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私は役立たず?

 ミレアの工房に戻ってきた二人はお腹も空いていたのでミレアが用意しておいた保存食を食べ終えて、ゆっくり休んでいた。


 工房はミレアが広く作っていたため、シャーロット一人分の寝床の確保には困らなかった。


「はあ……」


 シャーロットは溜息をついて用意された寝床に潜り、毛布を被る。


 レインズ家を追放されてから心が休まる時がなかったので毛布の暖かさが心地よかった。


 ちなみにお風呂にはちゃんと入っている。ミレアがなんと工房にきちんとしたお風呂まで作っていたのだ。女の子がお風呂に入らないのは不味いでしょ、だから作ったとは本人の談である。


 お湯を沸かすのをどうやっているのかミレアに聞いてみたがこれも魔道具を使って行っているらしい。


 どうもこの工房の生活は魔道具によって支えられているようだ、お風呂以外にも魔道具を使っているところを聞いてみたい。今後、自分が魔道具を開発していく上でも役に立ちそうだったから。


「暖かい……」


 この寝床の暖かさのせいてすぐにでも眠りに落ちてしまいそうだ、今のシャーロットは疲れきってしまっていた。


「まったく大きな溜息なんてついて。おっさん臭いよー」


 しかし眠りに落ちそうなシャーロットをミレアの言葉が引き戻した。


 さっきシャーロットがした盛大な溜息が聞こえてしまっていたのか部屋に入ってきたミレアに注意されてしまった。


 そんなにおっさん臭かっただろうかとシャーロットは落ち込んでしまう。


「いえ……なんというかちゃんと寝るところがあるというだけで凄く気が抜けてしまって。すいません」


「まあ無理もないけどね。家から追い出されて行く当てもなく彷徨ってたんだ。神経すり減らすのが普通だよ。その後私の採掘に付き合ってモンスターと遭遇したりしてたら疲れたでしょ」


 そう言いながら彼女はシャーロットの側まで来て座り、シャーロットの髪を触る。


 優しく髪を触られるのが妙にこそばゆい。だが決して嫌な気はしなかった。


「あれ? もしかしてこういうことされるのは嫌だった?」


 どうやらミレアはシャーロットの様子を見て髪を触られるのを嫌がっていると捉えてしまったらしい。


「嫌ではないですけどその……くすぐったいです」


「あはは、ごめん、ごめん」


 そういってミレアは髪を触っていた手を離す。  


 少し名残惜しいとシャーロットは思った。


「ミレアさん」


「ん? なあに」


「私本当にここにいていいんでしょうか?」


 暗い表情でミレアに尋ねるシャーロット。


 彼女は正直レインズ家で得た魔法や一般的な知識はあるが今日のモンスターとの戦闘やミレアが開発しているという魔道具についてはまったくの素人なのだ。


 今日の戦闘のように役に立てないままではないか、魔道具の面でもミレアの足を引っ張るのではないかという不安がシャーロットの胸を締め付ける。


「シャーロット」


 そんなシャーロットにミレアは諭すように声を掛ける。


「誰だって最初はどんなことに対しても素人よ。最初からそんなふうに考えてたらにもできなくなっちゃうでしょ」


「それはそうですけど……」


 なおもうじうじとした様子のシャーロットにミレアは呆れたのか、彼女のおでこを指でつつく。


「……! いったあ……」


「はい、もうそういうの禁止。最初に言ったように研究を手伝ってくれればここにいていいし、いきなり追い出すような真似はしないわよ。もし今の私の言葉を聞いても納得できないなら戦闘でも魔道具に関しても頑張って自分で居場所を作っていくしかないわ。もちろんあなたがそうするなら私も応援する」


 はっきりと言い切るミレア、彼女のその様子を見て、シャーロットもうじうじすることをやめた。


「……そうですね、ミレアさんの言うとおりです。いろいろ考えるのは一旦やめにします」


 考えるのは後にしよう、今はなにもなかった自分を受け入れてくれたこの人の好意を無駄にしないことが一番だ。


「よろしい、一緒に頑張っていきましょう。あなたがここにいて楽しいと思えるように私も頑張るから」


 シャーロットの言葉にミレアは優しい笑顔を浮かべて答える。


「はい、改めてよろしくお願いしますね、ミレアさん」


 そうして会話を終えたあと、二人は今日の魔法石採掘の疲れを癒やすため眠りに付くのだった。

 ここまで読んで頂きありがとうございます。もし面白い、続きが読みたいと思って頂けたのならモチベーションの維持にも繋がりますので、下の欄の☆☆☆☆☆を★★★★★にしたり、ブックマークして頂けると嬉しいです。

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