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27話 お茶会の後で

♦︎♦︎♦︎

その後、微妙な雰囲気になってしまって、早々にお茶会は解散となった。


彼女とはもう少しお話ししたい気持ちもあったけど、私の精神的にも、彼女の精神的にも、もうお茶会を続けるのは不可能になっていた。


「今まででのお茶会の中で1番、疲れたわ」

誰も聞いてはくれないけど、いつの間にか声に出ていた。

ふぅとため息をつき、手足を投げ出す。ぐったりしながら馬車に揺られていた。


公爵が屋敷に戻った後、夫人は何度も「気分を害してしまったようで、申し訳ない」と謝ってくれた。


自分はまだ、震えて顔が真っ青であるにも関わらず。


家に帰ろうと馬車に乗った時も、走って馬車の側まで来ると、お詫びの品をいただいた。

公爵家オリジナルだ、といっていたあの香水や、お菓子など様々な物をどうぞお土産にと手渡されたのだ。


夫人は悪い人ではない。むしろ、人が良い方だろう。

でも、だからこそ不自然なのだ。


公爵家に嫁いだとなれば、それなりの家の出のはずだ。

なのに、嫌味を言うわけでもなく、とても腰が低い。生粋の貴族の子女ならば走るなんてしないし、香水を隣国の公爵令嬢に贈らないはず。


しかも、「どうか、これからも我が家と懇意に…」と言われた。普通、そんなこと言うだろうか。


彼女が元々は身分が低かったのか、はたまた彼女は偽物だったのか…

普通、隣国の公爵夫人の出自なんて知るわけがない。

これは調べてみてからでないと何とも言えないわね…


それにしても、あのからくり時計の仕組みをどうして私に話してくれたのだろうか。

しかも、あのタイミングで…


うーん、何について考えても、情報が何もないから、分からないことだらけね。

結局、ボーッと窓の外を眺めていたら、私はいつの間にかホテルに到着していたのだった。


♢♢♢

私の憂鬱な気分を感じてくれたのか、家に帰っても、エミリアとヒューゴは今日何があったのかは聞いてこない。でも、私は2人に調べて欲しいことがあったため、今日あったことを大まかに話した。


その上で、すぐに公爵夫人のことを調べてほしい、とお願いした。2人は了承してくれたので、ひとまずこのことは後で考えようと思う。


今からは、エミリアは、私のお世話を。ヒューゴは私がお願いしたことについて、調べにいってくれるみたいだ。


もう、今日は疲れたため、パパッとお風呂に入って寝ようと思ったが、エミリアに止められた。

「ミア様、今日は明日のため、念入りにマッサージをしましょう」

「へ?明日って何かあったっけ?」


明日に予定があれば、覚えているはずなんだけど…


首を少しかしげた後、何を言い出すのかみたいな顔をされた。

「明日は、学園の運動会ですよね?」

「………あーー!」

しばらく沈黙した後、私は叫んでしまった。最近忙しすぎて、すっかり頭から抜けていた。


「どうしよう…明日に何も起こらないと良いけど…」

「…?よく分からないですけど、まあ、大丈夫ですよ」


そう言って彼女は励ましてくれたが、私には運動会を怖がるわけがあった。

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