拿捕
俺もいい加減呆れてしまい、まともに相手をする気も失せた。
「ここにはいないが、王国軍第1軍司令官。
外務卿、王国軍総司令官そして軍務卿・・・
王家並び国家に対する反逆罪により職務に関する全ての権限の停止、
職の罷免、並びに爵位の廃位 以上を申し渡す。
身柄は軍警察により拘束するもとし、量刑は余罪を追及の上決定する。
反論、異議ある者は名乗り出ろ、聞いてやる。」
貴族たちは俺に反論する気力はないようだが・・賛同してるのか?
「何をバカな、ロンヒル貴様にその様な権限はない!
血迷ったか!!!!」
軍務卿が吠えるが、負け犬の遠吠えだ。
「これを見ろ、国王の徽章だ、
控えおろ~、これが目に入らぬか!」
言っちゃった・・・笑うぜ・・プッ!
「さてはロンヒル、貴様、帝国との負け戦の責任逃れのために
我々を罪に陥れるのであろう、そうに違いない、この知れ者め!
第1軍はどうした、誰も戻って来てないではないか・・
帝国兵に追われ殿を第1軍に任せ、逃げ帰ったのであろう、
違うか、この卑怯者めが!」
「ああ、確かに第1軍は帝国兵に追い詰められているさ。
王国第3軍も帝国兵に協力してな・・総勢十五万だったかな?
帝国とてめえら、繋がっていたんだろうが、帝国の気が変わったのさ
俺に味方するってよ・・いい加減気付けよ、てめえは負けたんだよ」
「だ、黙れ、小僧、いい気になるな、何も出来ないガキが
何をほざく!」
「うるせえぞ、えっと・・名前なんだっけ?
元総司令の名前って・・あ、キッタネーナ・ゴッキブリーニ
てめぇは口を開くな!
いい加減、観念しろよ、てめえら、年貢の納め時って・・
分からないか・・潮時なんだよ・・終わってんだ,既によ!
諦めるって、分かるか?分かんねぇだろうな・・
ゴミ屑ミミズには理解不能ってか?」
「だ、黙れ、証拠もなく我らを捕らえようとは・・
貴様こそ、職権乱用罪の反逆者ではないか!!!」
軍務卿もまだ諦めず逃れようと必死だ。
「てめえこそ、黙れ。
おい、ミダーラナ・エロジージ・・
これを見ろ、ミソヅケ・ナスビの屋敷から見つかった
帝国との密約に関する書状だ。
てめえらと帝国の署名がきっちり確認できるが、
これでもまだ言い逃れするつもりか?」
「お、おのれ、下民が!!!」
ゴキブリが俺に切りかかろうと剣に手をかけた瞬間
ゴキブリの手に杭か撃ち込まれた。
「ギャアアアア・・」ゴキブリの悲鳴が響き渡る・・
「母上様、何を見ていらっしゃるのですか?
旦那様をお守りしなくてはならないのに」
「あぁ~、あんなのが旦那様に傷1つ付けられる訳がないじゃないか
そうだろう?旦那様」
・・・えっ?母上様?えっ?えっ?えっ?・・・
俺は混乱モード突入だ。
「これは、偽物だ!偽造した書状だ!罠だ!・・・」
まだ抵抗を見せるミミズどもだが・・
「失礼します。
私はメネス帝国にて侍従長を務めており
メネス帝国皇帝陛下の名代で参りました者ですが
こちらをご覧にありご確認頂ければ宜しいかと・・」
銀髪の魔女メルテがメネス帝国の侍従長をこの場に案内してきた。
侍従長はメルテに剣と書状を渡し
国王陛下に確認してもらう様に言った。
「確認した、衛兵
ミダーラナ・エロジージ、キッタネーナ・ゴッキブリーエ
ミソズケール・ナッスビー
以上の者を捕え、牢に繋げ!!」
剣はメネス帝国皇帝の証、書状は帝国と軍務卿たちの密盟約の書、
奴隷売買に関する約定書、これらを手にし、確認を終えた陛下は
即座に衛兵に命を下した。
一部の貴族は震え慄き、他の貴族も呆然と成り行きを見つめ
この場にいる貴族のほとんどが、今後何が起こるのか
不安で一杯という面持ちだ。
・・・俺も不安で一杯だ!!!!




