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短篇

月と星

作者: 不知火 初子
掲載日:2023/03/04

「こんばんは。私は夜空です。これから私がお月様に聞いた話をします。

 どうぞ、良い夜をお過ごしください」

 


 夜空の星たちは、思いました。


 この街は、いつも電気の灯りで明るい街です。

 だから、この街は、ぼくたちを必要としていないのかもしれません。

 この街は、もう、ぼくたちを見上げることはないのかもしれません。


 星たちは、お月さまに言いました。


 お月さま、どうかお願いをきいてください。

 ぼくたちを必要としてくれるところへ、行かせてください。

 ぼくたちを見上げてくれるところへ、行かせてください。


 お月さまは、答えました。


 この街は灯りがたくさんあって、いつも明るいけれど。

 わたしは、星たちが去ってしまうのは悲しいよ。

 星たちを見上げることはできないけれど、となりに一緒に並んでいることはできるよ。


 お月さまには寂しそうに、そしてお願いをするように、星たちに言いました。

 けれども、星たちは頷きませんでした。


 お月さま、とても嬉しい言葉をくれて、ありがとう。

 楽しい思い出をありがとう。

 だけど、ぼくたちは、ぼくたちの光を見てくれるところへ行きたいのです。

 ぼくたちは、ぼくたちのことだけを探しているところへ、行ってみたいのです。

 だから、どうかお願いを許してください。


 星たちの言葉に、お月さまは涙を流しました。

 それでも、お月さまは星たちに頷きました。


 ここから離れてしまっても、わたしは星たちのことを忘れない。

 この街の夜空に、星たちがいたことを忘れないよ。


 そして、お月さまは言葉を贈りました。


 どうか、星たちがまた輝くことができますように。

 どうか、星たちがまた街に求められますように。


 お月さまは、星たちが去っていくのを、静かにいつまでも、いつまでも見守っていましたとさ。



「おしまい」

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