空耳
反乱軍に加わった者たちの身柄は全て拘束した。
ハチには約束通りヤカンを引き渡した。
何か実験に使うらしいが詳細は聞かない方が無難だろう。
身柄を拘束した者のうちで婦女子に暴行を働いた者を見つけ出し刑に処される。
重罪は確定しており労務刑だ。
労働奴隷として一生を終える事になる。
中でも女性に性的暴行を加えたものは去勢され、無限牢獄送りとなる。
二度と社会復帰は出来ない。
性的暴行を加えた者には死刑が妥当であるという意見が多数を占めたが、
死刑など生ぬるいと俺は思ったのは秘密だ。
今回の反乱に至るまでの経緯が判明した。
サルジエール兄弟にそそのかされたのが主因だった。
最近、皇帝により低減税率の措置が取られたのだが
皇帝代理により廃止され大幅な増税が行われた。
また皇帝は魔族の労役の義務も免除し代わりに自領の開発に
尽力するようにと通達を出したのが
それも無効としそれまでの数倍の労役を科した。
魔族の帝国への不満は募るばかりだ。
その様な折、獣人国からやって来たサルジエールが不満を煽り扇動し
反乱を企て主導権を握り実行に移した。
皇帝代理は魔族への弾圧ともいえるべき政策を実施した結果、
自分の首を絞めたことになる。
取り巻きだった貴族たちも皇帝代理に見切りをつけ
さっさと自領へ引き籠り事の成り行きを見ることに決めた。
独りになった皇帝代理も他の貴族にならい自国に立て籠り
成り行きを見守っているのだろう。
反乱軍の処罰を終え魔族自治領には当面自粛を促し、
追って沙汰を下す事に決まった。
魔族自治領には皇帝自ら処罰を下すことになるとは思う。
反乱を引き起こし国に混乱をもたらした罪は重い。
国家反逆罪が適用される事になるだろうが、
俺としては恩赦を与えてはどうかとも思うが・・俺が口を出す問題ではない。
今回の反乱は帝国に対しての反乱でありアザリアには直接関わり合いはない。
皇妃からの援軍要請に応えた形をとっているのだ。
ただ、メネス帝国の再建の手伝いくらいは進んでやろうと思う。
皇妃の為でもあるが、やはり一番の被害者は領民であり
見過ごす気にはならないのだ。
「旦那様、反乱首謀者の処断も終わり、やっとゆっくりできそうです。
今夜はゆっくり休めそうですね。
楽しみにしております!!」
・・アイラさん、どこでゆっくり夜を過ごすつもりですか?
・・本当にゆっくりできるのですか?
・・余人を交えゆっくりですか?
・・それとも二人きりでゆっくりですか?
・・温泉入りたいと贅沢言っても良いですか?
・・お風呂でゆっくり楽しむのですか?
・・公都の温泉だとその他大勢もいますよ?
・・カーニバルになると思うのですか?
・・乱交パーティーって言いませんか、それ?
・・未成年者もいるかもしれませんよ?
・・構わないのですか? そうですか・・そうなんですね・・
騎士団を率いて一時ゲートで公都に戻る事になったが、
アグラットには帝都に残ってもらう事にした。
何かまた急変が起きた時の為だが・・・
その時のアグラットの様子を語る必要はないのかもしれない。
烈火の如く、いや猛炎の如く怒り・・いや笑顔を振りまく。
笑顔だが身に纏うオーラが半端ではない。
「そうですか、私だけ居残りですか、そうなんですね・・
皇妃、皇帝が時間をかけ過ぎているのが原因ですね・・・
分かりました・・・」
そう言い残すと、城へ駈け込んでいった。
その後すぐ、皇妃の名の下に新生メネス帝国の政策が
大々的に発表されたのだった。
「とっとと政策決めろや!
じゃなきゃ帝国、消し炭にさらすぞ!!!」
これって、空耳だよね!!!!




