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4話 私達の過去

いつもより、少し短めです。


ヒロイン、ヒーローの前世を描いてみました。

本編には関係ない(予定)です。


♦︎♦︎♦︎

前世の私の名前は、新泉慶都にいずみ けいと。中学校から大学までエスカレーター式の名門学校に通っていた。

成績は常に2位。いつも絶対勝てない奴がいた。


それが、善光寺太陽ぜんこうじ うずひ。いつも自信満々で、顔を合わせると、ふん、とこちらを見下されることも多々あった。


同じ幼稚園、同じ小学校。受験をしたから、ようやくこいつと離れられると思ったのに、何故か同じ中学に入学してしまった。


別に仲が悪かった訳ではない。どちらかといえば、仲は良かった。

なら、なぜ太陽と離れたかったか。言葉で言うなら、『悪友』だったからだ。


ただの子供じみた悪戯をしていたわけではない。


先生を論破したり、いじめっ子を成敗したり…思い出したらキリがない。

だからか、小学校では、私たちはいつも遠巻きにされていた。学校の先生に話しかけられることはほぼなかった。


うわ、太陽とまた一緒の学校なんて…また、友達ができなかったらどうしよう…

そんな私の心配は杞憂に終わった。


中学校から高校の時は同じクラスになることはなかったら、話す機会は無かったし、学部が違うから、大学でも話すことは無かった。


♢♢♢

その日、私達は友達に誘われた合コンで、9年ぶりに太陽と会った。あの頃とは、顔も、身長も何もかも違って、ちょっとドキッとした。

その後、2人だけで飲み直したいと言われ、合コンを抜けた。何も共通の話題なんて無いと思っていたけど、意外に盛り上がった。


「「かんぱーい」」

何度目か分からない乾杯をしたが、2人とも頬は赤くない。どうやら、太陽もお酒に強いらしい。

だが、陽気になって、口が軽くなってしまったようで、小学校の時のあんなことやこんなことについて昔話に花を咲かせた。


日付が変わるぐらいに呑み屋を後にした。

私達は特に喋ることなく歩き続けた。信号が赤なのを見て、2人は立ち止まる。

「今日はありがとね」

「何だよ急に」

「別に、なんか急に言いたくなっただけよ」

「こっちこそ、今日は酒に付き合ってくれてありがと」

そういってふふっと笑い合った。


信号が青になり、横断歩道を渡り始めたその時だった。

「危ない!!!」

横を見ると、トラックが減速しないまま、走ってくるのが見える。

だが、気づいた時にはもう、避けることはできなかった。


ドン、と2人とも正面衝突してしまう。

痛い、痛い…

そう思っていたのは一瞬で、今度は寒くなってきた。

「ごめ…うず、ひ…」

これを言うのが精一杯だった。


通行人の悲鳴が聞こえる。人が近くに駆け寄ってきた気配がする。

だが、もう指1本も動かせない。

段々と視界が赤く染まっていく。私、死んだかも…そう思いつつ、目を閉じるのを、止められなかった。


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