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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
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訓練

「出来ることは最低限自分でやれ。出来ないことはやらなくて良い。」

職場での俺の口癖だ。何故ハチがそれを知っているのか謎だ。

色々ハチに任せて楽をしようとしたら、そう指摘された。

実際は出来ないと思い込んでいるだけで、本当は出来る事って結構あるし、その時は出来なくても後々出来る様になるって事もよくある話だ。

掃除・洗濯は自分でやっている。

食事に関しては全部用意してもらえるから良としよう。

因みに料理の腕前は壊滅的だ。ハチが用意したレシピ通りに作るが、とても食えない。

食材の無駄だ。それだけでは済まない、体調を崩す。

こればかりはハチも早々に見切りをつけた。

限りある食材を有効に活用しよう・・・ハチ任せた!


暫くはノンビリ小屋で過ごした。完璧な引き籠りだ。何か嬉しい。

引き籠りって自分に合っている。

ハチも訓練の事は何も言わない。このまま生涯をここで過ごそうと思ったら・・・

十分寛(くつろ)がれたようですね。体力も十分回復していますので、そろそろ訓練を始めましょう。』


ハチの話し方が少し堅苦しかったので、もっとフランクな話し方をするように頼んだら、

話し方だけではなく対応も少し変わった。ちと厳しくはないですか?・・・・

『服装はそのままで結構です。腰のベルトに帯剣できるようになっています。この中から好きな剣を選び装備して下さい。』


見ると玄関近くの棚に剣が置かれていた。

長剣に短剣、諸刃剣に片刃剣、色々だ。

適当に手に取って自分に合いそうな物を選んだ。

日本刀くらい長さの片刃剣だ。因みに刃は日本刀のように反ってはいない。

軽く振ってみたが、少し振り抜くのに違和感がある。

これはこれで使い方次第で問題無いかも。


武道に関して祖父の趣味に付き合って、柔道・剣道・空手など幼少の頃より社会人になるまでの間、ずっとやらされ続けた。

幼稚園から数年間、一番嵌()まったのは相撲だったけど。

チビッ子相撲はやっていて楽しい。

武道は長年練習してきた仲間の中で最弱だった。良い思いではない。痛いばかりだった。

武道関係で一番記憶に残るには、就職を機に武道をやらなくてよくなった時の解放感だ。

もう二度とやらなくて良いと思った時、全てから解放された気分になりスカっとした。


人生には闘いが待っている。でも誰かと闘うのは苦手で嫌だ。

同じ闘うのなら相手のいない自分自身との闘いの方が良い。

そう訴えたら相手との戦闘が必要不可避の場合、どうするのかと返された。

無駄な抵抗だった。

この異世界において生き抜いていくには、モンスターとの戦闘は必要不可欠である。

だから武器は剣では無く他の物を要求した。

「M16かAK47、どちらか頼む。

無ければ89式でも良いけど予備にS&W・・ニューナンブでもいいから。

用心の為ロケットランチャーか手榴弾を。あ、ディアボロロッソは却下で!

念には念を加えて、後方支援にPAC2か3を準備して欲しいかな。

・・・・銃火器が無ければ最悪ボーガンを・・・」


長い説教タイムだった。

肉薄戦では飛び道具は不利。

そもそも銃などの銃火器はこの世界に存在せず、用意できるがもし使用しているところを誰かに見られでもしたら、飛んでもないことに成りかねない等々・・

用意できるのかよ!


帯剣はしたが、剣はすぐに使わない。

先に無手による戦闘訓練だ。

この肉体の防御力・耐久力を確認する為だ。

帯剣して戦う理由は帯剣自体に慣れる為である。

剣は結構重いので、体の重心の位置が変わってくる。

小屋のすぐ近くは結界が施してありモンスターは無論、虫さえもいない。

訓練は少し小屋から離れた場所でやる。


モンスターについて説明を受けたが、兎に角弱いとのこと。

俺のこの肉体は頑丈なので、モンスターの攻撃を受けても傷付かない。

安心してほしいと・・・

だったら、やらなくても良いじゃん!

『モンスターの動きは人間とは全く異なります。最初はモンスターの攻撃を受け止めてもらいますが、その後はモンスターの動きになれる為攻撃をかわすことから始めましょう。』


訓練の前に探知スキルの使い方を習得。

スキルは色々あるようだが使い方がわからないので、必要な分だけ教えてもらった。

思ったより簡単で、周囲に意識を向け禍々しい気配を探るだけだった。

どの程度まで探知できるか試したら、結構広かった。

地図を意識すると、ハチからデータが送られてきて脳内に現れ、それに照らし合わせると

はっきりとモンスターまでの距離が確認でき、凡そではあるが大小のサイズまで分かる。

慣れればハッキリとした大きさまで確認できるようだ。


手始めに近くにいて一番小さいモンスターを選んでみたつもりだったが、近くで見たら結構デカかった。

ちょっと見ただけでは犬だが、サイズが違い過ぎる。

まるで熊の様な大きさだ。おまけに尻尾が2本ある。

やはり異世界のモンスター、迫力満点だ。

初撃は受け止め、その後は相手の動きを見る様に言われていたので、その様にすると

相手の動きが滅茶苦茶遅く感じる。

こちらに向かってくる速度が、赤ちゃんのハイハイより遅い・・

突進してきたので、取り敢えず受け止めた。痛くない・・・

その後暫く余裕でモンスターの攻撃を避けていると、攻撃をする様合図があった。

拳でモンスターを思い切り殴った・・・え? 

ぶっ飛んでいった・・


訓練は長期間森の中で行ったが、この辺のモンスターは地球の動物より総じてデカイ。

火を噴いたり、風を巻き起こしたりと、色々な技を繰り出すモンスターとも戦った。

この肉体は魔法にも高い耐性があるようだ。怪我一つしていない。

しかしあれだ、姿は異なるが何だか元の世界の動物と似ている気がする。


等々と思いながら色々なモンスターと一通り戦ったが、最初の不安は何だったのかと思うくらい楽勝だった。

『ウォーミングアップはこれ位で、これから暫くは肉体強化のための訓練に入ります。』


この肉体って最強のはずだろ?現にモンスターを楽に屠っていたが、そこまで強くなる必要あるのか、と疑問に思っていると、

『ここのモンスターより強力なのは数え切れない程多く存在します。

また肉体強度における想定データと実際のデータとの差が大き過ぎます。

本来の実力を出し切っていないのは明白です。

それに今の状態で魔法を行使した際、肉体が耐えきれなません。

魔法行使を安全に行う為にも肉体強化は必須です。』



魔法を使うのか・・・・俺が?


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