租借
ご覧頂きありがとうございます。
本日更新分の2話目になります。
朝からケイは騎士団に混ざって基礎体力作りを行っている。
基礎中の基礎で、ウォーキング→ジョギング→ランニングを
繰り返し行うだけだ。
基礎体力がしっかりしたら、格闘術でもやらせてみよう。
と言っても防御重視で攻撃は二の次だが・・
ケイが人を打ち倒す姿は見たくはない。
騎士団員ならば別だが、彼女は俺の従者と言う立場だし
若しもの場合は、防御で時間稼ぎをすれば俺が何とかする。
アイラにケイの事を頼むと快く引き受けてくれたので安心だ。
ケイが眠っている間は、アイラたち騎士団員が俺の身の回りの世話を
交代でしてくれていたのだが今はケイが全部やってくれている。
騎士団員は少し寂しくなったと言ってくれた事で、俺としてはホッとした。
余計な仕事させやがって、と思われてなかっただけ良かった。
騎士団の皆には感謝しないと罰が当たる。
今日の俺の予定は内務省を訪れることになっている。
今日の主題は土地問題だ。
固定資産税の導入だが、土地所有の領民は既に地租を納めることになっている。
土地を持たない領民に対しては土地の貸し付けによる
賃貸料を収めてもらうが
支払いの能力のない領民の中には
住むための家屋さえ怪しい者もいる。
その様な住宅困窮者のために公共住宅を用意し
役所で生活相談も受けることが出来るようにしている。
実際問題として領民の土地所有者は少ない。
ある程度の所得が見込める領民には銀行を利用して
土地を個人所有できる方向でも政策を行ってもらう予定だが・・・
大丈夫だろうか・・
最近、内務省の官吏たちは忙し過ぎて目にクマが出来ている人ばかりだ。
まあ、死ぬ気で働いてもらおう・・お国のため！ 領民のため！
領民の政策立案は俺として遣り甲斐があるのだが・・問題は貴族だ。
面倒なので全貴族の爵位を取り上げて全員一般の領民に格下げをし
貴族就任試験でも実施して合格者のみ貴族に採用するって、どうだろう？
まあ、即時反乱暴動が確定ですね～・・
領民を巻き込み大規模な暴動に発展する可能性大なのでこの案は却下だ。
貴族は大きく2種類に分類される。
ひとつは領主貴族、もう一つは宮廷貴族。
宮廷貴族には軍属も含まれるが、軍属は辺境伯であり現在3人だけだ。
軍属を含む領主貴族に全て領地を返還させ
領主としての権限も消失させる。
代わりに地方長官として赴任してもらう、
言わば版籍奉還の実施のようなものだ。
領主貴族としての権限を全て奪い、代わりに地方官吏の権限を付与する。
この形式を取れば、地方の領地まで王権が明確に拡大する。
官吏なので働きが悪ければ首の挿げ替えが楽に行えるので中央の威厳も増す。
応じない者もいるはずだが、それはそれで良い。
しっかりと叩く予定だ・・・候補も絞っている。
宮廷貴族だが、特権を廃止し爵位はそのままでも一応OKとするが
働きが悪い者は降爵させるか爵位をはく奪する。
爵位の件は問題ないのだが、やはり貴族から文句が出るのは特権の廃止だろう。
世襲による官吏への途用の廃止、不逮捕特権の廃止、租税免除の廃止・・
本当は爵位の世襲も廃止したいのだが、これはまあ良いだろう。
世襲しても能力が無いようなら、降爵・はく奪すればいいわけだ。
逆に有能で国に貢献すれば昇爵してもいい。
官吏途用制度は領民と同じ条件で途用試験を受験
不正を行った者は極刑に処す。
貴族の逮捕は軍警察に任せて問題あるまい。
ここで一番の問題は貴族所有の土地だ。
無償で王都内に土地が与えられて久しい。
この土地を国に返還させ、そこに住み続けるには土地の購入か
租借を申し出てもらう。
租借は当然有料で、購入した者には固定資産税を納めてもらう。
あと収入に応じた所得税も納めてもらうか・・・
貴族様特別消費税でも導入させてもらうか・・
領民に消費税は可哀そうだ・・と俺は思う。
時限立法として、貴族特別税も組み込んで臨時徴税策としよう。
これまで美味しい思いばかりした貴族は滅んでもしかあるまい。
真面目に働くものがバカを見る世の中なんて真っ平御免だ。
今まで苦しみながらでも真面目に働いて来た者が今度は楽しめる世になる。
そうなるべきだ、他国の領民が羨むくらいの国になって欲しい。
まずは、俺は一応貴族らしいので領地の返還を願い出る。
所得申告もしよう・・所得無いけど。
租借願いも出そう・・・土地代まけてね。
爵位も返還しよう・・・ダメなの？
スケベ元帥の職も辞職だ・・・ダメ？
領地の返還に伴いロンヒル街の長官になっちゃった・・
