生活
暫くの間部屋の中を堪能し、幾つかハチに質問をしてみた。
まずインターネットだ。
ここは異世界であるからして当然繋がらないと思いながらPCを起動させると、何と繋がったではないか。
ちょっと吹き出してしまった。驚きと興奮だ。
この異世界でネットが使える。
これで最新の元の世界の情報を得られる。 凄いぞ・・・・・・
喜んだのは束の間だった。実はこのネットから得られる情報は全て元の世界の記録だった。ハチは元の世界のネット情報等を全て保存していた。
それをこの部屋のPCにリンクさせ情報を送っているらしい。
使えないより良いことだし、俺の死んだ後の色々な情報は得られる。
しかし、どこからデータを送り込んでいるのやら。
今更だが、この小屋で電気が使える。発電システム装備の小屋だ。
まずは火を自分で起こしましょう、とか言われても無理だから・・・
ある程度、起こし方は知っているが疲れる。
初めはこの世界の文明レベルを勝手に想像し、元の世界の文明レベルの生活は期待できないと思った。
ラボなら移動できるし認識阻害も可能、高性能で何と言っても清潔だ。
だから森小屋を見た瞬間こんなのに住めるか、ラボに住もうと思ったが、いらぬ心配だった。
森小屋の安全性についても尋ねてみた。
モンスターに襲われ小屋が破壊されることはないかとか。雨漏りはしないかとか。誰か尋ねて来たりしないかとか。
心配無用とのことだ。
近場のモンスターは全て排除しているし、この近辺に居住区は無く、また小屋の耐久力は見た目とは異なり、かなり頑丈で核攻撃にも十分耐えるらしい。・・・・
この世界に核は無いよね?・・もしあるのなら平和利用オンリーであります様に。
少し祈ってみた。
電気・ガス・水道OK、オーブンレンジ・冷蔵庫・ガステーブルOK、素晴らしい。
何か食べたいと思った。お腹減ってはいないけど。冷蔵庫は空だけど。
ハチに食事はどうするのか聞いてみたら、自給自足する様にとのことだ。
自分で狩りをし、その狩った獲物を自分で料理するように言われた。
・・・・却下・・・・
そう、当たり前だが俺は狩りなんてしたことない。料理なんてしたことない。
インスタント最高、コンビニ弁当感謝って生活だった。
自炊は訓練あるのみ・・・・・はぁ?
そんな器用な真似は俺には無理だと言ったら、何を食べたいのかハチが聞いてきたので、とりあえずカツ丼とプリンって伝えると、大きなオーブンみたいなものからすぐに出てきた。
カツ丼は熱々、プリンはひんやり・・・美味しそう。
出せるのならさっさと出せ、と思ったのは言わないでおこう。
美味しかった。ハチは料理も出来るのかと感心したら、レトルト&冷凍だった。
こんなにも美味しいレトルトは初めてだと言ったら、俺の生きていた世代の物よりはるか後世の物で味もかなり良くなっているとのこと。
ハチの話しぶりから薄々察してはいたが、俺の生きていた時代からかなりの年月が経過しているらしい。
地球人類は、時代の経過に伴って進化し、科学技術をも大きく発展させた。
そして遂に人類は、時空の壁を突き破り、まったく異質の世界へと到達。
その異世界との交流が可能になった・・
『流石でございますマスター。空想力は衰えていらっしゃいません。』
想像と違った。ここは異世界であっても異次元空間ではなく、地球からかなり離れた別の太陽系惑星とのことだ。
ここでの異世界と言う意味は、地球世界と別の異なった世界と言う意味だ。
異世界であることには間違いはない。
恐らく異次元ではないだけだ・・・・・・・・・たぶん・・・
地球では俺の生前の希望通りの肉体は存在しない。
俺を再生させる為の肉体を求め人類らしき生命体が居る星を巡り、宇宙機でワープを何度も繰り返しながら宇宙を彷徨この星にたどり着いた。そこで俺の希望に沿う肉体をやっと見つけたと言うことだ。
ワープができるのか、恐れ入った、科学の力は偉大だ。
その科学の結晶とも言えるのがAIのハチである・・・・らしい・・・
トイレも温水便座付き水洗トイレで、痔になっても大丈夫そうだ。
洗濯も全自動乾燥機能付き。
洗濯が終わった衣類を片付けるのは自分で、拭き掃除や片付けも自分で・・結構好きなので問題ない。
TVは全て録画だが見たことが無い番組ばかりでこれも問題はない。
ネトゲーなど対人戦でなければ問題なく遊べる。
対人戦も可能?AIが相手・・なるほど、遠慮する、強そうだ。
ハチのお陰でこの小屋での生活は、何も問題なさそうだ。
頼りにしてまっせ!