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114話 決着

♦︎♦︎♦︎

ちょっとだけこの1週間の事について考えてしまったが、意識を現在へと戻してくる。


私は、この紙に書かれていることを読み上げた。

「秘密保持誓約書。国王陛下、私は、王妃となるに際し、以下の項目を厳守することを誓約致し「近衛兵!この無礼者を捕えなさい!!」」


王妃は激怒して、近衛兵に私達を捕縛するように命じたが、誰1人動かない。

そう、既に騎士団総長に根回しは済んでいるのだ。直接話をつけてくれた兄に本当に感謝しかない。


一連の様子を見ていた国王は、急にウワァァと大声をあげた。そして横にいた近衛兵の剣を奪うと、振りかぶった姿勢のまま、勢いよくこちらへ向かってくる。


逃げなきゃと思うのに、国王の血走った目を見て、私は恐怖で立ちすくんでしまう。

このままじゃ殺される、とぎゅっと目を瞑ったその時だった。


「捕縛せよ!」

騎士団総長の声で、近くにいた5人ほどの近衛兵達がサッと国王の周りを取り囲み、取り押さえにかかった。


「余を誰と心得る!この国の国王なのだぞ!」

国王は剣を無茶苦茶に振り回したが、すぐに近衛兵達によって体を押さえ込まれた。


「放せ!放せぇぇえ!!」

「くっ!暴れないで下さい!」

国王はそれでも暴れ続けていて、5人掛で動きを封じている。


「一体、どういうつもりなのです!我々は王族なのですよ!」

同じく近衛兵によって取り押さえられた王妃は、キッと私達を睨みつける。


だが、王妃はすぐに別の人物へと視線を向けた。

「ベリージア公爵!これは何かの間違いです!ソフィア嬢の後見も務めている貴方なら分かってくださるでしょう」


縋るような王妃に、ベリージア公爵は無言でただ冷たい視線を送るだけ。

最後の頼みの綱を失った王妃は「あ、ああ。どうしてこんなことに…」と言って項垂れた。


「ヘンリー様、助けて下さい!私、このままじゃ捕まっちゃう…うぐっ」

近衛兵に左右の腕を掴まれたソフィアは、ヘンリーに助けを求めるが、ヘンリーもまた近衛兵に囲まれており、ソフィアを助けることは不可能だ。


だが、ヘンリーの様子がおかしい。

当然喚くと思っていたが、俯いたまま何も喋らない。

今日1日、何故だか分からないが、ずっとこの調子だ。


そんな様子を見たソフィアはみるみる顔を青ざめていき、ポロポロ大粒の涙を流しながら、大声で泣き始めた。

「わーん!!全部、全部ヘンリーのせいなんだから!」


国王は大暴れ、ソフィアは大泣き、王妃とヘンリーは俯いて微動だにしない。

こんな状況に皆呆然としてしまっている。

父や総長、近衛兵の人達も困った顔で動けなくなっていた。


そんな中、ノアだけが冷静に指示を出した。

「連れて行け」


ノアの言葉でハッと我に返った総長は、国王と王妃、ヘンリー、ソフィアの4人を連行していった。

カチャカチャと騎士達の鎧の音が遠ざかっていった後、会場は重々しい雰囲気に包まれた。


それもそのはずか。

自国の王が不正を行っており、それによって逮捕される様子を目にしたもの。ショックを受けて当然だ。


特に、今年卒業の人達は気まずそうに下を向いている。

卒業生の方々には本当に悪い事をしてしまった。


だが、私達の描くシナリオにはまだ続きがある。

ノアが先程まで国王夫妻がいた場所までおもむろに上がる。


今度は何事だ、と皆がノアの一挙一動に注目する。

「卒業生の皆様、晴れ舞台をこのような形にしてしまい、本当に申し訳ない。ですが、ここでもうひとつ宣言したいことがあります」

ノアの宣言に、会場にいるほとんどの人が顔を見合わせた。


「今この時を以て、私が国王となります。既に二公爵家、騎士団総長には承諾の署名を頂いております。王家の中で、二度とこのようなことが起きぬように努めて参りますので、どうぞ宜しくお願いします」


突然の宣言に、事情を知らない人達はポカンとしている。

私達はノアに拍手を送り、徐々に内容を理解した人達によってその拍手の音は大きくなっていく。


「で、では、これから卒業パーティーを始めます」

司会進行役の人が慌てて宣言し、パーティーは再開した。


こうして、私は無事断罪に成功し、卒業パーティーを乗り越えたのだった。

120話で完結の予定です!(あと6話続く予定です!)

最後までお付き合いくださると嬉しいです!!

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