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5話 ノアの死亡フラグ

♦︎♦︎♦︎

「久しぶりだな、慶都」

「…え、太陽、なの…」

嘘でしょ、そんなことってあるの…


「ああ、そうだよ。てか、お前最近記憶を取り戻しただろ。今日のお前の態度と、今までのお前の態度、全然違ったもんな」

「そう、昨日思い出したばっかで、頭の中ごちゃごちゃで…」

少し食い気味に話してしまう。先程の茶会のストレスも相まって、誰かに話を聞いてほしいのかもしれない。


「まあ、記憶が戻ってすぐはそうなるよな。俺も1週間ぐらいは今の家族とほぼ会わないようにしたし」

こちらを同情するように笑う。この顔が太陽にそっくりで、ああ、本当に彼なんだな、と思う。


「えと、とにかく久しぶり…?」

「なんでそこ、疑問形なんだよ」

落ち着いてくると、なんだか涙が溢れてきた。自分と同じ、前世の記憶を持つ人がいて、安心したのかもしれない。


「お、おい。大丈夫か」

「あと1年で死んじゃうかもしれないってすごく不安で…でも、事情を知ってる味方がいるって分かったら、なんだが安心しちゃった」

珍しく、太陽が慌てている。これは珍しい物を見た、も思いながら涙を拭いた。


「あと1年で死ぬって…どういうことだよ」

「え、この世界がどういう世界か知らないの?」

それから、この世界が乙女ゲームの世界であること、その中で私が悪役令嬢であることなどを簡単に話した。


「ふーん。じゃあ、俺は攻略対象なのか?」

「…いいえ。攻略対象者の中に第2王子なんていなかったはず…私と同い年だから、学園にはいるはずなのに…あれ?」

そういえば、第2王子って亡くなってなかったけ?

確か、学園の入学式の前日に何者かに殺されたはず…


「えぇ!!」

バン、とテーブルを叩いて立ち上がってしまう。

「な、なんだよ」

私の突然の行動に彼が少し体を反らせて驚く。

「第2王子って確か、入学式の前日に殺されたはず…」


束の間、私達の間に沈黙が流れる。

「その話、詳しく話せ」

そう言った彼の声は今まで聞いたことが無いほど、低い声だった。

「わ、分かってる。ちょっと頭の中整理させて」

急いで、自分の中にある記憶をかき集めて彼に話す。


入学式の前日。第2王子の寝室に何者かが忍び込み、彼は応戦するも、命を落としてしまうこと。犯人は何故か捜索されなかったこと。


余談だが、ゲーム内では犯人が明かされてないものの、ミアが犯人ではないかと言われていることなどを話した。


1通り話を聞き終わった彼はうーんと悩んでいる。

「じゃあ、俺がもし、暗殺者を仕向けられなかったら、犯人はお前だったってことになるな」

「な!!」

軽い口調で言った彼に目を見開く。


「そんな簡単な話じゃないのよ!死ぬかもしれないのよ!!」

自分の死についてあまりにも関心がなさすぎじゃないか。


「大丈夫だ、その日に俺に暗殺者が差し向けられるかもしれない。その情報があれば、俺も備えることができる。絶対に死なねぇよ」

昔から何事にも自信満々で、偉そうで…

けど、彼が一度大丈夫と言ったことは本当になんとかなって…だからこそ、信じられる気がする。


「分かったわ。気をつけなさいよ」

「ああ、心配するな」


なんだがひどく懐かしくて、楽しくて…

お互いの顔を見合って、笑い合ったのだった。

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