表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
バーレン
521/594

参加

アイラと二人きりで暫く過ごした。

別段これと言って話し込んだわけではないが

何気ない会話が心地よく感じた。

アイラも会話を楽しんでくれた様だが、

普段からもっと会話をすべきだったと思う。


普段の奥様たちとの会話は経済や行政関係の話ばかりだ。

これでは楽しい会話など出来る筈もない。

インフレ率がどうのこうの・・・

法令をどうしようああしよう・・・

俺も疲れるが奥様たちは俺以上だろう。


一般的に男女の間柄で話す様な内容ではない。

それに気付くべきだった。

じゃあどの様な会話が望ましいのか・・分からん・・

元の世界で女性との会話は仕事以外でしたことが無い。

まあ仕事の話さえすれば間がもったのも事実だが・・


今回はアイラが積極的に色々話をしてくれたので助かりもした。

しかし俺から何か話題を振る様な事が

全くできなかったという不名誉にも似た事実が残ってしまった。

俺の固有スキルに女性との話術が無い事を恨めしくも思う。

・・あっても普段使わないので意味ないかも・・



アイラとの何気ない会話の中に収穫もあった。

バーレンについてである。

バーレンは未開の地と言われるのだがその理由の一端を知った。

今まで誰もその地に足を踏み入れていない。

そこに向かって旅立ったものは全て途中で引き返している。

それも全員ではなく半数近くに減った状態で戻っている。

つまり行く途中に生死に関わる様な事が起きているのだ。


「大丈夫です、安全マージンを十分確保して

ゆっくり進んでいけば何も問題ありません」


アイラはその様に言うがその確保が困難なのではないのかと思う。



アイラとの会話を楽しいでそれで終わるわけがない。

アイラは先日までと違い清々しい雰囲気を漂わせている。

少しは気分転換が出来た様で安心したのだが

他の奥様たちがそのまま俺を放置するわけがない。

アイラ同様にお散歩という名の雑談をする羽目になってしまった。

話術に劣る俺にとってはある意味試練と言える。

しかしアイラだけ俺との二人きりでの会話を楽しんでもらい

他は無しという訳には行かない。


交代で一人ずつ午前中の部と午後の部に分かれ

雑談会を開くことになった。

これではもう試練ではなく

拷問に近いのではと恐れたのだが・・・

奥様たちが勝手に色々話をしてくれるので

俺は聞き役に回りたまに俺自身の意見を述べるか

相槌を打つだけで済んだ。


ここで学んだのは自分が一生懸命に話すより

女性の話を如何に聞き出すかまた相槌を入れるかで

気分良く話して貰えると言う事だ。

要は話し上手より聞き上手の方でいる方が

奥様は満足なされるのだ。

誘導さえ間違わなければそれ良いというスキルが

身についたと思ったのは秘密だ。



奥様たちはバーレンの情報を掴んでいる。

総じてバーレン行きは困難を極めるのではということだが

皆口を揃え「何とかなるでしょう」という。


俺を信頼しての事なのか、はたまた安易に考えているのか・・

恐らく俺を信頼してのことだ・・と思う。

その信頼に答えるべく俺も計画を練らなくてはならない。



大福たちを呼びバーレン行き希望者の人数を確認すると

全員行きたいとのことだった。

しかしそれだけでは収まらない様だ。

イゲンダー卿の配下の者も行ってみたい、

連れて行って欲しいと希望する者も多い。

また極一部ではあるが大猿族、猿人族の者も希望しているらしい。


「困ったな・・多過ぎる」


「ですよね~」


「人数絞りましょうか?」


「くじ引きにするとか?」


「いえ、交代制にしましょう!」


参加希望者をいくつかのグループに分け

交代で参加させれば良いと言う。

俺のゲートを使えば無理なく交代可能であると言う。


全員ゲートで戻れば夜間はこの占領地で過ごせるし安全である。

しかし現地の地形などの状態を調べる必要も

あるので夜間も滞在するべきだ。


大福たちの案では三日おきに交代すれば

作業効率も上がり騎士団員の気分転換も出来る。


「「「「ここは冒険をすべきです!!!!」」」」


未知の領域の開拓こそ冒険だと口を揃えて彼女たちが言う。


「でも危険が伴う可能性高いしね・・・」


彼女たちはそれこそ冒険であり危険に備えることも

良い経験になると言う。

団員たちに様々な経験を積ませたいと

言う意見は理解できる。

・・・一種の自己啓発なのか・・・


大福たちにメンバー構成及びグループ分けを頼むことにした。


「「「「お任せください!!!!」」」」



張り切って彼女たちは騎士団員のもとへ戻って行ったが

それと入れ替わるようにキレーナが俺の所へやって来た。


「ノーヴ様、今お時間宜しいでしょうか?」


まさか、彼女も雑談を・・・


「あの、タマちゃんがお話をしたいと言ってまして」


タマちゃん?・・・それ、だれ?





まさか、俺知らないうちにまた妻が増えたのか!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ