プロローグ
俺はポケットからタバコの箱を取り出して1本摘み出して火をつけた。
「もしこの世界がゲームだったらどれほど楽しいんだろ〜な!」
俺の友達の口癖だ。
「大して上手くないくせにんな事いうなよ」
笑いながらそう言うと
「悪かったな…下手で!」
と言い返してくる。
こんな他愛もない会話。
これが俺らの日常
"だった"
いつも話していることが現実になる。それほど夢みたいな事はあるだろうか?
—けて… 助けて…
さっきまで話してた友達が何故か血まみれになって倒れていた。
「……え?」
何が起きているのか理解できなかった。
目の前には血まみれの友達と謎の化け物だった
「おい!!なぁ!大丈夫か!っ!どうなってんだよ!!」
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なんで、なんで、なんで!!
なんで、あの時助けられなかった???
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「っつ……はぁ」
悪夢を見ていた。
そう、あれは夢だ
夢なんだ
夢…だとしか思えない。
現実を飲み込めない。
「最悪な目覚め方だな…」
ベッドの横にあるタバコの箱を取り1本摘み出し火をつけようとした。
「っ…もう…泣かないって決めたのにな…」
あの日、あの時のことを思い出すと涙が溢れ出す。
助けられなかった、なぜ?目の前にいた、なのに助けることが出来なかった。
「ぁあぁあ''!!なんで!!なんで…」
歯を食いしばりあの日のことを悔やむ。
繰り返す悪夢、希望なんてない。
あいつが居ない一日を淡々と過ごす。
こんな事に"意味"なんてあるのか分からない。
「——全てが始まったばかりだ。」
政府から全国一斉放送での連絡があったあの日、あいつが死んだあの日、沢山の人が死んだあの日、「塔」が経ったあの日。
"あの日"から1ヶ月が経とうとしていた。
「塔」と言うのはあの日に突如現れた化け物が沢山いる塔、いわゆるゲームのダンジョンみたいなものだ。
政府はそれが現れることを知っていて、なのに俺たちに隠していたという事らしい。馬鹿げた話だよ、本当に。
塔は100階あるものが5つ、holy towerと政府は言っている。希望の塔なんて馬鹿馬鹿しい、希望なんて一筋もなく。ただそこにあるのは絶望だった。
「そろそろ踏ん切りを付けないとな」
あの日以来外に出て遊びに行ったり、誰かと買い物をしたりすることはなくなった。
あいつが死ぬ前はタバコを吸うと「早死にするから吸うな!」って言われて、はいはいって言いながらタバコの火を消してたのに、今じゃタバコがないと何も出来なくなってしまった。
あいつとの写真が入った写真立てをそっと伏せて家を出た。
「塔に入るには銀行に行って証明書が必要なんだっけな…」
近場の銀行へと行くとそこに人は誰もいなかった。
「そう言えば無人になったんだっけな…」
< 証明書を発行します、1度取得した証明書は再発行できません、ご了承ください。>
<発行しますか? はい / いいえ >
「もちろん"yes"だ」
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<証明書の発行が完了しました>
「さて…塔に行くとしようかな。」
塔は現在一つ目の塔が50階まで攻略されている状態だ。
「攻略されてようがボス倒さなきゃいけないのは苦痛だよなぁ…」
ピピッ……塔への入室を検知しました、証明書の提示をお願いします。
ピピッ……本人確認が済みました。幸運を祈ります。
「……行くか」
政府曰く、塔を全て攻略した者は"権力者"となるらしい、権力者はなんでもできるとの事だ。
そう、"なんでも"だ。
総理大臣になったり、お金を大量に得たり、地形を変えることだってできる。
例えば…死んだ人を生き返らせることも。
塔ができた日にあった政府からの連絡は「夢があるなら、希望があるなら、向かいなさい、答えはそこにある」
この連絡を最後に政府からの連絡は途絶えた。
「夢…か……」
「えーと…確か最初はギルドに行けばいいんだっけな」
「…いらっしゃいませ」
無愛想な受付嬢だな…髪は黒色で目は緑色か…きれいな目だ、外国人か?
胸は…どうやら断崖絶壁だ。
「やあ、お嬢さん…ここで冒険者登録が出来るのか?」
「えぇ…ここにいる時点で冒険者登録はされているようなものですよ、あくまでここでは精霊適性を見るのが本題ですよ。」
「お…おぉ…じゃあとりあえずその精霊適性ってのを見て貰ってもいいですか?」
「…了解しました。」
<ギルドマスターのリグレッドが適正検査の請願をしています。許可しますか? はい/ いいえ>
< yes >
<承諾しました>
「それでは、これから適性検査を行います、お渡ししたそちらの水晶を手に持ち、こう詠唱してください、"start the magic …the aptitude test"と…」
「詠唱は英語なんですね」
「…えぇ」
「では、やってみますね。」
「 Start the magic …the aptitude test」
全身を何かが駆け巡っているのを感じた。
手のひらに乗っている水晶が煌びやかに輝いてる。
「赤と…青…そして黄色ですか」
「でしたら火、水、雷が適正精霊ですね。階段から地下にある精霊統合室に行き適正精霊検査結果の紙を持って言ってください。そしてこちら、冒険者登録も完了したので、こちらの冒険者カードをお渡しします。」
「分かりました。ありがとうございました」
「えーと…階段はあっちか……」
地下へと続く階段を降りると鉄の扉があった。
「…ここかな?」
冷たい鉄の扉を開けるとそこには1人の女性がいた
「精霊統合のお客様ですね!少々お待ちください」
先程の受付のやつとはえらい態度の違いだな。
ピンクの髪でツノが生えていて可愛らしい。
何より胸がでかい。ちちくりまわしたいが欲望は閉まっておこう。
「適性検査の結果の紙はありますでしょうか?」
「ん?あぁ、さっき貰ったこの紙か」
たしか、火、水、雷が適正精霊だと言ってたな…普通はいくつ精霊がつくものなんだ?
「火、水、雷が適正精霊ですね!では、こちらの台に立って目を閉じて心の中で"精霊たちの加護を承る者"と念じてください!」
「わかった」
精霊たちの加護を承る者……
全身を駆け巡る先程の感覚とは違い、心臓が動いてることだけを感じる。
頭からつま先まで、俺のものでは無いように感じている。目を閉じているからだろうか、そこに俺の体はあるのかさえもわからなくなりそうだ。
「…はい!これで統合は完了です!塔を登るのでしたら階段を上がって2階で防具と装備を買うのをオススメします!」
え?これで終わり???
「案外すんなり終わりましたね」
「えぇ、統合と言っても精霊の加護を受けるようなものですから。」
「なるほど、ありがとうございました」
あの人防具屋と武器屋に行くと良いって言ってたな…
2階に行ってみるか
「いらっしゃいませー」
2階に行くとそこには1人のスーツ姿の男性がいた
「塔を攻略するために武器と防具が欲しいんだけど…」
「新規の方ですね、残金はいくらありますでしょうか?」
「あぁ…生憎…銅貨5枚しかない」
この塔に入る際にお金を持っていくと入った時点で自動的にお金が塔専用に変化する。
一万円が金貨1枚、五千円円が銀貨1枚、千円が銅貨1枚へと変化する。小銭は欠片だったりになる
「でしたら、冒険者登録はお済みですか?」
「さっき下で登録は済ませてきたよ」
「こちらの初期装備がございますが如何なさいますか?」
「値段は?」
「冒険者カードの提示で無料でございます」
「なるほど…では貰っていこうかな」
「毎度ありがとうございます。では冒険者カードの提示をお願いします。」
<ピピッ 冒険者カードのスキャンを開始します>
<…>
<本人確認が完了しました>
「はい、ではこちらの装備です。ありがとうございました」
鉄の胸当てに石の剣、それに食料までもついてくるのか…随分とサービスがいいな
「そういえばここの3階は何があるんだ?」
「3階はアクセサリーショップとなってます」
なるほど……お金を稼いでから行く方がいいだろうな
「ありがとう、じゃあまた来るよ」
「いえ、こちらこそ、またのご来店お待ちしております」
そういえば職業とかってどこで決めれんだっけ…受付嬢に聞いてみるか……
「…なんですか」
「いや、職業ってどこで決めれるのか聞こうと思って」
「…教えませんでしたか?」
「いーや教えられてないね」
「そうですか…では冒険者カードを貸してください」
「はい、どーぞ」
<職業を選択します。選べる職業は統合精霊の適正で選べます、選べる職業一覧は——>
<剣士、大剣使い、魔法使い、アサシンです。>
悩ましいところだな…レベルが上がれば慣れる職業も増えていくらしいからな。
剣士…は普通だな、大剣使いは強いが回復してくれる魔法使いなどが居たりしないと一人はキツそうだ、魔法使いは俺は頭悪いし向いてない、アサシンは…難しそうだ。
うん。剣士にしよう
「はい、剣士ですね。」
「あぁ、他の職業とかも良かったが俺には合わないだろうからな」
「…そうですか、では職業登録が完了したのでこれで塔を上がることができます。ご検討をいのります」
塔は全部で100階…攻略方法は前線にいる攻略組がガイドブックを書いてくれているらしいから大丈夫だろう。
大丈夫、問題は無い。行こう。
"あいつ"を助ける為にも。
こんにちは!ToWです。
初めての小説ということで少し読みづらいところがあったり
少し長いかもしれませんが、読んでくださったかたには感謝の気持ちを込めて
_人人人人人人人_
> 投げキッス <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
冗談はさておき、感想など書いてくださると励みになりますのでよろしくお願いします!
やる気が出たら次の話更新します()
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