三方
獣人族及びメネス帝国への対応に皆が迅速に対応してくれた。
特にイトラは帝国の国境付近の領地問題と
獣人国の占領地に手配りしてくれて大助かりだ。
やはり俺がやるより効率的に動いてくれる。
アザリアが国として成り立っているのも奥様たちの力添えあってのことだ。
これで暫くの間はゆっくり出来る筈だ。
春になればそういう訳にもいかないのは知れている。
今のうちにのんびり寛ぐとしよう。
また旅に出るのも悪くは無いが、次回はアザリア領内だけにしよう。
他国なんかに行くものではない。
政情が安定しているのであれば問題は無いかと思っていたのだが、
安定していたとしてもその国の領民が
問題を抱えていないとは言いきれない。
またゴロツキの様な者に絡まれたら嫌な思いをしてしまう。
俺一人なら問題は無いのだが、奥様たちを連れて行くとなると問題だ。
危険性はほぼ無いのだが、嫌な気分になって欲しくない。
折角一緒に旅行するのなら安心して楽しんで欲しい。
そうなるとやはり領内が安心だ。
妙な輩も存在自体確認されていない。
あれ? 報告が来ていないだけかもしれない。
今度調べてみる必要もありそうだと思ったには秘密だ。
公庁の俺の執務室、別名ごろ寝室ともいうがそこで
旅行の事等考えていると激しくドアを叩く者がいる。
「失礼します、入ります、一大事です!!!」
ディアナが慌てて入室の許可も得ず入って来た。
精霊族がプトレに向け大軍を差し向ける準備をしていると言う。
その数凡そ10万以上、正確な数は分からないが
最低でも10万は下らないと言う。
プトレ領のコルネ卿からの報告なので情報に誤りはない。
「プトレのラゴス公が指示を仰ぎたいとの報告が参っております。
如何対処なされますか?」
「精霊族との国境の守りは大丈夫そう?」
「はい、リザードマンが裏切らない限りは」
確かに国境の河川を船で越えられたら防ぎようがない。
広大な国境のどこを超えてくるのかも見当もつかない。
そこを突かれたら厄介極りない。
「国境の橋の防衛はどうなっている?」
「ラウド卿が兵500を率い守備されているはずです」
「橋の砦の補強はどうなっている?」
「まだ完成までは至っていないかと」
「取り敢えず補強を急がせてね」
「畏まりました、他に御指示はございませんか?」
「ラゴス陛下に出馬願おう」
「そうですね、この様な時に頼りになるお方です」
えっ? そうなの・・遊ばせたくないので出てもらうだけだが。
ディアナに言わせるとアグラットにより
対外戦略や戦術を相当叩き込まれたと言う。
「誰一人、生かして帰すんじゃないよ!!」
アグラットの戦いにおけるモットーである。
彼女は武力を用いた他国との争いの参加を禁じられていた。
端的に言えば自分が参戦出来ないので息子に自分の代わりをさせようと
ラゴスを徹底的に鍛えたのだ。
・・・・帝国との戦に俺は必要じゃなかったと思ったのは秘密だ。
獣人国・メネス帝国・プトレ王国の国境付近での問題はそれぞれ適任者が対応してくれるので助かる。
しかし、似たような時期に争いごとが何故起きる?
ほぼ同時期と言っていいこの冬季にだ。
皆さん、冬籠りしましょうよと思ったのは秘密だ。
「ちょっと、そこのあなた!
いい加減にして欲しいんですけど!!!!」
本当にいい加減にして欲しい・・・えっ、俺のこと?
甲高い声が公庁中に響き渡った。
今度は何だ? もう勘弁してくれ!
クレーマーが襲来したようだ。
誰か対処してくれと思ったのは秘密だ。
求む、クレーマー撃退法!!!!




