勘違
アザリアの元首の座に再び就くよう要請を受けたが断った。
俺がその様な要職を務まると思う方がどうかしているのだ。
これまでは成り行き上仕方なく元首の座にいただけで
実際には俺は何もしていない。
要請をするなら奥様たちこそ相応しいと思ったが言わない。
奥様たちは現に今も刑法改正に勤しんでいるのだ。
まあ俺が要らぬことを言ったせいでもある。
まだ奥様たちの会議は長引きそうだ。
少し時間があるので例の三バカ・・じゃない。
久々にアイスを食べたいと思い
三人衆を伴って食べに行こうと思う。
「なあ、アイス食べたいか?」
「まだ少し寒うございますが・・」
「体冷えないか?」
「お漏らしするかも・・」
寒いときに冷たいものを食べるのが粋ってもんだ・・
とは言わない。
「じゃあ何か食べたい物とかあるか?」
「「「肉!!!」」」
・・・軽く食べるだけだけど。
「お昼ご飯食べてないのか?」
三人ともしっかり食べた様だが
彼女たちにとって食べ物といえば肉と言うことらしい。
正しく肉食系女子って事なのだろうと思ったのは秘密だ。
「俺は甘い物でも食べようかと思ったんだが」
「甘い物・・好き!」
一人だけ甘いと言う言葉に反応するが
お漏らししても知らないぞと思ったのは秘密だ。
「他の二人は甘い物というか軽い食事は?」
やはりガッツリ食べたいようだ。
「今食べると夕食入らないかもよ?
食べ残したりするとケイが怒るかもしれないぞ」
ケイの名を出しただけでビビってる。
「おい、お前・・ケイお姉ちゃんの名前出すな!
怖くてチビルかもしれないだろうが・・」
コンコルディアも漏らしそうになるくらい恐れている。
「お前たち何か勘違いしていないか?
ケイは凄く優しい女の子なんだぞ。
その証拠に親衛隊を率いている時なんか
幼い子に懐かれてるんだ。
そんな子が恐ろしいなんて、有り得んだろ」
ケイは人の痛みの分かる優しい子だ。
彼女の名誉のためにも三人の思い違いを改めさせようと思う。
「バカかお前、ケイちゃんのお仕置きに比べると
アグラット様が如何に優しいお方かがよく分かるってくらいだ!」
フェアリスはケイにお仕置きされたらしいがどんな具合なんだ?
「言えるか・・俺、まだ死にたくねぇんだ」
口止めされているのか?
ケイのお仕置きと聞いただけで蒼褪めるタマモだが・・
どんなお仕置きかケイに聞いてみようと思ったのは秘密だ。
俺の心を読んだのか三人ともケイには言うなと懇願してくる。
「お仕置きの事を言ったらすぐバレルから絶対に言わないで」
半泣き状態で頼まれると興味本位で
ケイに聞くわけにもいかないだろう。
しかしそこまでケイを怒らせるとは
この三人も中々の者かもしれないと思ったのは秘密だ。
「お前ら・・相当酷いんだな」
「でもケイちゃんに認められるまで頑張ります!」
「俺も、頑張る!」
「私も・・も、頑張る・・」
まあ・・無理すんなとしか言えなかった。
「じゃあ俺だけアイス食べに行ってくるから
お前たち奥様たちの所へ行ってなさい」
「「「ええぇ~・・・」」」
結局は付いてきた三人が沢山アイスを食べたのは秘密だ。
お漏らしだけは勘弁と思ったのは秘密だ。
「コンコルディア、オムツしてるよな?」
「バ、バカ者! これでも私は二十歳だぞ!
忘れるわけ無いだろ、もう大人なんだぞ・・・」
これ以上ツッコミを入れるのは控えよう。
少し街の様子を見たいと思い三人に奥様たちと合流するように言った。
「嫌でございます」
「イヤで~す!」
「ヤダ!」
付いてくる気満々だが幼女や少女を連れ回しても良いのか?
ケイやブラウなら堂々と連れ回せるのだが・・
幼女誘拐とか拉致の疑いかけられないか?
未成年者略取とか誘拐罪で捕まったらどうすんだ?
奥様たちに顔向けできないぞ・・
先程の店でも店主に怪訝な顔をされてしまったのだ。
周りの人たちに幼女を連れ回す怪しい奴と
思われない様に願うばかりだ。
仕方が無いので一緒に見て回ることにした。
「そこの少年、止まりなさい!」
案の定というか必然的に警備隊に呼び止められた。
「少年、君はこの子たちとどういう関係かね?
それと念のためにIDを表示してくれないか」
以前、身分を隠そうとして大変なことになった。
もう同じ轍を踏むまいと思い正直に身分を明かした。
「君がか? いや、失礼、貴方様が?」
IDも表示し偽りではないことを証明した。
「知らぬ事とは言え、大変な無礼を働いてしまいましたが・・
一応職務なので、この幼女たちとの関係や
一緒にいる目的をお教え頂けませんか?」
相手の身分が高かろうが警備隊の職務は
遂行するという気概は見事だ。
高位身分だと知って職務を放棄または
省略しようとする者は職務怠慢としか言えない。
トイレッターの指導が行き届いている証拠だろう。
「いえ、これはセーケツ殿の御指示です」
弟のほうの指示か・・良いことだ。
三バカ・・じゃない三人の素性を明かし
俺の目的も警備隊に説明した。
「任務ご苦労様です、お気をつけてどうぞ!」
任務じゃないっての・・
俺が騒動の後の街の視察を行っていると勘違いした様だが
違うと説明するのも面倒なのでスルーした。
「これよりアザリアの元首ロンヒル陛下
警護の任に就かせて頂きます!」
大袈裟だ・・これはやり過ぎではないかと思う。
数人のゴッツイ大人たちに囲まれ街を見て回ったが
コンコルディアが警備隊にビビッてお漏らししたのは秘密だ。
幼女同行の際、替えオムツの持参は必須だ!!!




