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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
アザリア大公国
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厚顔

メネス帝国の皇妃が皇帝との婚姻関係を破棄し俺との婚姻を申し込んできた。

まだ離婚が成立もしていない人妻との婚姻など成立するはずもない。

この世界では重婚は通常の事のようだ。

確かに俺も複数の妻を抱える身で重婚者だ。

これは魔族であるが故、許される事だとばかり思っていたのだ。


魔族の男性人口は少ない。

女性社会と言えるような女性人口が圧倒的に多い。

もしこの様な社会において一夫一妻制を採用したら未婚女性で溢れてしまう。

それを避けるための一夫多妻制である。

それに男性だけが妻を複数持つことが許されている訳ではない。

制度上女性も複数の夫を持つことも許されているのだ。

ただ、男性の人口が少なすぎるので現実的ではない。


エルフの男女間人口比率はほぼ同じと言っても良いだろう。

その様な状況で重婚が認められている。

身分が上位の者は複数の妻をもち、下位の者は妻を娶っていない者もいる。

下位身分の成人の場合、男性の未婚者が多く女性はほとんどが既婚者だ。

下民の人たちは貧民層が多く自分が食べることで精一杯で妻を養う事も覚束ない。

その様な経済状況の中結婚をしようと思う男性は滅多にいないらしい。

残念なことにエルフには共働きと言う概念が浸透しておらず

妻を働かせる夫は世間から軽蔑の目を向けられ爪弾(つまはじ)きされる。

文化風習の違いとは如何に奇なるものかと考えさせられた。



イトラ皇妃は現メネス帝国皇帝を強制退位させ統帥権を取り戻し

俺に権限を与えようとしている。

これは俺の奥様たちの入れ知恵のようだ。

今の状態が続けば何れ帝国は崩壊してしまう。

それを皇妃は気に病み何か打つ手はないかと色々試案を巡らせていた。

しかし現状を打開する妙案は浮かばず途方に暮れていたところ

奥様たちが救いの手を差し伸べた。


「旦那様に頼るのが一番さ、全てを任せて(すが)れば助けてくれる。

 旦那様を信じてお任せしな」


「アグラット様、宜しいのですか? 私などがその様な・・・」


「ああ・・これは私ら家族の総意だと思ってくれていい」


「あ・・ありがとうございます・

 これで帝国共々私も救われます」


「代わりと言っちゃあなんだが、分かってんだろうね・・」


「はい、この命尽きるまで・・尽き果てても未来永劫総てを捧げます」


俺に何の相談もなく、アグラットの意見に奥様たちが賛同し

皇妃が同意して離婚したのち、俺が(めと)ると言う話が(まと)まってしまったのだ。


イトラ皇妃が俺の妻になるという壮大な計画を立てるだけならば良いのだ。

問題は皇妃が離婚し統帥権をアザリアで行使するという事にある。

間違いなく帝国は混乱を招く。

行政権、司法権、立法権全てを帝国から奪いアザリアが持つことになる。

統率の執れない帝国、無政府状態に陥る帝国・・混乱の極みだろう。



しかし何で俺の嫁などになりたいと思うのか・・・

この世界は不思議な事ばかりだ。

あっ! この世界の女性は俺みたいな変わり者、つまり変人が好きなのかも!

変人好きの変人が俺の嫁になりたいと思うのか?

俺=変人=俺の嫁って等式が成り立っているのか?

いや、俺の妻たちは変人ではない、

少し趣味が他の人たちと異なっているだけだ。

そうに違いない・・・だろう。

この世界が変な世界なので変な俺が好かれるのかも知れないのか?

考えれば考える程、変な答えに辿り着いてしまうので考えるのを止めた。



奥様たちのアザリアの統治計画は穴だらけだと思う。

しかし実際に統治してみたら上手くいくという事もあり得るので、

みんなの意見を尊重することにした。

帝国、獣人国・・どちらが先に(ほころ)びをみせるのやら。

一応考えられる範囲で対策を練っておくことにしよう。



皇妃の離婚宣下より先に帝国が動いた。

お腹が空いた・・じゃなかった食料寄こせ・・じゃない。

条約に基づき食料を要求してきた。


厚かましいにも程がある・・厚顔とはこの事だ。

先の条約を自分勝手に全て破棄しておきながら条約に基づく要求とは・・

この様な自分勝手が許されると思っている皇帝代理とは

どの様な奴なのか見てみたくもある。


自分勝手な人物だ・・厚顔なので顔の面積大きいのか?

顔の面積が広いって髪の生え際もかなり上なのか?

正面から見たら禿に見えるのか?

それとも横に広く太って見えるのか?

様々な想像が膨らみ笑ってしまった・・いけない事なんだろうが。




自分勝手が通用するわけがない!!!!


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