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20話 行ってきます

♦︎♦︎♦︎

「な、んで、ここに」

もし、療養中とされている第2王子がここいいるってバレたら…


「俺はこういう夜会には、ほぼ顔を出したことない。色も変えてるし、誰も俺だって分かるわけないだろ」

いや、王族の方達には分かるでしょう。

私の言いたい事が分かったのか、むすっとした顔をされた。


「お前に伝える事があった。それを言ったら、さっさとこんなパーティー会場から出ていくさ」

そう言いながら、私に近づいてくる。

私の隣まで来ると、城下に広がる灯りを眺めながら彼は言った。


「実は、孤児院について、だいたいの調べがついた」

何でもないような口調だったため、言葉を咀嚼するのに少し時間がかかる。


「……え、もう!」

最低でも2週間はかかると思ったのに。一体どんな手を使ったのかしら…


「ああ、もうすでに孤児の売り飛ばしは行われていることが分かった。しかも、相手は隣国の、フェルニーゼ公爵家だ」


…え?今なんて?今の少ない言葉だけでも、情報量が多すぎて、頭が混乱している。


「しかも、この取引は10年前には既に始まっていたようだ」

「ま、待って!今の聞いた話だけでも驚きの情報ばっかりだったんだけど…」

今までの情報だけで頭がパンクしそうだ。一体誰がそんなことを…


「子供達が売られた先が隣国の、公爵家なんて。しかも、少なくとも10年間は、続けられているって…」

「余程、最初に取引を始めたやつは狡猾だったんだろうな。証拠の隠し方とか素人とは思えない。ただ、ここ数年は、あからさまなんだ」

「あからさまって?」

私の質問に彼はうーん、と悩んだ。そんな難しい質問だったかしら…


「何つーか、数の改竄の仕方が雑。後から、適当にこじつけました感が半端ない。計算が出来るやつなら、誰でも違和感に気づくだろうな」

それは、本当におかしな話だ。悪いことをしているなら、もう少し、隠す努力をするはずなのに…


「麻薬とか、国庫の横領についてもこっちで調べておく。お前は、普通に留学楽しんでこいよ」

彼はパンと手を叩き、話は終わり、とばかりに早口に喋った。


「そういえば、この間俺に護衛として送り込んでくれたやつは、ちゃんと連れていくんだろうな」

急な質問に、きょとんとしてしまう。


「ええ、もちろん。でも何でそんなことを?」

「いや、何でもない。連れて行くなら、良いんだ。充分に気をつけてな」


そう言い終わると、彼はパーティー会場を出て行った。

最後のは何が言いたかったのかしら、考えてみたけれど答えは出ないまま、パーティーは閉会した。


♢♢♢

翌日。


「ミア、気をつけて行ってくるんだよ」

父が温かい言葉で送り出そうとしてくれる。


「はあ、やはり行くのはやめにしないか?」

兄は相変わらず、私に過保護だ。

今日から2ヶ月間、家族と顔を合わせることもないと思うと、少し寂しい。


今回の留学は、王子に無理矢理行くように言われただけでなく、1つの目的もできた。

出来る限りのことをしよう!

「はい、行って参ります」


そう言って、馬車に乗り込んだ。


(1章完)

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