110話 真の黒幕は
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「このような場で、一体どういうつもりだ!」
国王陛下が誰かに怒鳴っている姿は初めて見る。
「このような公の場でなければ、父上は揉み消すでしょう。可愛い息子と、そして己の為に」
ノアはニヤリと黒い笑みを浮かべて大声で発言した。
「ノア。いくらお前でもこのような言動、許せることではないぞ!!」
国王陛下の怒りは頂点に達しているようだった。
顔を真っ赤にして、フーフーと鼻息を荒くしている。
「第一、証拠もなしにそんなこと「証拠なら、私が提出いたします」」
国王陛下の言葉を遮るなどあってはならないことだが、私はそれをあえて実行する。
私は隠し持っていた書類の束を取り出すと、会場の真ん中へと進み出た。
「こちらは、ヘンリー様の書類を私が代理で決裁していた際、見つけた不正書類です」
私の言葉に会場が一気に騒つく。
そんな事は気にせず、私は言葉を続けた。
「ヘンリー様は、ご自身が指揮する軍の軍費や政策費の一部を不正に水増しし、そのお金をあろう事かソフィア様に贈る宝飾品に使用していたのです」
言い切った。言い切ったぞ。
「ヘンリー様はこの1ヶ月、ソフィア様に27個もの宝飾品を送っておられました。そのお金を集めるため、このような不正行為をしておられたのです!」
私の宣言に、国王はふむ、と顎をさするとこう答えた。
「ミア嬢よ。国の書類を持ち出すことは公爵令嬢であろうと禁止されている」
そこ!?確かに違反だけれども、指摘する所そこなの!
予想外の言葉に私は次の言葉を紡ぐことが出来ない。
「はっ、話逸らすなよ。クソ親父」
突然の貴族らしからぬ言葉はノアだ。
会場の人はギョッとしながらも、話の行方を見守っている。
「ミア嬢が持っている書類が本物かどうか確かめる手段がない今、それを元にヘンリーを処断することはできない」
国王の言っていることは尤もだ。それを承知でこの紙を私は持ち出した。
これらが本物であるかどうか、証明する手立てはない。
この2枚を除いては。
「では、国王陛下のサイン入りのこの紙についてはどう思われますか」
「なっ!何だと!」
私がまず取り出したのは、1枚は王都整備資金の水増し請求の紙。
そこには、国王陛下の直筆のサインと国璽が入っている。
「なっ!それは王家の者しか入ることのできない金庫に入れて置いたはず」
国王の言葉に、全員が一気に騒つく。
国王は、言葉を口に出した瞬間、しまったという表情で周りの貴族を見渡した。
これで、国王陛下も処罰を免れない状態になった。
だが、これでトドメだ。
「そしてもう1枚、皆様に見て頂きたい書類がございます」
私は大声で宣言すると、もう1枚の書類を取り出す。
「王妃様と国王陛下がトラプラ団のNo.12、13であることの証拠です!」
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