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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
アザリア大公国
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巡察

ラゴス国王が自ら精霊族の侵攻により被害を受けた村落を巡察していた。

珍しい事もあるものだと思い国王を追いかけた。


「グズグズしてんじゃないよ。

 サッサと見回って被害を確認しな!!!」


アグラットの声が響き渡る。

何となく想像できた。

アグラットに尻を叩かれて被害地を回っていたのだ。


「そんな、母上・・

 こういう事は内務卿に任せておいた方が仕事もはかどると・・」


呆れ顔のアグラットからまた叱られるラゴス国王だった。

彼女に叱られる国王を救うつもりはないのだが、一応声をかけた。


「その辺で、勘弁してあげてくれ。

 それより被害の状況はどうなってるの?」


家などの建物の被害はそこまで出ていない様だ。

しかし住民への被害はかなり出ている。

死者の数は少ないが重傷者の数は多い。

治癒魔法師の出番が多過ぎるのは仕方ない。

頑張ってもらおう。


「ノーヴ君、拉致された者が多いようだね。

 何のためだろうか・・・妙な話だね」


精霊族は襲った村から主に若い女性を(さら)っていた。

その人たちは精霊族が戦闘不能に陥った際に逃げ出せたので無事だった。


確かに妙な話だ。

元の世界でも戦争による侵略に伴い

占領した土地の領民を虐げるという事は聞いた事はある。

戦闘中で占領もしていない土地の領民を拉致する目的は何なのか知りたい。


「アグラット、何か捕縛した者から何か聞いてる?」


「何でも仕返しの為だとか、言ってたけど要領を得ない話さね」


確かに話が見えない。

そもそも何の仕返しなのかも見当が付かない。


「で、旦那様、処刑するかい?」


アグラットは捕らえた精霊族を全て処刑しろと言う。

俺としては事の真相を見極めたうえで処分を下したい。


「母上、もう暫く取り調べを行った上で処断された方が良いかと」


ラゴス王にしては賢明な判断だ。

面倒な事が嫌いな彼ならアグラットの意見に諸手を挙げると思っていたのだが違った。


「ラゴス陛下の言う通りにしようよ、アグラット」


「息子を陛下呼ばわりするのは止めておくれよ。

 水際で精霊族の侵入を防げなかったボンクラなんだからさ」


アグラットは息子に厳しい。

親というものはどこの世界も同じような人がいるものだと思ったのは秘密だ。


「それより、精霊族に対する政策はもう済ませてるんだろうね?

 また攻め込んで来たら面倒だし、

これ以上領民に迷惑が及ばない様にしてるんだろうね?」


「母上、その点はもうラウド卿に命じております。

 ご安心して頂いて結構です」


「ほう、じゃあ損害を受けた村や領民にも対策を講じてるんだよね?」


「はい、それも抜かり無くコルネ卿に命じております」


やれば出来るじゃないか・・と思ったのは秘密だ。


「アザリアとしても出来る限りの協力は惜しみませんので

支援物資など必要な物があれば遠慮なく申し出て下さい」


プトレ領について俺が口出しする必要は無い。

何か問題があれば別だがその心配もない様だ。

問題があるとすれば今回の事件の起因だ。

何故このような状況になったのかその理由が明確ではない。

原因を究明するのは急務だ。


原因を探って欲しい旨をラゴス国王に頼みアグラットたちとアザリアに帰る。

あれ? ブラウやケイは何処に行った?


彼女たちはコルネ卿にホウレン草の大幅な増産計画を提示し

その場所の特定や土地の活用法を伝え了承を取り付けた後、

領民の所で負傷者の治癒を行っていた。


彼女たちを迎えに行くと主だった者の治癒も終え、

アグラットの元へ戻る途中だった。

ブラウたちにはアグラットと共に行動するよう伝えていた。

単独ではないにしろアグラットと行動を共にしなかった事を

叱るべきかもしれないが善意による行動なので不問にしよう。


「申し訳ございません、共に行動するように仰せ付かっておりましたが

この場合見て見ぬ振りはどうしても出来兼ねましたので」


「戻ったのかい、良くやってくれたね、ブラウもケイも」


本当に叱られると思っていたのだろうか・・

もし彼女たちが叱られて当然の行動をとっていたのならば

俺より先にアグラットから注意を受けたはずだ。


「いや、良く働いてくれた、礼を言うよ」


殊勝な態度だった彼女たちは俺の許しを受けたと思うと・・


「負んぶ」「抱っこ」攻撃をしてきた。

まあ疲れているに違いないだろうと彼女たちの我儘も聞いてやることにした。


「ブラウや、抱っこなら父親である俺がやってあげるよ」


両手を広げるラゴス陛下にアカンベェをして俺にしがみ付く。

その様子を見ていたアグラットに小馬鹿にされたラゴス陛下の

落ち込み方は結構すごかった。




娘に無視される父親って、何か可哀そう!!!



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