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悪魔オヤジのムソウ  作者: 祇神 安紀
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治癒

描写がきついです。

撤退チャンスと思ったが、少し気になったので団長の後を追うと

中学生くらいだろうか

そこに上半身が血塗れ(ちまみれ)の少女が横たわっていた。

ひどい出血で急ぎ治療しなければ命が危ない。

「早く治癒魔法を!」

団長が慌てたように叫ぶと

「無理です。ここでは魔素が濃過ぎて治癒魔法は使えません。

使えたとしても私たちの魔法では助けるのは無理です。」

(くや)()で、(あきら)めきれない、悲しい声で、(つぶや)くように誰かが答えた。

魔素が濃くても初級魔法なら使えるはずだが、上級魔法じゃないと無理だ、

団長は無言を返す。

部下が重傷で危ないのだ、何か声をかけるべきだろうと思いながら彼女を見ると

ショックが大きかったらしく、ただ茫然(ぼうぜん)(たたず)んでいる。

「何やってるんだ!師団長と言うくらいだからこの隊のトップだろう

何か指示出せよ!」

と言いたかったが言えない。


冗談ではない。このままでは確実に死んでしまう。

誰が見てもそう判断できる。俺の到着が遅かったせいか・・・

この子はまだ若い。

このような所で失って良い様な命ではない。

「若い」それだけで生きる価値はある。

咄嗟に血塗れの少女を抱き抱え、師団長に向い叫んだ。

「この先の俺の住処(すみか)に薬があります。ここを真っ直ぐ進めば着きますから

後から来てください。急げば命は助かります。

この子を抱えて俺が先、行きます!」

この子を助けたい、それ以外は何も考えず走った。


到着して俺の臨時の宿泊所にしているログハウスの中に入り、少女を

ベッドに寝かせ、傷を見る為に上を脱がせたが、かなり深く長い。

盗賊はこの子を真二つにしようと思ったのか、左肩から右足の付け根付近まで切り裂かれている。

胸の小さいアンパンのようなモノは無傷・・こんな小さな子を許せん!!

怒りがまた込み上げてきた。


今は血が止まっているようだが、いつまた流血が起こるか分からない状態だ。

上位の治癒魔法の欠点は、直接肌に触れないと効果がないことだ。

衣服を全部脱がし、最上位の治癒魔法をかける。

これなら傷も一切残らないだろう・・残らない様にしっかりと魔法をかけよう。

若し残ったら、この子にとって心の傷も、生涯消えないものになるかもしれない。

そんな傷は残したら絶対だめだ。

心の傷は時間が癒すこともあるが、体の傷が後に残るとそれを見る都度、

消えかけた心の傷が何度も(よみがえ)ってしまう。

そんなことが無いようにしてあげたい。

まだ子供だ、これから長い人生を歩むのだから・・


俺は治癒・回復系の魔法は全て使える

上位魔法の習得に関して、防御・治癒の2つは最優先で覚えた。

このよう形で使う事になるとは思いもしなかったが。

この魔法が使えることは、内密しなければ色々面倒になる。

使っているところを見られないよう、わざわざここまで先行して少女を運んだ。

決して如何(いかが)わしいことをしようと先行したわけではない。


魔法をかけ終わり上手くいったのを確認した後、魔法を行使したことが

バレないように膏薬を塗った布を傷口にあて、サラシの様な物で体を巻いた。

体力の回復も魔法でできるが、それは止めておこう。

膏薬による治療で流石に体力まで回復させると、誰もがおかしいことに気が付く。

傷が癒えれば、自ずと体力も回復するだろう。


脱がせた服を集めて、これをどうしようかと悩んでいたら、騎士団の皆が

まもなく到着すると、ハチが伝えてくれた。

伝えてくれなければ気が付かなかった。

慌てて出迎えたが、丁度到着したばかりの様だ。

皆ポカンと口を開け(たたず)んでいた。


えっ、みんなどうした!!


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