表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【感謝150万PV】1年後に断罪される悪役令嬢ですが、記憶を取り戻したら全て濡れ衣だったと分かったので、逆に断罪しようと思います  作者: ゆうか
アルバートとの再会と文化祭編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/124

70話 ハンナの叫び

♦︎♦︎♦︎

空はもう真っ暗で、電灯の灯りで僅かに道が見える。

帰りは送ると言ってくれたが、劇場の人に家に連絡してもらったので、もう迎えにきているはずだ。


せめて馬車の前までエスコートする、と言って譲らなかったので、言葉に甘える。

劇場前に停まっている馬車の中で、トスルーズ家の紋章が入った馬車に近づく。


馬車から馭者と侍女が1人、馬車から降りて私を迎えてくれる。

だが、その侍女が誰か分かった瞬間、私は足を止めた。


「どうしたの?」とアルバートが声を掛けてくれるけど、私は今この状況をどう切り抜けられるか考えていた。


迎えに来てくれた侍女がハンナだったからだ。


だが、私から相手の顔が分かるという事は、あちらからも、私とアルバートの顔が見えるという事で。


ハンナは僅かに顔を強張らせるが、すぐに真顔に戻ると、私達に近付いてくる。

「お嬢様、お迎えに上がりました」

「ええ、ありがとう」

ハンナとの会話がいつもよりぎごちない。


「迎えが来たようだね、名残惜しいけど、ここで今日はさようならだ」

アルバートは、笑って私の手を離した。


「私の事覚えてないの…」

そのまま去って行こうとするアルバートを見て、ハンナが震えながら小さい声で言った。


だが、アルバートには聞こえたようで、こちらを振り返って不審げな目でハンナを見た。

「すまない。私には君の記憶がないのだが、どこかで会った事があるだろうか」


ハンナはとても傷ついた顔をした後、わなわなと震え出した。


「10年前、貴方達王家に濡れ衣を着せられて、取り潰しになった公爵家長女、ハンナです。貴方の婚約者候補筆頭でもありました」

震えながら発せられた言葉に、アルバートは目を見開いた。


「貴方にとっては、興味のない女の子の1人だったのかも知れません。ですが、私は貴族ではなくなった後、どれだけ辛い思いをしてきたと思いますか。


それに、父が闇組織と取引したとされたあの日、父は私と一緒にいたんです。どれだけ必死に訴えても、子供が父を庇っているだけと聞き入れてくれなかった。父と母は処刑され、私は何も持つ事を許されずに放り出された。


そんな私に貴方は冷たい目でこう言ったのよ、『君達が公爵家の人間というのは、前から疑問だったんだ』って。


私達家族は何もしていないのに、罪を着せられ、殺された。なのにどうして、私達に罪を着せ、酷い言葉を投げつけた貴方達はのうのうと暮らしているの」


どんどん感情的になり、涙を流しながら、ハンナは訴えた。


アルバートは何も言わない。

言葉の意味を分かりたくないのだろう。


「君が言った言葉が本当かどうか分かり次第また連絡します」

この言葉を早口に言うと、アルバートは目を伏せ、足早に去って行った。

「面白い」「続きが気になる」となど思っていただけたら、ブクマや『☆☆☆☆☆』マークより、評価を入れていただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ