼もその中の一人だ。

常に冷静であろうとしている彼も俺の言葉に怒気を(にじ)ませる。


「メタンティさん、君はブラウと会った事があるって言ったよね?

 初めて彼女と会ったのは何処で何時なの?」


「そんなのノーヴさんには関係無い」


「いや、彼女からの情報と言う信憑性に関わるから答えてよ。

いや、答えてもらう。

 彼女と初めて会ったのはアザリアだよね?

 正確には見かけたと言うべきかな」


今度はメタンティが黙り込む。

その様子に俺は言葉を続けた。


「君は彼女をアザリアで、そう式典に出席した際に見かけただけだ。

 決して言葉を交わしたわけではないが

 その時、君は彼女に恋慕したんじゃないか?」


彼は一目惚れしたのだ。

威厳があり清純で慎みも兼ね合わせた少女に

憧れを抱く少年はいるだろう。

まあブラウの場合、多少幼女の様に見えないことも無いが・・・


「メタンティさん、君は幼女が好きなんじゃないの?」


思わず本音を言ってしまったが

彼はその幼女好きに思い切り反応した。


「何をバカな事を・・・」


顔を真っ赤に染め上げ反論する。


「僕は幼女趣味ではない、断じて違う!!

 そ、その・・確かに彼女は年齢のわりには

幼く見えるのは否定しない。

 しかし、その・・まだ発育途上である躯体に似合わず

堂々とした振舞いに加え

 清楚さを兼ね備えた未熟と言える五体に宿る

気品に惹かれたのは事実・・

 女性は斯くあるべきと言わんばかりの凹凸のない身体に

魅力を覚えない者がいないはずがない!!!」


何言ってんだ、こいつ・・と思ったのは秘密だ。

要は発育の遅れた可愛い少女が好きなだけでは?


「えっと、君の性癖を兎や角言うつもりは無いんだけど」


まあ実際にブラウを妻に迎えている俺が何か言える立場ではない。

例え幼女趣味であったとしても

他人に迷惑をかけず法に反しない限り問題は無いはずだ。

ただ俺から言えるのはブラウが

幼女だから好きだというのは許せない気がする。

彼女の内面に惚れたと言うのなら多少許容もするが。


「俺は君の幼女趣味に文句をいうつもりはない。

 ただ好きな女性からの情報だと信じ込んでしまうと

 疑う事をしなくなる。

 その事に忌避感を覚えるんだ。

 君はブラウからの情報をどうやって手に入れたの?」


メタンティは少し気を持ち直したのか・・いや開き直ったようだ。


「君は未成熟の女性の素晴らしさを・・・ではない。

 彼女からの伝言だ。

 信じない方がどうかしているんだよ。

 やっと僕の想いが通じ連絡をくれたんだ。

 これこそ真に愛し合う者たちだけが得ることの出来る慶事さ」


愛し合う? 誰と誰が? 俺とブラウの事か?


「僕とね、ブラウさんは愛し合っているんだよ。

 それすら分からないのかい? 君は正に鈍感だな」


メタンティはこれでもかと言わんばかりにブラウへの想いを述べ連ねた。

聞いている俺が恥ずかしくなる言葉をひたすら述べる。

アア、ハイハイ、と言いたいが言わない。

最後に彼は言ってはいけない言葉を俺に投げかけた。


「ブラウさんは君なんかの側にいるより僕の側が相応しい。

 そう、彼女を幸せに出来るのは僕を置いて他にないんだよ。

 僕だけが彼女を幸せに出来るんだ!!」


幸せに出来る? 自分しかいない? 何様のつもりだ?

幸せの定義についてこんなアホと議論するつもりは無い。

気構えは立派と言えるかもしれないが

他人の幸せを本人抜きで語るべきではない。





メタンティの頭の中で花畑が満開だ!!!


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