進展
ご覧頂きありがとうございます。
本日投稿分の2話目になります。
メネス帝国の皇妃様のお出ましだ。
わざわざ皇帝になり代わりお越しになるとは、
一体どういう了見なのか測りかねる。
「今回の会議におきましては、女性同士で行わせて頂きたいのですが、
ご了承いただけますか?」
何故に女性同士でとも思うが、
どうせ俺がやったとしても進展は見込めそうにない。
面倒なことも御免被りたいので快く了承した。
会議の議題は帝国側の要求としてのアザリア自治州の武装解除と
アザリア自治州側の要求としては帝国の自治州への不介入だ。
皇帝は俺が武装解除に応じない限り何度でも自治州に攻勢を構える覚悟だ。
俺は解除には応じないが、攻めてくるなら何度でも
攻めてこいとか言いたくはない。
俺は無能だが愚者には成りたくはないのだ。
まあ、女性同士で話しをしても平行線で
お互い納得のいく回答は出てこないだろう。
しかし、話し合いを行わないよりはましだ。
もしかしたら、相手の気が変わるかもしれない。
妥協案などでるはずもないが・・話し合いをしている間だけでも戦争は
回避出来るのだからこれはこれで有意義と思う事にした。
「えっ? 話し合いがまとまった?
お互い妥協し、協力することになった?」
まとまる筈もなく、妥協する筈も無いと決めつけていたが、
何故かまとまってしまった・・恐るべし、女性陣。
進展の理由は彼女たちの話し合う論点が俺と皇帝とで全く異なっていたのだ。
彼女たちの話し合いの論点は、武装解除や不介入ではなく
どうすればお互いを知ることが出来るのかという事だ。
そのためにまずは、交流から行う事で合意した。
その手段として国境付近に交流のための
新たな都市を建設することに決まった。
都市の建設は皇帝側が受け持つこととなり
その都市では帝国側と自治州側で通行の自由を認め、
その都市に関してのみ身分の差をなくし、
誰もが自由に暮らすことが出来ることになる。
また課税に関してもその都市の人々はある一定期間は非課税とし
治安維持はアザリア側で責任をもって行うことになった。
ただ、帝国側の要求として衣装展示会を自治州の主催で行うことを提案された。
アイラたちの作った服を自由に見たい、買いたいという事だ。
装飾品に関しても展示要求があったようだが、それはやんわり断ったらしい。
衣装に関しても俺は関係が無いので
アイラたちに丸投げ・・と言うわけにいかなかった。
どのような服いいかと服のデザインの提案と完成した服の
感想などを求められ結構面倒な事態になってしまった。
まあ和平交渉などよりは遥かに気楽なのだが。
ちなみに、皇帝には文句は言わせないと皇妃が豪語する。
少しでも文句を言おうものなら引っ叩くとのことだ。
メネス帝国の貴族女性の立場はプトレ王国とは異なり、
女性の地位の方が上のようだ。
女尊男卑とでも言うべきか、普段は政には皇妃は口を出さないが
皇妃が決めたことに対し皇帝は反論できないし従わないといけない。
全ての決定権は皇帝より皇妃の方が上だ。
今までは帝国が戦争を行う決定に関して
皇妃は口出しをしたことが無いらしい。
しかし、皇帝が決定した開戦に皇妃が反対した場合は
皇帝は皇妃の意見に従わないといけない。
皇妃の意見に従わず無理に開戦した場合、
皇帝はその座を追われ反逆者として罪に問われる。
帝国貴族にしても同じらしく、
主人は夫人の意見に従わないといけないらしい。
従わない場合は家を追い出され平民に落とされるようだ。
女性の権力が強過ぎではないかと思わなくもない。
男女平等になるのが理想的ではあるが、
民族的風習ならば俺などが口を挟むことでは無い。
それに他国の事でもあり下手に何か言おうものなら
内政干渉とも受け止められる。
交流都市では男女平等で如何なる身分格差も生じないように願いたい。
アザリアは男女平等だよ・・たぶん!!!




