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21話 留学生とは馬が合わない

♦︎♦︎♦︎

隣国は、馬車で3日と、意外と近くにある。

緑豊かな国で、資源が豊富らしい。あと、街の中央には国のシンボルである、からくり時計が四六時中ずっと動いていて、観光名所の1つとなっている。

楽しみな気持ちでいっぱい、と言いたいところだが、懸念事項があった。


実は、今回の留学生は私の他に3人いる。


1人目は、騎士団長の息子、ジャック。

家格は子爵と低いが、国王の信頼は厚い。彼自身は、父同様、強面で、実際剣も相当の腕前らしい。ただ、成績はどうかと言われれば、何とも言えない。


2人目は、ベリージア公爵家の息子、リアム。

ベリージア公爵家は、私の家の次に力を持つ家だ。確か、先先代の国王の弟が、公爵の爵位を授かったのが、この家の始まりだったはず。彼と会うのは初めてではないけれど、話したことはない。


3人目は、クレシリス伯爵家の息子、ルイス。

クレシリス伯爵家当主は、とても頭が切れる人物として有名だ。先の干ばつへの対策方法を編み出した功績から、もうすぐ公爵家に格上げされるのではないかと言われている。ルイス自身が頭が良いかどうかは知らないが。


ちなみに、全員、乙女ゲームの攻略対象である…


こんな3人と留学に行かなければならないなんて。

あの王子、何かの嫌がらせか?それとも、私がこの誰かと恋仲になったらとでも思っているのか?


しかも、しかもだ。彼らの中のどの家かが、聖ブリットハム孤児院の孤児を隣国の公爵家に売っている可能性が高い。そう考えるだけで頭痛がする。


…いけない、いけない。野暮なことを考えるのは、やめましょう。


「確か、隣国は、見事な時計で有名でしたよね。見るのが楽しみです」

シーンと静かなのが嫌で、話してみるが、他の3人の態度は冷たかった。


「王太子の婚約者は、気楽で良いですよね。僕は、公爵家を背負ってきてるんです」

「話しかけないでくれますか?今、剣の手入れ中なんで」

「……」


もう、この3人と一緒にいたくないんですけど!!


♢♢♢

地獄の3日間を耐え抜き、やっと隣国に着いた。

まずは、王への謁見が予定されている。


エミリアに手伝ってもらいながら、ドレスに着替える。

「にしても、あの3人とは、仲良く出来る気がしないわ」

これまでの鬱憤を吐き出してしまった。それでも、エミリアは、優しく宥めてくれる。天使だ…


ドレスを着た後は、お化粧だ。王族へ謁見するときは、肌がきめ細かく見えるようにと、仰反るぐらいファンデーションパフで顔を叩かれる。

これ、本当に嫌なんだよね…


「支度ができました」

そう言って、私に鏡を手渡してくれる。ぐったりしながら鏡を覗いた。

そこには、いつもよりも美人な私が映っていた。うん、腕は確かなんだけどな…痛いんだよね…


「うん、完璧よ。ありがとう」

そう言いながら鏡を返す。

「じゃあ、行ってくるわね」


「はい、いってらっしゃいませ」

そう言って、エミリアは頭を下げ、私を見送ってくれた。


さあ、気合を入れて、謁見を乗り切りましょう!

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