表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
アザリア大公国
359/596

交代

野営は良いものだ、周囲は静かで空気も美味い・・か?

夜間の騒音が響き渡る事など無い。

静かで物思いにゆっくり(ふけ)るには風情があって良い。

満天の星々を眺め・・・曇ってやがる。

月明かりに照らされることの無い深淵の闇の中で物思いに(ふけ)る。

良からぬことばかり考えてしまいそうなので止めた。



静かな暗闇を堪能?してテントか・・小屋?・・これ・・

シェルター(もど)きの中へ入る。


・・おい・・そこで何してる?

・・お風呂の準備だと?

・・ここで?

・・湯舟は?

・・これですって?

・・これが風呂の湯舟?

・・タライというのでは?

・・天幕を張りたくない?

・・張ろうよ!

・・お湯が散るじゃない!

・・散らないって?

・・何で?

・・あっ、結界ね・・

・・無色透明じゃない方が良いんじゃない?

・・そうそう、色付き結界とかないの?

・・あるけど、嫌だ?

・・何で嫌なの?

・・周りが見えなくなるから?

・・見えなくて良いと思うけど?

・・見られないのは寂しい?

・・えっと、風呂に入るのを見ていろ、ってこと?

・・えっ、一緒に入れって?

・・狭いから嫌なんだけど・・・


風呂でひと問答あったが後は寝るだけだ。

寝る準備をしようとした時、外が急に騒がしくなった。


「おい、こんなところに変な小屋があるぜ」


「ああ、たぶんそれがそうだろう」


「これがか?」


「そうに違いねえ、中を確かめてみろ」


「やだよ~、何か怖そうなんだが・・

 お前が確かめろよ・・」


「バ、バカ言ってんじゃねえ・・

 出来るわけねえだろ」


「見つかったのですか?

 早く案内して下さい」


野太い男の声がするが、その中に女性?いや・・少女の声がする。


「いや、その・・見つけたのは見つけたのですが

 何か聞いていたのとは違う様な・・・」


「いえ、間違いなく甘い感じのする野営テントがある筈です」


甘い野営テント? 何じゃそりゃ・・・


「もう、間怠(まどろ)っこしいねぇ~・・何処にあるんだい?」


この声に反応するようにボナディアとディアナが殺気を放つ。

いや・・男の声が聞こえる少し前から殺気を放っていた。

その殺気が頂点に達したのだ。

あれ? 殺気というより怒りか?

怒髪天を衝くと言う言葉があるが・・怒り心頭に発した?


しかし外からは害意や殺意など敵対の意思は感じられない。

何故そこまで激怒しているのか理解に苦しむが

それより外の様子が気になる。

外に出ようとすると二人が止めようとするが

このまま引き籠るわけにはいかない。

外の連中は明らかにこのテント目がけやって来ているのだ。

中で待ち受けるのは止めた方が良いと判断した俺は

引き留める二人を後に残し外に出た。


あれ? 何だ? 気配が? 違う?

外に出てみると女性がいるのだが、アグラット?

見た目はアグラットだが気配がまるっきり異なる。

女性の秘める魔力がアグラットのそれと異質なものだ。

魔力量は少ないし力も小さい・・と思ったら。


「やっと見つけた・・・旦那様。

 こんな所にいたのかい、随分と探したよ」


うん?探した? 探査魔法使えたはずじゃあなかった?


「何故か、探査に引っかからなくてさぁ~・・偽装か。

 なるほどね~・・・ボナディア、ディアナ、出ておいで!!」


間違いなくアグラットだが・・・

何故に魔力をコントロールしていたのか謎だ。


「旦那様~、抱っこ!!」


「負んぶして下さい!!」


ブラウにケイも来ている。


「「「「!!!!!」」」」」


アグラットの魔力が膨大となり周りを威圧する。

護衛か案内で一緒に来ていた男性たちは恐怖した。


「「「「じゃあ・・おつ、俺たちはこれで・・・」」」」


一目散に逃げだしていった。


「おらぁ~、早く出てこいや~!!!」


アグラットの怒号が闇夜の静寂を打ち破る。

テントの中に鳴りを潜めていたボナディアとディアナは開き直ったのか


「何ですか、騒々しいですよ」


「そうです、静寂を楽しいでみては如何でございますか?アグラット様

 ・・・もう、これからという時に・・・」


二人は先程までの怒気を収め、堂々とアグラットの前に立つ。


「何を開き直ってるんだい、約束はどうした?

 もうとっくに交代の日時は過ぎてんだろうが!!」


えっ? そうなの? 

確かに交代制で奥様たち全員と旅をする約束にはなっている。

交代に関しては奥様たちに一任し、自己申告制になっていたはずだが。


「良いじゃありませんか、少しくらい・・

 私たちは滅多に旦那様と一緒にいることが叶わないのですから」


「そういう問題じゃないだろう!

 約束は約束なんだから、ちゃんと守らなくちゃダメさね。

 大体、ボナディアが一番大人なんだから

若いモンに手本を示さなくてどうすんだい!」


長い説教タイムが始まったが

ボナディアが説教を受けていた時に舌打ちした事は秘密だ。




説教を受けたのは俺じゃないぞ!!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ