49話 助け出すには
♦︎♦︎♦︎
「大体、こんなところかしら」
話し終えた私に、ノアは険しい顔で、わなわなしている。
「え、ちょっと、どうしたの、ノア?」
「どうしたの、って分からないのかお前!今、お前が話した事は、俺たちが探していた孤児の行方に、まんま当てはまるじゃないか!」
「あ…」
そう言われてみればそうだ。どうして今まで気づかなかったのだろう。
「今、グダグダ何か言っても仕方ない。お前ん家に着いたら、作戦会議始めるぞ」
外に見えてきた公爵邸を見ながら、ノアは言った。
今日はやたら感情の起伏が激しいノアに、私は密かにため息をついたのだった。
♢♢♢
「で、この孤児達をどうやって海賊の手から取り戻すかだが」
家に帰って来て早々、ノアは、「サロンを借りるぞ」と使用人に言ったかと思うと、使用人達が慌てているのも無視して、私とオリバーを連れて、サロンに籠っている。
使用人が、お茶とお菓子を持って来てくれたのだが、ノアは「いらない、ここに使用人を近づけるな」と言った。この身勝手な言葉に、今日何度目か分からないため息をつく。
騎士が同席しているとはいえ、婚約者でも無い男女がサロンに籠るのは、外聞が悪い。
だが、幸いここは公爵邸。使用人に対しては口止めでもすれば、噂として広がる心配も無いだろう。だが、父や兄には確実に報告されてしまうのだ!
こんな事を考えていると冷や汗が止まらない。
そんな私にノアは気づいていないのか、気づいていて無視しているのか分からないが、いつものように話を進めていく。
「明後日からお前は領地にいなくて、星祭りも4日後だろ。今からその船を出航前に特定して、お前に教えるのは…」
ノアが1度言葉を切って、チラリとオリバーを見る。
「現実的に、かなり厳しいかと」
オリバーは、ノアの視線を感じると、考える間も無くすぐに答える。
まあ、当然といえば、当然だ。そもそも、1週間でさえあり得ない速さだったはずなのに、それを半分ほどの4日にしろ、というのは無理な話だろう。
「というわけで、無理だ。そうなると、やっぱりゲームと同じように、海上で取り押さえるしか無さそうだな」
「けど、子供達を人質にされる可能性が高いのよ。どうやったら、子供達が人質にされる前に、助け出せるかしら…」
3人でうーん、と考える。
「やはり、中に内通者がいるべきかと…」
遠慮がちにオリバーが発言する。
「本来なら、実行犯の中に内通者がいるのが1番望ましいのですが、今からでは無理でしょう。そうなると、被害者の中に紛れ込むのが1番ですが…」
皆の間に沈黙が落ちる。この言葉はつまり…
「ヒロインのイベントを乗っ取るのが1番って事だな」
「………」
全員の間に沈黙が落ちる。この中で、そんなことができるのは1人しかいないのだから。
「確かにそうかもね」
私はノアの言葉に賛成した。オリバーは、私の言葉に驚く。
ノアの言葉は一理ある。
かなり危険な策だが、成功すれば、確実に孤児達を助けられるだろう。
私の賛成の言葉を聞くと、ノアが口を開いた。
「今から言う事は、俺が考える最善策であって、お前に罵倒されても仕方ないと思っている。それでも、聞いてくれるか?」
ノアは申し訳なさそうな顔をしているが、目はそんな事言っていない。
「多分、私も今同じ事を考えてると思う」
互いにニッと笑い合う。
「お前に、ヒロインのイベントを乗っ取って欲しい」
「言われなくても」




