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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
交流都市
210/596

悪臭

高等クラスのエルフは魔族に対し偏見を抱いている。

先生が魔族はエルフに劣ってはないと言うが、

エルフの生徒は魔族とは低俗な種族だと主張する。

まあ、どう思われようが俺にとってはどうでも良いことなのだが

奥様たちが馬鹿にされるのは我慢できない。



しかし、妙な話だ。

この都市は魔族とエルフの交流を目的として作られたのだが、

移住してきた者たちも魔族を理解しようと思いやってきたはずだ。

このクラスの前任の先生も帝都よりわざわざ呼び寄せたにしては不思議だ。

差別意識を持ったままこの都市にやって来るなど考えられない。


何か思惑が働いているのではないかと疑念を持ったので。

ハチに頼んでこの都市に関する帝都での情報を集めてもらう事した。

またそれとは別にノアルにもこの都市のエルフたちについても調べてもらう。



先生と糞ガキの言い合いは、まだ続いている。

あの糞ガキはギャアギャア騒ぐだけで

どうせ何もできやしないと無視して席に着いた。


「何勝手に座ってやがる、この教室から出て行けって言ってんだろうが!」


「五月蠅いぞ、糞ガキが、てめえは黙ってろ!!」


アグラットが叫んだ。

美しい大人びた女性の雄叫びにも似た大声で一瞬あたりは静寂に包まれた。

エルフたちは驚き固まってしまい

これに乗じるように先生が授業の開始を宣言した。


我に返ったエルフたちは授業の妨害を始めた。

正確には大声騒ぎはじめ魔族出て行けを連呼するだけなのだが、流石に五月蠅い。


「先生、周りが五月蠅くて授業内容が分かりません。

 ちょっと黙らせていいですか?」


騒いでいる生徒を全員立たせてその場で黙らせた。

言霊縛りを使ったのだが、初めて見た者は

何故そうなったのか分からず驚いたようだ。


授業が再開したが授業終了まで連中はそのまま立たせていた。

昼食の時間になっても騒いだエルフはそのまま放置しよう。

罰として昼飯抜きだ。

全ての授業が終わるまで放置しようかと思ったが、

昼食後の授業は外での実習訓練だったので

昼食後の授業開始前に縛りを解除した。



今日の訓練は格闘訓練だ。

乱取り形式の組手を行うとのことだ。

この際だからエルフたちに痛い思いをしてもらおうとするが・・・

エルフ連中は俺に寄ってこない。

エルフたちは自分たち同士で組み、俺を相手にしようとしない。

魔族は魔族同士で組み訓練を始めている。

・・・・ボッチになってしまった・・・


することも無いでの皆の訓練の様子を(なが)めることにしたが

訓練を見てみると思ったより奥様たちは強くなっている。

ブラウとケイもなかなかの腕前だ。

そう思って感心したが、それに比べエルフたちはまともに訓練をしていない。

馴れ合っているのだろうか、遊んでいるようにしか見えない。


そこへ先生がバルバロスを伴ってやってきた。

格闘の専門家として臨時指導をするらしい。

バルバロスと軽く会釈を交わすと彼はエルフの方へ向かい、

指導を始めようとするとまた糞ガキが文句を言い始めた。

臭いから近寄るなと言う。

バルバロスは奴らの言葉を鵜呑(うの)みにして


「ワシはそんなに臭いですかな・・・」


真剣な顔つきで先生に確認を取っている。


「おい、糞ガキ、臭いのはお前なんだよ。

 俺ら魔族は体臭を魔法で自在に変えられるんだ。

 それなのにお前は臭いって、それってお前自身の匂いなんだよ。

 糞臭いのはお前の匂いだ、バカ野郎が!

 可哀そうだから黙ってやっていたんだよ。

 思いやりだ、気づけや糞ガキが!

他人に配慮なんか出来やしないお前には

思いやりって言っても分からないだろうな。

 ウンコエルフ、分かったか!!」


・・・嘘だ、そんな魔法自分にかけない・・・

しかし周りは大爆笑だ、魔族は大笑いし

仲間のエルフたちも笑いを(こら)えるのに必死だ。

糞ガキは顔を真っ赤にして押し黙るが、しばらくして


「だ、黙れ、俺は臭くねえ!!」


「ほお~、糞ガキお前も消臭魔法使えるのか?

 試しに使って見せろや、ウンコエルフの糞ガキさん!」


俺は糞ガキの高慢な態度にも腹が立つ。

仲間のエルフたちから一目置かれているのは間違い無いと思い、

奴を(おとし)めることにした。

奴も今の立場を失えば少しは大人しくなるだろう。


「おい、仲間のエルフさんよ~。

 そいつの側にいるとウンコが移るぜ。

ウンコエルフって呼ばれたくなければ近寄らない方がいいぞ~・・」


正直、自分で言っていて恥ずかしくなってきた。

まるで小学生の言い方だ・・・こんな事は小学生すら言わないか・・

しかしこの程度の奴らならそれくらいの扱いで丁度良いだろうとも思った。


「ロンヒル君、何を言い出すのです。彼は・・その・・

 臭くなんかありません。言葉を取り消しなさい!!」


先生が糞ガキを(かば)う訳でもないが、事実ではない発言を撤回しろと言う。

まあ、俺も適当に奴を(おとし)めるために咄嗟(とっさ)に言った言葉だ。


「良いでしょう、その糞ガキのウンコエルフが魔族に対し

吐いた暴言を取り消し詫びるのであれば取り消しますよ。

そうで無いのなら、取り消しには応じませんし、

今後糞ガキの顔を見る度にウンコエルフって言いますから。

 ああ、それと状況に応じてこの都市中に広まるかもしれませんね。

 奴がウンコエルフだってね!」


「そ、そのような事は止めなさい。

 ほら、君も魔族の皆さんに謝りなさい!」


「だ、誰が謝るもんか、臭せえのは魔族だ!!」


「今度、皇帝に会ったら言っておくぜ。

 帝国貴族の中にウンコがいるってな!

 ウンコ臭いのが混じってるぜ、って伝えておくからよ。」


「だ、黙れ! 貴様ごとき皇帝陛下がお会いになるはずねえだろ。

それに俺の家は侯爵家だ。

それをバカにするつもりか、不敬罪で処刑してやる!」


「俺を処刑するってか? 

ウンコ貴族が出来るもんならやってみろや!!」


「あなた達、いい加減にしなさい!

 それ以上の暴言は許しません!!!!」



先生が切れた・・・少し笑ったのは秘密だ!


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