残組
ブラウとアイラによる子を宿す為のレクチャーが始まった。
三人組は真剣な眼差しで二人の講義に耳を立てる。
「宜しいですが、子を宿す行為とは愛なのです。
深い愛情をもって接することが肝要なのです」
「良いですか、三人とも、良くお聞きなさい。
行為そのものに必要なのは体力です。
体力が無ければ奮い立つ殿方を受け止める事など出来ません。
朝の訓練はその為にあるのです!」
あれ? ブラウの言う事は抽象的ではっきり分からないぞ。
アイラの言うことには少しだが理解できるような・・・
「なるほど・・・その為の朝の訓練だったのですね。
でもブラウ様の言われる愛とは何なのですか?」
ですよね~・・・何でしょうね~・・・
「愛とは、総てを受け止める覚悟の事です。
どの様な行為にも臆することの無い覚悟です!」
三人は頷いているのだが・・・意味不明である・・
しかしイザとなるといつも逃げ出す
ブラウが言うと何か説得力を感じる・・のか?
ブラウの子を宿す行為についての説明は
哲学的であり分かりにくい。
アイラの説明では体力勝負だという。
体力さえあれば何とでもなると言うが・・・・
行為そのものについての説明は二人とも触れようとしない。
しかし三人は納得したようである。
「肝要なのは愛と体力なのですね!」
「「その通りです!!」」
最後にケイが一言いって講義は終わった。
「貴方たちはまだ、十年早いです。
先に家事を身に付けなさい!!!」
いや、十年経っても俺は彼女たちの相手を
するつもりは無いのだがと思ったのは秘密だ。
俺は掃除に戻ろうとする三人を呼び止め
自国に戻るように説得を試みた。
「私は陛下に嫁ぎに来たのです、帰れません!」
「俺も嫁に来たんだ、絶対に戻らないぜ!」
「私はまだ美味しい物食べたいです!!」
弱冠一名、妙な事を言うが・・・
「俺はアザリアの元首じゃなくなるんで、
嫁になる必要性が無くなったと思うけど・・
それにコンコルディア、アザリアから離れると
美味しい物食べれないと思うよ」
「「ノーヴ・ロンヒル様の嫁になるんです!!」」
「ブラウ様と一緒に食べるのが美味しいんです!」
説得に失敗した。
俺も面倒なのでそこまで真剣に説得を試みたわけでもないが
まあ、何とかなるだろうと思うことにした。
居候三人組が持ち場に戻ると騒がしいのがやって来た。
やって来たのはラゴスにスペスだが
今は彼らの相手をしている暇がないので
アグラットとイトラに相手をしてもらうことにした。
彼らの訴えは総督の地位返上と俺の移住先を
両州の何方かにと言うことだった。
当然却下である。
ラゴスなどは総督を俺に任せ
自分が隠居するとか言っていたらしいが
その様な面倒な事を俺が引き受ける筈はない。
移住先として両州の何方かでも良いとは
思っていたが止めておこう。
となると旅の行き先はやはり獣人族の国の方面になる。
序と言ってなんだが
姫様を送り届けるのに
都合が良いかもしれないと思ったのは秘密だ。
イトラを呼び移住先という訳ではないが
イゲンダー侯爵の所へ一度身を寄せることを伝えた。
彼の地は占領地でありメネス帝国の預かりという事になっている。
アザリアと幾許かの関係はあるが
領有という訳ではないので問題は無いだろう。
それに猿人族の部落の再建も少し気になるので
そのうち見に行ってみよう。
アザリアを旅立つ際の同行者は奥様たちだけだ。
その事に不満を持つ者は多い。
騎士団員たちや賄のお姉さん、官吏や軍部
それに警備部の者たちまで同行を申し出た。
数えてはいないが一万人は超えているのではと思えるほどだ。
彼らの説得には苦労した。
旅には連れて行けないが移住先が決まれば
必ず迎えに来ることを約束し
何とか説得に応じてくれた。
俺の自宅の敷地に新たな結界を施し
俺の許可した人たちだけが入れるようにした。
これは残留組の意見を取り入れ男子禁制を強固としたのだ。
そして残留組の指揮を女性はトイレッター姉
男性はバルバロスに頼んだ。
立つ鳥跡を濁しまくりだ!!!!




