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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
バーレン
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道化

醜い口論など聞くに堪えない。

側にいる者にとってはいい迷惑である。

その様な事は誰もいない人気のない様な所でやってくれと言いたくなる。

正に今の俺だ。

俺と言い合いをしているオッサンは周囲の者にとっての

加害者であり周りの者は被害者だと言えよう。

周囲の人たちは然も迷惑そうにしている。

イゲンダー卿もその一人だが

我慢の限界を迎えたのか俺たちに注意をする。


「言い合いと話し合いの違いが分からないのですか?

 ノーヴ様もまだお若いとはいえ一国を率いる立場におられたのです。

もっと周囲の者への配慮を徹底なされるべきです」


叱られてしまった。

俺ももっと周囲に気を配るべきだった。

これぞ年長者の教え、訓示なのだろう。

この様な心得を示してくれる年長者にこそ敬意を払うべきである。

それに比べてこのオッサンは・・・

俺がイゲンダー卿に注意を受ける仕草を見て得意気である。

『どうだ、参ったか!(ざま)あ見ろ』とでも言いたげだ。


「ここにいる方にお詫びします。

 この様な者を相手に向きになり申し訳ありません」


オッサンに謝罪の意思を示す必要などあるものかと言わんばかりに

周囲の者には詫びた。

まあこのオッサンを(あお)ることになるのは織り込み済みだ。


「な・・・何だと、小僧・・・

 この俺を(ないがし)ろにする気か。

俺にも詫びを入れるべきだろうが!」


こんな高飛車な態度を取る様な者を

誰が相手になどするものかと思ったが言わない。

無能で態度だけがでかいオッサは

引っ込んでろと思ったのは秘密だ。


「あ~、ハイハイ、私が悪うございました。

 御免なさいね・・っと」


この輩のオッサンを相手にするだけ時間の無駄だ。

適当にアシラウことにしたのは(あしら)うことにしたのは秘密だ。


「な、何だ・・その態度は!」


まだ絡むつもりなのかこのオッサン・・邪魔だ。


「もう帰って良いよ、オッサン」


俺も相手にしなければ良かったのだが鬱陶しいと思い思わず口走った。


「こ、この~・・・閣下の御前なので遠慮していたが・・

 何の功績も無くアザリアの元首になったくせに

偉そうな態度を取る。

 厚かましいのにも程があるぞ、小僧!

 貴様など側使えする女どものお蔭で元首になっただけではないか。

 全ては女どもの功績ではないか。

 それを恥じ入ることも無く自身の手柄の様に振舞いおって!

 何の能も無く、女どもに()(へつら)うだけの男ではないか。

 いや、そう言えば貴様・・女どもの前で祭りと称し

裸踊りをしてるらしいではないか。

 その様な道化が我らと同席できるだけでも光栄と思い

我らの指示に黙って従えば良いのだ。

それを小賢しいだけの性悪ガキが悪態をつきおって」


・・な、何だと!!!

・・俺が女性の前で裸踊り?

・・それを祭りだと言ったって?

・・裸の祭りって、俺じゃないぞ!

・・あれ? それって・・

・・サキュバス祭りのことか?


サキュバス祭りの事を何故獣人が知っているのか疑問だ。

イゲンダー卿がそれを彼らに伝える筈はない。

彼もその様な祭りをしらないのだ。

サキュバス祭りはアザリアの秘事と言っても過言ではない・・・

あれ? アザリアの女性の多くは知っていた。

ではその者たちが獣人に話した?

いや、その様な機会は無かったはず。

では騎士団のサキュバスのお嬢ちゃんが・・・

いや、それも無いはずだ。

サキュバスの秘術とも言える裸踊りを公言するとは考えられない。

それに・・何故、俺が裸で踊るんだ?

人前にて平気で裸に慣れる程の神経は持ち合わせてはいないし

何と言っても俺は踊れないのだ!!

安来節はおろかフォークダンスすら踊った事はないのだ。

元の世界を含め踊りの経験は皆無なのだ。


「何言ってんだ?こいつ」


「はぁ~? 白ばっくれるのもいい加減にしろ。

 ネタは上がっているんだ。

 この恥知らずの・・・破廉恥なガキめ!!」


お~い、被ってるぞ、頭痛が痛いのか?

犯罪を犯したのか?それとも裁判を裁くのか?

ああ~、なるほどね、オッサンまだ被ってるのか、なるほどね。

何処とは言わないがオッサンはまだ十分被っている様だ。



訳の分からない風聞を信じ俺を小馬鹿にしていることは十分理解した。

そこでその様なガセネタを仕入れたのかは謎である。




デマや誤報、流言、偽情報には気をつけよう!!!


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