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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
アザリア大公国
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改革

執務室に戻った俺は正座をしているが

この世界には正座というものは存在しない。

地面に座る時は精々胡坐(あぐら)()くくらいだ。

しかしアイラを前にしたら自ら正座をしてしまった。


「言い訳はしません、御免なさい・・・」


俺は即座に謝った

弁解の余地などあろうはずがない。

自分に過ちがある場合は言い訳などせず、まずは謝るべきだ。


アイラは微笑みを絶やさない。

「お帰りなさいませ」と言った後、無言である。

無言で微笑み続けているのだ。


決して俺を無視している訳ではない。

ひと時も(かわ)すことなく視線を常に俺に向けている。

ただ、それだけで何も言わないし何もしないで

不動の構えを取っている。

この様な圧のかけ方があろうとは思いも寄らなかった。



俺は勝手に言い訳をし始め、

公庁を出た後に起こった出来事をアイラに報告した。


それに対しても何も返答がない。

・・・ヤバい・・どうしよう・・・


「お話は大体のところ、お聞かせ頂きました。

 後程、詳細についてもお伺いさせて頂きますが

 既に皆様にお集まり頂いておりますので

どうぞこちらへ」


いつの間にかアストレアが来ていた。

彼女の表情が既に説教モードに切り替わっている。

奥様たちとの話し合いの後の方が

ちと恐いかもと思ったのは秘密だ。



小会議室で皆が待っていた。

今日、俺の行った事が皆に伝わっている。

それぞれ表情が異なるが、ヤレヤレと言わんばかりだ。


俺の件は後回しにして早速

今日感じた警備隊についての問題点を述べた。


問題点は二点ある。

一つは人事について適切に行われていない事だ。

人事試験は行っているようだが

その内容の見直しと現状況下における人事が

適切なのかチェックしてもらう。

それに縁故採用があるとした

総て一度退職させ即時試験を受けさせる。



もう一点は貴族制の廃止だ。

これについて述べ始めたら早速、猛反発を()らった。

この世界の貴族制は領地支配の根源とも言える。

貴族制の廃止は領地の放棄と同意義に当たる。

つまり支配権の放棄であり、

我々が放棄したとしても

何処からか他者がやって来て武力を用

い領民を押さえつけ貴族を自称したら

それだけで他領域の君主貴族は出来星貴族を容認してしまう。

まるで中世の戦国時代みたいだと思ったのは秘密だ。


しかし現行の貴族制に問題がある限り

それをそのまま放置するわけにも行かない。

現在アザリアでは貴族の持つ固有権限の制限を行っている。

貴族独自の領地の保有禁止、

行政への協力参加、

それに納税の義務・・

税に関しては所得税の累進課税方式をとっているのだが

自己申告制になっているので

ある意味脱税し放題だ。

そのうち貴族用税務署を設け監視監督させるつもりだ。


今回問題を起こした男爵家は爵位を剥奪するのだが

その時に起こり得る問題点の有無も確認の必要がある。


俺としてはこの問題を皮切りに

一切の貴族を屠りたいのだが・・・


「貴族の爵位をそのまま残し、世襲制を廃止するのは?」


奥様たち一同それには賛成の様だ。


「それに爵位持ちの義務として官職に全員就かせ

 行政官として働いてもらおうかと思うけど・・」


「と言うことは、降爵や新たに叙爵すると言うことですか?」


イトラが俺の案に興味を持ったようだ。


「そう、全て試験制で一般平民でも能力次第で

貴族になれる様にするんだよ。

後は適正次第で爵位を変動させれば良いかなって」


「なるほど、官職に就かせ業績において評価をなされるという事ですね」


「そうそう、世襲でもない一代限りでもない貴族制だよ。

 当然、貴族に対しての不敬罪とかも

見直さなければいけないけどね」


大臣級を侯爵または辺境伯 

次官級・局長級を辺境伯または伯爵

部長級を伯爵

課長級を伯爵または子爵

係長級を子爵または男爵

主任級を男爵または騎士爵


官吏の役職に応じ叙爵することに概ね決まった。

因みに公爵とはこの世界では

王族のみ叙爵可能な爵位らしい。



貴族制の改革は反発を招くことは必須だろう。

改革を成功させるにはある程度時間も要することになる。

しかし現貴族の粛清は必ず早期に実施する。

これだけは誰にも文句は言わせない。

・・・言って来ても無視するだけだが。





貴族改革の早期実現を目指す!!!


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