表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/124

10話(side ノア)真夜中の会話

♦︎♦︎♦︎

深夜。

俺は、ベットの端に腰掛けて、その時を待っていた。


明日は、入学式の当日。第2王子という肩書きもあって、今年の新入生代表として、色々と準備を進めてきた。

なのに、ゲームでは呆気なく殺されたノアは、どんな気持ちで最後を迎えたのだろうか。


慶都の話では、殺されたのは夜明け直前という話だったが、万が一寝込みを襲われれば大変だから、今日は一日中起きているつもりだ。

「大丈夫だって、あいつに言ったくせに…」


情けないことに手が震えている。「もしかすると、死ぬかもしれない」そう考えると震えるのは仕方のないことだった。

今日はオリバーが非番だから、自分の身を守れるのは、自分しかいない。


ガタッと微かに音がする。すぐさま、手元に置いていた剣を取り、臨戦態勢に入る。

「誰だ!!」


声をかけても応答はない。ややあって聞こえてきたのは、女性の声だった。

「我々は敵ではありません。とある方の命により、本日だけ貴方様の護衛をしております」


ミア、お前は本当に…

少し、涙が出そうだったが、なんとか堪える。

「とある方とは、トスルーズ公爵家のミア嬢の事だろう」


俺の言葉に、さっき話しかけてきた奴から僅かに殺気が放たれる。しかも、それとは別に殺気が放たれているのが分かる。


…あいつ、自分の護衛を2人も寄越してくれたのか。


「そう殺気立つな。別に知ったからといって特に何もないだろう。それとも、俺の命を狙え、と言われてきたのか?」

冗談混じりの俺の声に少し驚いたような雰囲気だった。


「そのようなことは決して」

「なら、別に構わないだろう」


それ以外に俺たちは言葉を交わす事なく、時間は過ぎていった。


♢♢♢

空が少し白みはじめたな、と思い、窓から空を見上げていると、その時は突然やってきた。

バタバタと数十人の足音が聞こえたと思うと、ドアが蹴破られ、数人が俺の部屋に雪崩れ込んでくる。


「お命、頂戴する」

そう言ったかと思うと、一人が飛び掛かってきた。


俺は剣を素早く抜くと、すぐにその1人を再起不能にする。だが、数が予想していたよりも多い。これは、1人だったら本当にまずかったかもしれない。


「なっ」「がっ!」

目にも止まらぬ速さで、襲ってきた奴のうち、2人が倒れている。代わりに黒装束に身を包んだ2人が俺を守るように立っていた。


シルエットから1人は女、1人は男であることが分かる。


「なんだ、もう帰ったのかと思ったぞ」

「不本意ですが、今日の朝まで貴方を守るように言われていますから」

軽口を叩くと、とても不機嫌そうな声が返ってくる。


「馬鹿な!今日、王子の護衛は扉前の2人だけだったはず…」

「騙されたのか!」

この言葉に驚きを隠せない。何故なら、俺の警備の予定を知る奴は少ないからだ。

王族を除けば、騎士団総長と、近衛騎士団長、そして国の上流貴族の一部だけだ。


この国の中枢の人間が俺の暗殺に関わっている…


全く反吐が出る話だ。これなら、何も知らないまま、殺された方がある意味幸せだったかもな。


俺が3人を倒した時、既に、20人はいた暗殺集団が全員、床に転がっていた。

この国の王子として、それなりに鍛えてきたつもりだが、さすが公爵家の影といったところか。 


バタバタと足音が聞こえてくる。騎士の奴らがこちらの音に気付いたのだろう。

影の2人はいつの間にか消えている。


俺が生き残ったのは、吉と出るか、凶と出るか…


そう考えつつ、剣を鞘にしまい、騎士の奴らを部屋に入れようとしたまさにその時、太腿にピリッと痛みがしたと思うと、世界が回るような感覚がした。

「面白い」「続きが気になる」となど思っていただけたら、ブクマや『☆☆☆☆☆』マークより、評価を入れていただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ