93話 違和感と衝撃
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今日は終業式。
ノアは3学期から学園に復帰するようなので、既にクラスには席が用意されているが、彼はまだそこに座ってはいない。
どうしてあの宿の事を知っていたのか、聞いてみたかったな。1度エミリアかヒューゴに、ノアに話が出来るように頼んできてもらおうかな。
そんな事を考えていると、校長の長い長い話も終わっていて。
「体調に気をつけて、この休みを過ごして下さい。それでは、解散」
今年最後のホームルームが終わり、皆が教室から去っていく。
私も帰ろう、と思った時にフェリシアに声を掛けられた。
「次に会うのは、新年の夜会の時でしょうか」
フェリシアから声を掛けてくれるなんて珍しい。やっと仲良くなれてきたのかしら。
「ええ、そうなると思うわ」
にっこり笑って答えるけど、フェリシアの表情は硬い。
「でしたら、夜会で少しお時間を頂けないでしょうか。2人だけでお話ししたいことがあるのです」
いつものオドオドした様子とは違う、切羽詰まるような雰囲気に違和感を覚える。でも、その理由が何なのか、今の私にはさっぱり分からない。
取り敢えず、特に断る理由もないため了承した。
「では、体調にお気をつけください」
「ええ、フェリシアもね」
少し違和感があったものの、この時はそのまま学園を後にしたのだった。
♢♢♢
学園から戻り、ゆったりしていると父と兄が帰ってきた。
父も兄も心なしかぐったりしているように見える。
今日は終業式だったし、皆でゆっくりしよう、と話していたのだけれど、帰ってきた2人の雰囲気から何かあったのだろうと察する。
2人がこうなる理由は1つしかない。
「今日はトラプラ団が劇薬を取引すると情報を得ていた日だったと思うのですが、何かあったのでしょうか?」
私の言葉を聞いた途端、ピタッと動きを止めた。
まずい。聞いてはいけない事だったのかもしれない。
私の強張った顔を見ると、父は慌てて私の問いに答えてくれる。
「あ、ああ。取引現場は押さえられて、取引をした人も逮捕されたよ。ただ…」
ここで言葉を切ると、2人は顔を見合わせると、口ごもってしまう。
「あの、機密情報であれば、そう仰って頂けたら…」
「機密情報は機密情報なのだが…ミアは、既に準王族扱いだから、機密情報であろうと話しても良いのだが…」
「お父様、よく聞き取れ無かったのですけれど…」
低く呟かれたお父様の声が聞き取れず、思わず聞き返す。だが、父も兄もふいっと顔を横に逸らし、「何でもない」と言うだけで、何と言ったか答えてはくれなかった。
「お父様、お願いします。私はもう子供ではありません。私に話せることなのであれば話してください」
3人の間に長い長い沈黙が落ちる。
私の真剣さが伝わったのか、ハァとため息をつくと、先に口を開いたのは父だった。
「ミア、心して聞いてくれ」
「はい、お父様」
「実は、ノア殿下が今回のトラプラ団を手引きしたとして、逮捕された」




