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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
アザリア大公国
404/596

段取

クレームの処理・・じゃなかった、天空族の不満解消までは手が回らない。

正確には対処のしようがない。

しかし、そのうち何とかしなくてはならないが今は他の件に集中したい。


一番気になるのは精霊族の魔族領への軍事侵攻の懸念だ。

理由が分からない。

相手の言い分からすると魔族が精霊族の奴隷を勝手に連れ去ったという事だが、

その様な事実は確認されない。

事実確認が取れない以上、精霊族の言い掛かりとしか言いようがない。


難癖をつけて戦争に持ち込む気なのか?

魔族と戦って勝てると思っているのか?

仮に精霊族が勝ったとして何を要求するつもりだ?

メネス帝国の時の様に魔族を奴隷とし捕囚するつもりなのか?

しかし、それは無いように思える。

帝国とは異なり主要労働力を奴隷に求めていないからだ。


では、食料か? 不足しているのか?

食料はつい先ほど、アザリアからかなりの量を無償で

提供しているので現状不足はしていない筈だ。


何を求めて魔族領に侵攻しようとしているか見当がつかない。

話し合いが出来れば良いのが・・・

相手に話し合うつもりはないのだろうか?

アザリアに対し会談を申し込まないにしても、

プトレ王国に対し会談の場を要求しても良いのではないかと思う。

しかしプトレ王であるラゴスからその様な報告は無い。

相手に話し合う意思がないのだろう。


この場合、こちらから会談を申し込むべきなのか?

しかし新生公国のアザリアから申し込んでも無視される。

通常なら食料提供の件もあるので相手から何らかの打診がある筈だ。

その様な事も一切ない。

食料を受け取っておいて、礼すら述べないのだ。

アザリアを新生の小国と見くびっての事だろう。

「貰っといてやる」程度にしか思っていないかもしれない。

元の世界とこちらの世界では常識が異なるので

その様な可能性は否定できない。


面倒だがここは一つ、ラゴスさんに頼むとしよう。

そして交渉も彼に一任しよう。

俺が出る幕ではない・・・と言って俺は面倒を回避だ。


あれ? 彼は外交・・もしかして下手?

巧みな外交手腕を発揮できるなら、帝国とも揉めてない?

・・・深く考えるのは止めよう。

彼の手腕に期待する方が得策だ・・気が楽だとも言う。



アグラットに頼みラゴスにプトレ王国国王として

精霊族に働きかけてもらう事にした。

彼女はあまり乗り気ではない様だ。


「いっその事、こちらから攻め込んだらどうなんだい?」


彼女はイテマエ主義者なのかな・・と思ったのは秘密だ。


女性のイケイケは俺としては好ましく思えない。

直接彼女にそう言うのも気が引けるので暗にそう伝えることにした。

そうすると早速効果が見られた。

恐らく暫くの間だけだとは思うが、慎ましやかな行動を取るようになった。

深窓のご令嬢風とでも言うべきか・・

これじゃ男は騙されるなと思ったのは秘密だ。

まあそのうち地が出るだろうが彼女の努力は評価することにした。



アグラットを介し国王のラゴスに頼んだのは正解だった。

彼はアグラットの面目を潰すまいと懸命に精霊族に働きかけ

大きな成果を遂げた。

精霊族軍の侵攻を思い留まらせ話し合いの場に引きずり出す事に成功した。

会談の申し込みはダメもとでアザリアからも

書状を送っていたのだが(なし)(つぶて)だ。

使節を派遣してみたのだが、途中で追い返され全く相手にされない。

どの様な手段を用いたのか後日、参考までに教えてもらおう。



会談を行う場所は国境にある橋のプトレ領砦だ。

こちらから精霊族の国へ出向くものだと思っていたのだが

国境付近とは言えプトレ領内で行うことが出来るのは幸いだ。

もし俺が精霊族の国へ出向くことにでもなろうものなら

アザリア軍を率いて行くことになる。

と言うかアイラが単独または少数での精霊族領への出向を認めない。

精霊領=敵地 という認識の彼女だ。


「最低でも1万の騎士団を率いなくては!

 出来ればアザリア全軍に出陣命令を出したいくらいです

 念のために天空族にも軍派遣を依頼しましょう」


アグラットの影響を受けている訳ではないのだろうが

彼女も精霊族に侵攻しようと主張する者の一人だ。

奥様たちは血の気が何と多いのだろうと思ったのは秘密だ。


「無礼者には死を!!!!」


ディアナまで何か訳の分からない事を叫び出した。


「死を賦しましょう!!!」


ノアルまで・・・


「簡単に殺してはなりません!」


アイラ、妙な事言うんじゃありません・・・


「「「「生殺しにしましょう!!!!」」」」


大福たちまで、恐ろしいことを言う・・・


「お姉さま方、落ち着いてくださいませ・・

 ここは冷静に対処しなければなりません」


ブラウだけはまともなようだが・・・


「まずは、飢えというものを教えなければなりません。

 敵の食料を総て奪うか焼き尽しましょう」


えっと・・それって総ての精霊族を飢えさせるってこと?


「魔族に敵対する意味を知ってもらうだけですが・・・」


兵糧攻めって・・結構エグイんだけど、と思ったのは秘密だ。



ヤル気満々のアイラたちを落ち着かせるのに少し苦労した。

話し合いの重要性を無視しての行動などは蛮行だ。

俺たちは野蛮人ではないのだと言うと

少し落ち着きを取り戻し会談の準備に取り掛かってくれた。

準備と言っても俺の随行者の取り決めなのだが、

結構真剣に段取りをつけ始めてくれた。

敵襲来は撃退あるのみだが、敵と話合える場合は話合うに限る。




俺たち魔族は蛮人ではない!!!!


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