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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
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住居

時間をかけハチと話し合い?をした結果、この辺りでモンスター相手に戦闘訓練を行うことになった・・・・・嫌だ。

最大限の抵抗はした。ハチは俺のことをマスターと呼ぶ。つまり俺はハチのご主人様なのだ。最終的に命令ってことで訓練をしなくていいようにするつもりだったが、それを見透かしたように様々な方面から訓練の重要性を諭され、訓練を行う事となった。

もしもの場合は援護してもらう約束は取り付けた。

まあ俺のことを真剣に心配したハチからの提案だ。受けるしかなく訓練を行う約束をした。


しかし、ちょっと待て。戦闘訓練も必要だけど、それ以前に俺はこの世界でどの様に生活していけばいいんだ?生きて行く上で生活基盤を安定させなきゃいけないだろ?戦闘技術を磨くよりそっちの方が何倍も重要じゃないか。衣食住はどうする?それを支える為の収入はどうすりゃいいって、この近くに生活に生活な物とか売っている店とかあるのか?

『御心配には及びません。衣食住なるべくご希望に沿う様に御用意させていただきます。』


出たよ、ご都合主義か・・・

『ご質問の意味は理解出来かねますが、コロニーより全て手配可能となっておりますので、ご安心下さい。生活を支える為の収入など不要に御座います。また近くには店など御座いません。』


店は無いのか・・・コロニーって何だ、植民地でもあるのか?

『申し訳御座いませんが、詳細は割愛させて頂きます。ご心配には及びません。既にこのラボ近くに簡易的なお住まいもご用意させて頂いております。』

・・・・・・・・・

至れり尽くせりで言葉も出ない。何かもうビックリし過ぎで疲れた。

少しのんびりしたい。

『畏まりました。お目覚めになられてまだ時間も少ししか経っていませんでした。では仮の居住地にて暫しお寛ぎ下さい、ご案内さて頂きます。』


・・・・・おい、待て!この部屋の外に出るのか?俺素っ裸なんだけど、このまま外に出なければならないのか?

因みに、この肉体はかなり逞しい御立派さんを備えていらっしゃる。何か嫌だ・・・

このままじゃ嫌だ、立派過ぎだろ、恥ずかしい。何とかならないか・・・

と、思わず声にした。

『そのままで問題は無いと思われますが、形態生成が可能でございます。』

何か冷たい言い方に聞こえたが・・・形態生成って何だって、思ったら続いて

『肉体を変化させる特殊スキルです。意識を集中しご自身の肉体の理想像を思い描けばその様に肉体が変化致します。』

どうでもいいじゃないかそんな事、って感じで応えてくれた。

お~、御立派さんが・・・・・スキルって何だか凄いな。普通?が一番!!


あと衣服や靴が欲しいと思ったら、既に用意してあった。どこから出したんだ?少しばかり変なデザインだ。上は白で下は黒、色合いだけなら学生の夏服っぽいが、デザインが・・

下着は靴下まで普通だが生地が良いのか少し良い感じ。しかしシャツは開襟シャツみたいだけど、胸元空きすぎ。下はボンタンかな~、太腿の所が広がっているし、どこかの第三帝国のズボンみたいで変。靴はまさしく第三帝国の長靴だ。靴は何だかカッコいい。


元の世界のデザインに合わせてくれる様ハチに頼んだら断られた。この世界の衣服と住居に関しては元の俺が居た世界とは異なるので、俺の求める物とは多少差異を生じさせなければならず、それに慣れる必要もあると注意された。出来るだけこの世界の人々と感覚共有できるようになって欲しいとのことだ。しかし肉・魚・野菜・穀物などは大きな差はないらしい。食が同じで安心した。妙な物を食べたくないし。


この世界にも人間が存在する。

様々な人種が生活しているらしい。様々な生命体の調査は無論のこと、色々な人種についても、種族によっては国家を形成あるいは集団生活を行っていて、それらの営む政治経済活動・文化水準等概ね把握している。文明レベルは元の世界とは比較にならないくらい低いらしい。どうやって調べたのかと疑問に思うも聞かなかった。

要は種族ごと多種多様な国家・集団が存在する世界と言う事だが、関わり合いにならなければ問題ない。あまり気にしない事にした。


外に出ても大丈夫なのか確認すると、この近くでの脅威になり得るものは全て排除しているってことだ。

それでも一応警戒しながら外に出てみると、そこはまるでジャングルを思わせるような木々が生い茂る森の中だった。見たことのない植物ばかりだと思いながらラボの方を振り返ると、そこには何もなかった。

ハチにラボについて聞くと、認識阻害が施されているって事だ。

移動も瞬時に可能って、何かすごい。


ハチの指示通りに少し進むと、小汚い小屋を見つけた。

これが当面の住居になるだろう小さな小屋だ。

山小屋ならぬ森小屋かよと思いつつ中に入ると、ビックリした。

かつて俺が住んでいたアパートの部屋そのものだった。オールフリーリングのバリアフリーで車椅子でもそのまま中に入れるタイプの部屋だ。

ダイニングキッチン・リビング・ベッドルーム・バス・トイレ全て同じだ。あと家具はもちろん家電やPCもある。

全部俺が使っていたものだ。

何故ここにある?本当は異世界とかではなく、俺がいた世界じゃないのかと考えていたら

『元の世界でマスターがご利用なさっておられましたものを全て再現させて頂きました。』


レプリカなのか。よく見れば確かに全て真新しい。

何だか妙な気分だ。つい先程までここにいた様な、そうではない様な・・

色々なことがあり過ぎて理解が追い付けずどうでもよくなってきたが、時間が経つにつれ何だか落ち着いていくし温か味も感じてくる。

今まで抱いてきた不安感が自然に払拭されていった。

それと同時に不思議と気持ちも充実してきた。

その後暫く放心状態となったが、急に懐かしさが込み上げてきて、思わず声が・・・・・・・


ありがとう




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