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16話 謎は深まっていく

♦︎♦︎♦︎

私、授業についていけるかしら、と思ったけれど、実際はそんなに心配することはなかった。


学園の授業は、日本では高校生で習うような内容で、この国特有の数字とか、文字とかは特に無いから、何の問題もなかった。

確かに15歳から18歳は、高校生だもの。当然よね。


でも、大学生まで生きた事がある私には復習となる内容が多かった。

まじめに日本で勉強して良かった!!


宿題はちゃんと提出しつつ、やっと終わった1週間。


今日は、もう1度、ノアの見舞いに行く日だ。

前回は何も持たずにお見舞いに行ってしまった。この国では失礼に当たらないのだけど、元日本人としては、とても失礼な事をした気分だ。


なので、今回は、私が大好きなお菓子屋さんで買った、焼き菓子の詰め合わせを持ってきた。


前回と同じく、ヘンリー王子の従者にノアの部屋まで案内してもらう。前回と同じく、ヘンリーの様子はどうか、と聞いてみると、

「や、本当にやばいですよ」

と笑っていた。


なんか前に会った時より少しやつれたような気がする。

今度、ヘンリー付きの騎士や使用人に何か差し入れをしよう、そう心の中で決めた。


「ああ、来てくださったんですね」

ノアが笑顔で迎えてくれた。本当に誰これ…

こんな爽やかイケメン知らないんですけど…


「それじゃあ、失礼します」

そう言って前回と同じように彼はノアの自室には入らなかった。


どうやってもヘンリー王子とノアの間には溝があるのね…


そう考えると、少し悲しくなる。いやいや、ノアの兄は、あの傲岸不遜のヘンリー王子だったわ。


「それじゃあ、話し合いを始めようか」

もう、いつもの自信満々で、自分勝手なノアに戻っていた。


♢♢♢

「なるほどな…」

私の話を聞き終わったノアは、難しい顔をしていた。


「1つずつ問題を解決していこう。まず、孤児院の子供を売り飛ばしていた、か。その孤児院、どこか分かるか?」


「えっと、確か聖ブリットハム孤児院だったはず…」

「…その孤児院、何人もの上級貴族が寄付を行っているところだろ?普通、そんなところの孤児を売り飛ばすか?」

「言われてみれば、確かにそうね」


なぜ、今まで気が付かなかったのだろう?

何人もの貴族が寄付すると言うことは、貴族が孤児院に足を運んでいる可能性が高いということ。


ゲームでも、ソフィアはヘンリー王太子に連れられ、実際に孤児院に足を運び、年長者の少なさに疑問を持つことで、ミアによる孤児の売り飛ばしが発覚していく。


ミアは公爵令嬢で、未来の王太子妃が約束されているのに、そんな事をする意味は?

しかも、そういう資料には素人であるソフィアでも分かるような、分かりやすい工作をするか?


考えれば考えるほど、疑問が湧いてくる。


「とにかく、俺は聖ブリットハム孤児院を探ってみる」

私がぐるぐる考えているのが分かったのか、彼がそう言ってくれた。


「分かったわ。じゃあ、この国に帰ってきたら、調査結果を教えてね」

私はにっこり微笑みながら言う。


「は?この国に帰ってきたらってどう言うことだよ?」

「あー、実はさ、来月から2ヶ月間、隣国に交換留学しに行けってヘンリーが」

来月まではもう1週間しかない。そんな短期間で、孤児院に行って調べ上げるなんて不可能だろう。


「…はぁ!?お前が希望したのか」

「いや、実はさ…」

思い出すのは、今から3日前の出来事だった…

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