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177. 16年と8ヶ月目⑧ 騒動と騒動。~梯 -かけはし- ~

「……はい、私がクロムカの事を『守る』とミノリさんに宣言したくせに、組み敷いたあげく、性的な意味で傷つけたという英雄なんて称号が不釣り合いにも程がある、吐き気を催す邪悪な存在ザルソバ・シャリオンです……」


 翌朝、ネメから事の顚末てんまつを聞いたミノリがシャルとネメを伴って、緊張した面持ちでザルソバとクロムカの様子を見に、森の外にある小屋を訪れると、外に出てミノリ達が来るのを待っていたらしいザルソバはミノリ達の姿を視界に入れた途端、完璧な土下座を決めてみせた。


「えーっと……つまり……その、手を出してしまった、と」

「はい、おっしゃる通りです……」


 どうやら、自分がモンスターであると自覚してしまったクロムカがザルソバの元から去ろうとしていた所を引き留め、それでも側にいて欲しいと告白しながら口づけをした上で押し倒し、そのままなし崩し的に()()()()の事までしてしまったそうで、クロムカも顔を真っ赤にさせながらその話をザルソバの横で聞いていたが……。


「ミノリさま、ザルソバさまの事、許してほしいんですの。……それに、ワタシもその……ザルソバさまと体を重ね合わせたら、昨日までの悲しい気持ちが全て吹っ飛んで、幸せな気持ちでとっても満たされた気分ですの……。特にザルソバさまの魔力が私の体に入ってk」

「ク、クロムカそれ以上は言わないでくれ!! 余計恥ずかしくなってしまうから!!」


 おそらくクロムカはザルソバを擁護しようとしての発言だったのであろうが……どう贔屓目に見てもザルソバの心に向けて砲弾を撃ったかのような発言でザルソバは慌てたように顔を真っ赤にさせながら、土下座の姿勢のままクロムカの話を遮り、制止させた。


「えーっと……私としては合意の上なら別に構わないんですけけど……。体格差があるので見ようによってはあれですけど……歳自体は離れているわけじゃないですし、元々2人はお似合いだと思っていたし……というわけで正直なところ、私に土下座する必要も無いと思うんですが……」


 流石にミノリもザルソバを気の毒に思ったのかそれ以上その事には触れるのをためらいながらもそれを口にした。確かにクロムカは外見が12歳の頃から変わっていないらしいために、2人の体格差は若干まずいようにも見えるが、一応クロムカは18歳の成人であり、人間のままであれば、合法的に婚姻が出来る年齢を超えているので全く問題はないのだが……ザルソバは土下座の姿勢を崩さない。


「いやしかし……私はそれだけじゃなく過去にミノリさんに『恋人になりたい』と言ったのにクロムカに手を出したわけで……」

「あー……その事か……。いや、大丈夫だから顔上げて、ね? ……むしろそれ以上されると私の方がいたたまれないよ」


 かつてミノリと恋人になりたいと言った事があるのにこうしてクロムカに手を出したこともとがめられると思ったのだろう。しかしミノリは恋愛対象から外れたことに心密かに安堵していたりする。

 確かにミノリは、前世でこの世界をゲームとして遊んだ時も、ザルソバにあたる女主人公を気に入ったからこそ女主人公を選択したのだが、だからといって女主人公と付き合いたいというわけでは無く、第三者視点で彼女の幸せな結末を見たかったからだ。

 責任を取ると血迷った発言をしたのも彼女が自分のせいで迷惑を多く被らせてしまったからであり、クロムカと結ばれたおかげで、2人は幸せになったという現状がミノリにとってはとても嬉しく、そこに自分が入り込もうという想いも無い。


 そしてミノリはその考えを念押しするかのようにクロムカへ尋ねた。


「……それに、クロムカさんはザルソバさんとそういう関係になれて幸せなんでしょ?」

「はい、ワタシとっても幸せですの……♥」


 万に一つも無かったとは思うがこのミノリの問いに対してクロムカが悲しい顔をしたら流石にミノリもザルソバに対して憤怒したであろうが、ミノリの問いかけに対して、クロムカは顔を火照ほてらせながら嬉しそうに微笑んだ。だから全く問題は無い。


「ほら、ザルソバさん。クロムカさんがこんな風に幸せなわけだからこの話はこれでおしまい。ほら、もう立って。……ネメとシャルも構わないよね?」

「構わない。むしろ、綺麗に収まって私も安堵」

「はい、私も構わないです。だけど、昨日みたいにクロムカさんを絶対一人にはさせないでくださいね?」


「う、うむ。それは必ず約束しよう。私はこの未来さき、クロムカと共に生き、片時もそばを離れないようにするとミノリさんたちに誓わせていただく」


 ミノリ達やクロムカの言葉を受けて、ようやくザルソバも自分を許したようで、すくっと立ち上がり、握りしめた右手を胸元に掲げるとミノリたちに向け、そう宣言した。

 これでもうザルソバとクロムカの件は大丈夫だろうと、ミノリは胸をなでおろしかけたのだが……2人が結ばれるのなら解決した方がいい問題があった為、ミノリはそれをザルソバに尋ねる事にした。


「だけどザルソバさん、これから住む場所はどうするんです? クロムカさんと共に歩むと決めた以上、このまま森の外の小屋に暮らし続けるのは無防備で危ないと思うんですよ。あの小屋、結界魔法も何もかかってないようですし」

「う、うむ……実は私もそれを懸念していて……。町に住むことも一瞬だけ考えてみたのだが……先日行ってわかったよ。多分私があそこに再び住んでしまったら……私の心が死ぬと」

「あはは……」


 それは住居の問題である。ここはそもそも町の中でもないので普通に家の周りをモンスターが徘徊するほどに無防備な場所なのだ。その上、結界魔法といった防犯に向いているような魔法がかかっているわけでもないので、モンスターだけでなく、空き巣や強盗が押し入ってくる可能性もある。

 さらにザルソバは世界を救った英雄でもある以上、世界中からあらゆる猛者が腕試しにやってくる可能性も考えられる。そうなると他人からはモンスター扱いのクロムカと同棲している事を知られてしまう可能性も高く、2人は平穏なふうふ生活を営めなくなってしまう可能性が非常に高い。


 では安全面と便利さを取ってキテタイハに住むかと問われると……先日行った際に現人神あらひとがみ扱いを受けてしまい、ただただ苦笑いを浮かべるしかなかったザルソバが首を縦に振るとはミノリも思っていなかったし、実際にザルソバは首を横に振った。


 それでは2人はどこに住めばいいのか一頻ひとしきり考えたミノリだったが、おそらく現状で最適解である答えを口にした。


「……いっそ私たちの家の隣にでも家を建てて住む? ちょうど家の真ん前にある小川の対岸側は空き地だし……。ネメとシャルも別に構わないよね?」


 それはミノリ達と一緒に森の中に家を建てて住むのはどうかというものであった。


「なるほど、私もそれで構わない。多分トーイラやリラもいいと言うと思う」

「私も構わないですよ。それにノゾミだってきっと喜びますよ。2人が近くにいるととても嬉しそうな顔をしますし……親として少しだけやきもちしちゃうけど」


 ミノリはその案をザルソバに提案してみると、横でそれを聞いていたネメとシャルもそれがいいとミノリの意見に同調した。


 そうなるとあとはザルソバとクロムカの返答次第だ。


「そうさせてもらえるととても大助かりだが……いいのかいミノリさん?」

「はい、大丈夫ですよ。……ただ、私やネメやトーイラと手を繋いでないと入れない難点がありますが……」


 ザルソバもその提案に前向きであるようだったが……今ミノリが口にしたようにこの森に住むにあたっての唯一の難点があり、それがミノリ達以外は自由に行き来するのが難しいと言うことだった。

 この森はそもそも没イベントが用意された没マップであり、その没イベントの関係者であるミノリたちしか中に入れない。

 その為、この森へ入ろうとする度にミノリたちと手を繋がないと中に入れないという難点がある事をミノリは伝えてみると、ザルソバは『あー……』と、何か言いにくい事があるかのように頬をいてから言いにくそうに言葉を紡いだ。


「えっと、確かに私も最初は入れなかったんだが……ネメさんとシャルさんの娘さんであるノゾミちゃんが生まれてしばらく経ってから、いつの間にかすんなり森の中へ入れるようになっていたんだ。

 ……まぁ私は森の外でミノリさんの事を守ると誓った以上、入口付近よりも奧に入る事はしなかったが……」

「え!? そうなの!?」


 どうやら、ザルソバはいつの間にかこの森を自由に行き来できるようになっていたようだ。そして、それはどうやらザルソバだけでなかったようで、ザルソバの横にいた小さい少女もおずおずと手を挙げながらザルソバに続けるように言葉を繋げた。


「あのミノリさま……実はワタシ、最初にノゾミさまに連れてこられた時も手を繋いでたわけじゃなくて、ノゾミさまが先導してくれていただけだったから……最初から手を繋がずに入れたという事になりますの」

「クロムカさんもなの!?」


 その上クロムカも同様に自由に行き来が出来ていたようであったようだ。


「そっかぁ、2人も自由に入れるって事は……うん、それだったら尚更森の中に住んだ方がいいね。早速案内するからついてきて」



 何故2人が森に自由に入れたのかその理由がわからなかったが、それは兎も角として森には入れるのならば話は早いと、ミノリ達は森の中にきょを構えることとなったザルソバとクロムカを連れて、森の中へと引き返したのであった。



 ******



「──というわけで、不思議なことに森の中にはモンスターだけでなく、動物も一切出ないんですよ。私たち家族以外の者も入れないみたいなのでおそらく2人が住む場所としては最も安全だと思います。……まぁ、自給自足になってしまいますけど」

「そうなのか……ふむ。自給自足は問題ないから……やはりここが一番良さそうだ。助かるよミノリさん」

「ワタシもありがたいですの。それに、ごしゅ……ノゾミさまと頻繁に会えるのもワタシは嬉しくて……」


歩を進めながらこの森について説明するミノリ。嬉しそうにその話を耳を傾けるザルソバとクロムカであったが、その実ミノリは内心では一つの悩みを抱えていた。


(とりあえずザルソバさんとクロムカさんの件は大体解決したけど……結ばれたことで逆に解決が困難になってしまった問題があるんだよなぁ……どうしよう。

 ノゾミがどこかからもってきた雑誌に書かれていた続編の世界と今の状況……このまま繋がらないよ……)


 それはノゾミがどこかからもらってきたゲーム雑誌に載っていた内容と現状でつじつまが合わなくなってしまっていた事だ。

 雑誌に載っていた続編の主人公であるザルソバの娘は光属性であり、ザルソバがゲーム本来の流れに沿って光の祝福を与えられて光属性になっていれば全く問題がなかったのだが、この世界のザルソバは光の祝福を与えられなかった関係で本来の土属性のまま。

 つじつまを合わせるのなら光属性を恋人にしなければならなかったのだ。


「ねぇ、シャル。クロムカさんはモンスター化したって事は……クロムカさんは闇属性という事……だよね? 死霊使いだし……」


 念のためミノリが、パッと見ただけで相手の属性がわかる能力を持っているシャルに半ば諦めながら尋ねると……返ってきたのはミノリにとっては意外な答えであった。


「え? 違いますよお姉様、クロムカさんは光属性ですよ。多分洞窟にずっとこもって外に出なかったのが功を奏したんでしょうね。

 モンスター化した直後の属性が不安定な時期に外に出ていたら確実に死霊と触れていたので、1年と経たずに闇属性に変化ていたと思います。

 それに……モンスター化して何年も経ってしまっているからか肉体も完全にモンスターの肉体へ変化して属性も肉体と魔力どちらも光属性として固定されているようですので、恐らくザルソバさんの魔力をクロムカさんの体内に注ぐ形にすれば、私とネメお嬢様の時と同じように子供もつくれますね。きっと」

「え?そうなの!」


 それを聞いたミノリは驚いたように目をみはった。

 クロムカは闇属性だと思っていたら、光属性であり、さらにザルソバと子供を為せる可能性がある。

 かなりの綱渡りではあったが、なんとか続編に繋げられそうな事に安堵したミノリだったが……シャルから続けて出た言葉にミノリはさらに驚愕してしまった。


「……といいますか、クロムカさんはもうお腹に子供を宿してませんか……? 種族が私とは異なるので私の時みたいに数ヶ月で生まれるかどうかまではわかりませんけど……」

「「!?!?」」


 その言葉を聞いた全員は目を点にさせるとクロムカのお腹に視線を向けた。クロムカも、また、驚いたように自分のお腹を見つめている。


「ほ、ほんとですのシャルさま。ワタシのお腹に……ザルソバさまとの子供が……?」

「ちょっと待って、確かめてみる。……索敵魔法」


 動揺するクロムカに対して、急いで確認しようとネメが索敵魔法を唱えてみると……確かにクロムカの体内からクロムカとは異なるもう一つのとても小さな反応が返ってきた。


 索敵魔法は生体に反応する為、まだ人かモンスターかは不明だが、反応しているという事は……ザルソバは一晩でクロムカを妊娠させたという事になる。


「……え、ネメとシャルの時ってかなり日数掛かったというのにザルソバさんってば一日でクロムカさんの体内に魔力を溜めきっちゃったの……?」

「どれだけの魔力が一晩のうちにクロムカさんの体内に注ぎ込まれたんでしょうか……」

「……私とシャルですら2年もかかったのに。ザルソバ、すごく腹立つ」


「ま、待ってくれミノリさん、シャルさん、ネメさん!!? なんでそんな視線を私に向けるんだ!? クロムカも何か言ってくれないか!?」


「そっかぁ…ワタシ、ザルソバさまとの子供……できちゃったんですのね……嬉しい……。ワタシ、人間のままだったら一生それができなかったはずですので、モンスターになってしまったのが逆に良かったと思えてきたんですの。ザルソバさま、すぐに生みますからもっともっと子供つくりましょう!! もっといっぱいザルソバさまに愛してもらいたいんですの!! もっとワタシを孕まs」

「クロムカ、ちょっと落ち着こうか!? 君、もしかして誘い受けタイプだな!?」


 各々(おのおの)反応が異なったが取りあえずクロムカを除く全員がドン引きしたような顔でザルソバを見つめたのであった。


 世界の理がつじつまを合わせようとした結果なのか、主人公補正の結果なのかは謎であるが……それは兎も角、クロムカがザルソバとの間に光属性の子供を妊娠し、ノゾミと2歳違いになる幼馴染が生まれることがほぼ確実になった事で、ミノリは無事に、続編の世界へと物語を繋げる事が出来たようだ。


 その事に対しては安堵する一方、続編の世界に綺麗に繋がったことで、雑誌に書かれていたものの意図的にスルーしていたあの記述がミノリの心に重くのしかかってきた。


(あー、だけどやっぱりあれかなー! ノゾミが誰かからもらってきたゲーム雑誌に主人公が住んでる場所が『女神の森』って書いてあったけど、やっぱりそれって『この森』って事だよね!?

 そしてこの『女神』が指しているのってやっぱりあれかな、私かな!? そしてザルソバさんとクロムカさんが自由に森に入れるようになったのは、2人が続編の主人公の肉親で関係者に含まれるからかな!! ノゾミの幼なじみって書いてたし!!)


 ミノリはそうなるとは絶対に思いたくなくて敢えて目をそらしていた『ノゾミと続編主人公は【女神の森】に住んでいる』と書かれていた事、その女神が自分を指すのでは無いかというミノリとしては目を反らしたかったことが徐々に現実味を帯びてきたことに対し、思わず心の中で叫んだのであった。



 ******



「──というわけで、ザルソバさん達は隣……というか家の前にある小川の対岸に家を建てて住むことになったけど……トーイラとリラも構わないよね?」

「あ、そうなんだねママ。うん、私はそれで構わないよー」

「あたしも……この森が賑やかになるのもそれはそれで嬉しい……」


 ……その後、ザルソバの新居などについては、過去にミノリにバレないようにこっそり増築していた前科があるネメに任せ、先に家の中へと戻ったミノリは、留守番をしていたトーイラとリラに、ザルソバとクロムカが隣に家を建てることを話すと、2人もそれを承諾してくれた。


 ちなみに、それを聞いたトーイラが『対抗馬がいなくなったのでこれで安心してママを狙うことができる』という趣旨の言葉をポツリと口にしたような気がミノリはしたが……多分気のせいだろうと自分を強引に納得させる事にしたのであった。

 基本的に大人の対応(聞かなかった事に)しかできない、それがこの家の大黒柱であり、小心者のミノリなのだ。


 そんな風にミノリが超法規的措置(聞こえないふり)を決め込んでいると、トーイラが何かを思い出したように『そういえば』と口にしながらミノリに尋ねた。


「そういえばママ、実は私の視界に見えていたはずの【四角い板】が急に見えなくなったんだけど……昨日と今日の出来事って関係あったりするのかな?」

「え!? あ、私のも消えてる……あぁ、なるほど。……続編の世界に移ったからこれで私たちはお役御免になったからかな……」


 トーイラから言われて慌てて自分の視界をこらしてみたが、確かにミノリの視界からも【四角い板、すなわちゲームウインドウが】綺麗さっぱり無くなっていた。

 ちなみに後でネメにもミノリが確認すると、やはりネメの視界からも【デバッグモード】以外の【ゲームウインドウ】が、同様に消えて見えなくなったそうだ。


 それを聞いたミノリは、昨日と今日起きた事を振り返り、どうやらクロムカに関するイベントフラグがずっと残っていたからこの世界の根幹と呼ぶべき部分が『まだゲームは終わっていない』と判断して【ゲームウインドウ】を出し続けていたのだと推測した。


 そして、昨晩、ザルソバがクロムカを押し倒して、魔力がクロムカの体内へ送り込んだ事によって、クロムカの魔力とザルソバの魔力がクロムカの体内で混ざり合い、同一人物と判定されたことで、この世界に唯一残っていたボスモンスターのクロムカはザルソバに倒されたとみなされた。

 その上、続編へと繋がる『光属性でノゾミと2歳違いのザルソバの娘』の誕生も確実となった事から、すべてのイベントが終了して続編の領域に踏み込んだとこの世界の根幹とも呼ぶべき部分が判断した事で、前作としての【ゲームウインドウ】が役目を終え、続編では出番が無いのであろうミノリたちの視界から消えて見えなくなったのだろうとミノリは察した。


(となるとこれからは……ノゾミ達の物語になっていって……私は無事、ノゾミ達へと繋げるかけはしの役目を果たせた……のかな)


 そして、これから未来さきはノゾミとこれから生まれてくるザルソバとクロムカとの間に生まれてくる娘の役目で、彼女たちの物語がこれから始まっていくのだと、ミノリは改めて実感したのであった。



「──四角い板……ってあれかな……。あたしの視界には最近うっすらと見えるようになったけど……」

「え、そうなの!?」

「あ、やっぱりそうなのリラ? だよね、こないだ光る剣を出せるようになったからもしかしたらって思ったんだよ」



……ミノリとトーイラの話を横で聞いていたリラがポツリとつぶやいたが……リラの視界にゲームウインドウが見えるようになった理由はその後、ミノリが改めてゲーム雑誌をじっくり見直した際に判明するのであった。


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