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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
バーレン
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焦燥

猫人族に襲われた集落の復旧に奥様たちが動いてくれた。

奥様たちもだが騎士団に感謝しなければならない。

また被災された住民たちにも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

確実に捕縛できると慢心していた俺の自信に怒りも覚える。

もっと緻密な計画を練るべきだった。

もっと計画の見直しに力を注ぐべきだった。

何処か油断していた自分が情けない・・



反省は尽きないがその様な中イゲンダー卿と

今後の対策を練らなければならない。


「被害が少なかったのは何よりでございます」


彼は俺の失敗を責めない。

気を使ってくれているのだろうか・・

彼は俺に対し謝罪をする。


「御無理を押し付けまして大変申し訳ございませんでした」


彼の謝罪は俺の心を締め付ける。

彼の詫びてもらう事など何もないのだ。

それに押し付けたのは俺の方である。

この占領地を彼に押し付けたのは俺だ。


「侯爵、今回の件は大変申し訳く思います」


「何を(おっしゃ)いますか・・

ノーヴ様がお謝りになる必要などございません。

それに復旧も進み思ったより

早く終わりそうだという報告を受けてますので・・

それより今後の対策を」


そうだ、謝罪、反省ばかりしていても(らち)が明かない。

猫人族は神出鬼没、予想外の行動に出てくる。

警戒する人数を増やすべきだろう。

それが一番安全な対策と言えるが・・人数が足りない。

ここは騎士団に動いてもらうべきか悩む。

働き詰めの彼女たちにこれ以上労働を強いるのは(はばか)られる。

しかし今回は人的被害が少なかったが今後は分からない。


「いっそのこと・・猫を屠るか・・・」


「今、何と仰せになりましたか?」


「いや、別に・・」


一瞬だが自分でも恐ろしくなることを考えてしまった。

人として絶対にやってはならない、

いや考えてはならないことを。

思考が短絡的になっている。

若しや俺は疲れているのか?

この肉体は並大抵のことで疲労しないはずだ。

俺に疲労などありえない・・


「配慮が足りず申し訳ございませんでした。

少しお顔の色が優れない様ですので・・・

 暫く休憩と致しましょう」


俺が疲れていると思いイゲンダー卿は少し休むようにと促す。


「お気遣い頂きありがとうございます。

 ですが大丈夫です・・」


と言いつつ思考が巡らすのも辛いのは事実だ。

やはり、疲れているのか?

この様な時は甘い物でも・・

いや、体力は問題ない。

しかし思考停止状態で話し合っても無意味だ。

是非休憩するようにと言う卿の申し出を受けることにした。



別の部屋に案内されるや否や

大猿族と猿人族の代表がイゲンダー卿の屋敷を訪れてきた。


「イゲンダー侯爵、ノーヴ様がこちらにお越しになっていると聞きましたが」


大きな声を出す代表だがそんなに叫ばなくても聞こえる。


「ああ、俺ならここに・・」


「おお・・そこに御出ででしたか! 

至急連絡したいことがあります」


代表たちはかなり慌てた様子だ。

俺は先日の不手際を先に詫びた。

代表者たちはそれを軽く受け流しそれよりも大事な話があるという。

代表者を連れ休憩のため用意された部屋に入った。


「猫人族が書状を寄こして来ました」


猫族は大猿族と猿人族の代表に宛てた書状が送られてきたらしい。

代表の許可を得て書状の中身を確認させてもらう。


「・・・・・・ナメとんのか・・」


書状の内容は降伏勧告だ。


【獣人族領より魔族を追い出し猫人族に服従せよ、

それが嫌なら魔族のアイラとブラウを捕らえて引き渡せ

 然もなくば、猿人族、大猿族を滅ぼす】


「然もなくば滅ぼすだと・・・」


怒り心頭とは正にこの事だ。


「クソ、俺が先に滅ぼしてやろうか!」


頭の中でハチに核の使用を命じるイメージが湧いた。

猫人族をこの世界から抹殺するイメージだ。

誰一人として生かしてはおかない・・・


「ノーヴ様、落ち着いてくださいませ」


イゲンダー卿が慌ててやって来て俺を諫める。


「まずは冷静になられてくださいませ。

 落ち着いて、お心を静められて、まずはお寛ぎを・・」


イゲンダー卿の声は聞こえた。

しかしその声には従わず別な事を考えている。


(ハチには核の使用を命じておきながら俺は使おうとした。

 傲慢にもほどがあるな・・・

 あれ? 待てよ・・・

 魔法はイメージだ。

 イメージ通りに魔法が使えるし実際に使った。

 という事は・・核も魔法で使えるのか?

 確か重水素の分子から水素を・・

 その原子核を臨界状態にして超臨界を引き起こせば・・)


・・・・何を考えてるんだ、俺は・・・


「冷静になられて下さい、ノーヴ様!!!」


イゲンダー卿の声にハッと目が覚めた気分になった。

何を考えているんだ、俺は・・・恐ろしいことを・・


「すみません、少し休ませてください」


よく見ると代表たちはこの部屋にいない。


「そう言えば、代表者の人たちは?」


「部屋から何かに怯える様にして慌てて出て行きました。

 それで何事かと思い駆け付けた次第です」


「そうでしたか・・心配かけて申し訳ありません。

 少し気が滅入っていたようです。

 しばらくすれば落ち着くと思いますので」


「そうですね、今はゆっくり休養なさって下さい。

 代表たちの相手は私がしますので」


「ありがとうございます・・・

 あっ、この事は妻たちには内密に願います」


「しかし・・・・」


俺はイゲンダー卿を睨むように念を押してしまった。


「わ、分かりました・・内密ということで」


立場はどうあれ年上の人を睨むなど無礼極まりない行為だ。

少し落ち着いてそう思い返した。

やはり疲れていのか? 

もしかして・・何かの病か?

病など(かか)るはずもない。

俺は一体どうしたんだ・・・





まずは落ち着こう!!!!


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