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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
交流都市
202/594

失礼

どこの世界も同じなのかもしれないが

この世界も女性は恐ろしいと少しだけ分かった気がした。

俺の周囲にはそのような女性がいないことを祈ろう。


しかしエルフの男の子はかなり積極的だ、と言うか(へこ)()れない。

まあ(あきら)めが悪く執拗(しつこ)い男は女性に嫌われると思うのだが、

この世界では分からない。

ブラウとケイが嫌がり始めたら男の子たちを追い払うとしよう。



中休みも終わり授業が再開した。

先ほどの授業は礼儀作法やマナーについての座学だ。

礼儀やマナーがなぜ必要なのかという事を理をもって教えているが、

ここの生徒たちに果たして理解できるのか謎だ。

おそらく「三つ子の魂百まで」の精神で若いうちに叩き込もうとしているのだろう。

意味不明でも記憶の奥深くに刻み込まれたらそのうち理解できる。

エルフ帝国はそのようにして秩序を保ってきたのかもしれない。


今からは序列についての授業だ。

序列は守らなければならない、その理由についての授業だが・・・

男の子は先ほどからケイやブラウの方ばかり気にしている。

女の子はしっかり先生の話を聞いているような感じだが・・・

奥様たちは眠そうな感じで上の空状態だ。

礼儀作法・マナー・序列、どれをとっても秩序を保つために

必要だと先生は強く訴える。

若い先生なのに大した熱の入れようだと感心する。

もっと若い俺が思うべきではないのかもしれないが・・

先生の高説に納得するかは別としてもあれだけ頑張って教えているのだ。

しっかり聞いておかないと先生に失礼にあたる。

礼を欠かさないようにしよう。



先生の熱弁授業も終わり本日の日程は終了し下校時間となった。

今日の帰りは皆揃って交流都市の俺の家まで帰ることにしている。

教材の配布もなく先生の呼び出しもないようなので

奥様たちに帰ることを告げ教室を出だ。

教室から出るとブラウが抱っこを求めてきた。

相当気を張っていたらしく疲れたというが、

甘えたくて仕方がなかったのを我慢して疲れたようだ。

仕方がないので今日だけ特別だと言い聞かせ抱っこしてやると


「おい、平民、女の子を離せ。

 嫌がっている女子を無理やり(さら)うつもりだろう。」


先ほどブラウやケイに詰め寄っていた男の子たちだ。


「その子と一緒に帰る約束をしたんだ。

 早くその子を離せ、離さないと痛い目をみるぞ。」


・・約束したの?・・してない?・・濡れ衣だって?・・

痛い目ってどんな目なのかも少しきょうみもあるが・・

こんな小さな子も面倒起こすのかと思うと嫌になる。

ブラウを下ろし、今から俺の説教タイムだ。

礼を以って礼を尽くす、当たり前の事だが簡単にはいかないことでもある。

この子たちに礼儀と言うものを叩き込むのも大人の役目なのかもしれない。

礼儀を弁えぬ者を無頼漢ともいう・・かな?


さて、ほんの少しだけお行儀を正すことからだ。

男の子を全員強制的に正座させ、まず嘘をついた事を詫びさせ、

女の子に執着し過ぎることは良くないことだ、

これを無礼と言うと教えたが、

それがエルフでは当たり前のことだと言う。

そう言えばアイラも貴族たちから嫁になれと執拗(しつこく)されていた。

俺は女性男性に限らず、相手に対し迷惑になる行為や

嫌がられる行為をするべきではないと力説してしまった。


相手に嫌悪されてしまうと争いも起きかねない。

そういう事を好むのかと聞いてみると、

好まないと言う子もいれば降りかかる火の粉は

薙ぎ払うと豪語する子もいる。

その火の火種が自分であってもかと問うと、押し黙った。

争いには火種がありその種を()くような行為はするなというと


「「「「「わかりました、先生!!」」」」」

・・・先生扱いかよ・・・


この子たちは帝国貴族の子息たちで家の権威で俺を脅そうとした。

そんな脅しが俺に通じるはずもなく、

年上の圧力とでもいうべきか少し声を荒げ

正座するように言うと素直に従った。

まず貴族の権威はこの都市では一切通じないことを

教えたらビックリしていた。

この都市が出来た経緯(いきさつ)などは知らないようだ。

この点も市長に改善させたほうがいいだろう。

それとブラウとケイは俺と同じ家で暮らしていると伝えると驚い・・

あれはショックを受けた顔だな・・言って後悔した。


男の子たちはもう一度俺やケイ、ブラウに詫びて帰っていったが、

かなり遠巻きではあるが同じクラスの女子たちが見ていた。

「先生、大きな男子が他の男子たちを(いじ)めてました。」とか・・・

先生にチクるつもりなのかな・・・まあ一見そう見えなくもない。

その時は素直に謝ろう。


皆揃ったので校門を出ると今度は遠巻きに

この学校の先ほどとは別の男子たちが俺たちを見ている。

何か仕掛けてくるかもしれないと少し警戒もしたが杞憂(きゆう)におわった。


門を出て少し歩くとブラウは抱っこ、ケイは負んぶを求めてきたので

仕方がないと思い両方を抱え家まで帰った。

帰り着いた時には既に二人とも眠っている。

やはり気疲れしたのだろう、この後アザリアまで戻るつもりでいたのだが、

交流都市に泊まることにした。


・・何で侍女たちも俺の部屋にいるの?

・・ブラウがいるから?

・・適当に空いている部屋に行っていいけど。

・・この部屋にいる?

・・ここで寝る?

・・風呂もここで?

・・今から着替えるの?

・・この部屋にいろって?

・・着替え見えちゃうけど?

・・見て欲しい?

・・何で?

・・胸が大きくなるから?

・・誰が言ったの?

・・・・・ブラウか・・・・



明日の説教、ブラウ決定!!!





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