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4. 3日目 空き家探し。

 ミノリが転生してから3日目。朝になって目が覚めたミノリは、まずはこの体に染みついた生臭さをなんとかしようと川へ直行し、着ている衣装を脱いで水浴びと洗濯を始めた。


「うぅ……誰も来ませんように……」


 この森で生活するようになってから、人やモンスターはおろか動物の姿さえ見てないミノリだったが、今日もそうだとは限らない。

 急いで水浴びを済ませたミノリは、先に洗濯をして乾かしていた衣装に袖を通し、朝食にかじりつきながら今日はどうするか考えた。


「今日は人と接しようとするのはやめて、もう少しましな寝床を探そう……」


二日連続で人との交流作戦に失敗して心がしょんぼりとしていた上に、就眠時の生臭さと背中への痛みで泣きたくなっていたミノリは、本日は寝床探しをしようと決め、朝食を食べ終えるなり洞窟から外に出た。


「誰も使ってない小屋とか無いかなぁ。せめて雨風をしのげる掘っ立て小屋でも……。でもこんな人の気配がない森の中にそんな小屋なんてあるわけないよね」


と、ミノリが川の上流に向かってなんとなく歩き始めて5分。


「うーん……内心あるはずないぐらいに思っっていたんだけど……本当に建物がと思わなかったなぁ私」


 そこには壁に草が巻き付き、背丈ほどもある草に庭が覆われてしまって若干荒れてはいるものの、掃除や補修をすれば問題なく住めそうな建物があった。川の近くに建っている事もあり、水浴びや洗濯もしやすいという超優良物件だ。なんともまあかなりご都合主義な状態だが……。


「まあ私既に人生詰んでる状態だし、これぐらいいい事があってもいいよね!?むしろあってほしいよ!」


 深くは考えないミノリだった。


 家の戸を開けると、もう何年もの間、誰も足を踏み入れていないとハッキリ分かるぐらいの埃が部屋中に溜まっていた。


「うわぁ……これお掃除大変だなぁ。でもこれで誰も住んでないってわかったし安心して住めるね」


 楽観的にそう考えたミノリは家の掃除を始める事にした。

 家の中には椅子やテーブルなど、綺麗に掃除すればそのまま使えるものが残されており、ベッドや布団、さらには衣装棚に衣類までもが残されていた。


「ベッドとかは誰が使っていたのかわからないからちょっと抵抗あるけど……生臭いのや地べたに寝るよりかは遥かにましだから、うん、日干しして再利用しよう」


 ベッドのマットや布団を外に出して日干しし、衣類も洗濯し終えたミノリは、まだ確認していない部屋を覗いた。


「ここは……、炊事場かな? なにかしら調理器具は残って……うわぁ……」

ミノリが戸棚を開けると中から腐敗したり虫が湧いたりしてしまった見るも無残な食品がいくつも出てきた。さすがにこれは廃棄せざるを得ない。


「うーん……調味料もあるけど……こっちも虫がわいているから捨てよう」


 あとで燃やそうとそれらを外に出してからミノリは次の部屋を覗いた。


「こっちは……あ、お風呂場だ! ……あ、この浴槽、穴空いてる……」


 浴槽を見つけて喜んだのも束の間、穴が空いていて修理をしない限りこれは使えそうにない。今日浴槽を使用するのを断念したミノリは、家中の掃除や家の周りの草刈りを始め、日も暮れる頃になってようやく全ての片付けを終える事が出来たのであった。


「ふぅー、お掃除終わり!」


 満足そうに声に出したミノリは、綺麗にしたての台所でウマミニクジルボアの余り肉を用いて夕飯の準備を開始。その最中……。


「あっ、これで最後になっちゃった。……うーん……、調味料はやっぱり補充したいなぁ」


 行商人の荷物に入っていた調味料が本日の夕飯で底を尽きてしまったのだ。

 しかし、一昨日昨日の人間の反応を見る限り町に行って確保するのは難しい状況だ。


「そのままでもこのお肉おいしいけど……やっぱり調味料あった方がいいなぁ……」


 ミノリは調味料を入手できる方法が無いかを考えながら夕飯を終え、一応人の目が無いか気にしつつ川で再度水浴びと洗濯をし、家に戻ると日干ししたベッドの中へと潜り込んだ。


「ふぁ……すっごい気持ちいい……。やっぱりベッドが一番だよね……」


 そう言いながら目を閉じるとすぐに眠りについたのであった。スヤァ。

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