屋台
市長にアザリアからの学校入学希望者リストを見せると、
初めはため息をついたが途中ニヤリと含み笑いをして
全員の入学の許可証を発行してくれた。
あの笑顔は少し気になったが許可証を発行してくれたわけだし
文句を言う筋合いはない。
しかし何か企んだような顔にも見えたのだが気にしないでおこう。
実際まだ学校は完成していないのでもう暫く入学まで時間はある。
どうなっても知らないぞと思いつつ、
市庁を後にしたらすぐそばの空き地に小屋?を建設中だった。
物置小屋にしては大きいのだが、何に利用するのか分からなかったが
よく見ると小屋の入り口を見れば看板が掲げてある。
【メネス帝国皇帝陛下御座所建設予定地】
目を疑ってしまった。
この様な建物で果たして良いのだろうか。
メネス帝国は近隣諸国の中で最も強大な勢力を持つ国だ。
本当に御座所だとしたら皇帝が一時的とはいえ住まう場所なのだが
こんなに貧相で許されるのだろうか・・・否である。
あり得ないと思いつつも奥の方に目をやれば
もう一つ小屋らしき建物があった。
不思議に思い近づいてみると、ここにも看板があった。
【プトレ国国王陛下宮殿建設予定地】
・・・言葉を失ってしまった。
・・・見なかった、気が付かなかったことにしよう。
確かに国王陛下はこの地に住居を構えたい、
別荘が欲しいと言っていたような気がするが
まあ、どうせ女性漁りが目当てなので放っておこう。
しかしあのプライドの塊のような皇帝が、果たしてこの地での
住居をみてどのような反応を示すか少しだけ興味はある。
・・・放置に限る、面白いことになるかも。
入学許可証を持ってアザリアに戻ると・・・何がどうなった?
男女共同居住区画で屋台が立ち並んでいる。
何かお祭りでもあるのかと思いつつ都庁に向かうとここでも屋台が。
何事かと思い屋台の準備をしている賄いのお姉さんに尋ねると
お祝いの準備をしているとのことだった。
何の祝い事かと聞いても分からないとのことだった。
賑やかな催しは嫌いではない、自分が主役で無ければ・・なのだが。
客観的に賑やかな風景を見て楽しむのは好きだ。
賑やかな事に巻き込まなければの話だ。
この準備の指導を行っているのは大福たちのようだ。
彼女たちに何のお祝いか尋ねることにした。
・・いない・・他の奥様連中もいない・・ケイもいない。
仕方がないのでブラウの侍女を探し聞いてみることにしたが、彼女たちもいない。
暫く辺りを探してみるも誰も見かけることはなかった。
どうしたのだろうかと思いながら都庁に行ってみると、
奥様方は小会議室に籠って何かやっている。
女性だけの集まりに俺がのこのこ顔を出すのも憚られると思い、
東屋の方へ向かいお祝いの準備を暫く眺めることにした。
よく見ると騎士団員や賄いのお姉さんに混ざって
小さな女の子も作業に加わっている。
ブラウと同じくらいの年齢に見えるのだが、
ブラウは実年齢よりかなり見た目が若い。
まあ7~8歳くらいだろうか、
一生懸命にお手伝いをしていてその姿が健気で可愛い。
微笑ましく思うが・・どこの子なんだろう?
そう言えば州都でブラウと同じくらいかそれより年下の女の子を見たことがない。
新しい移住者の子かとも思うのだが、
ここに越してからは男性立ち入り禁止区画に移住者はいない。
別区画の移住者が遊びにでも来ているのかもしれないので気にしないことにした。
幼い子が健気に働く姿は見ているだけで心が何故か安らぐ。
それにしても可愛い。
大福たちは今でも可愛らしいのだが幼い頃は
あのようにもっと可愛かったのだろうと思うと凄く妙な気分にもなった。
・・ロリじゃありませんから!




