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不穏な国際情勢

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 久々に、アンナの夫のフレゼリクと酒を飲んでいると、フレゼリクは甥のクリスチャンについて愚痴を溢していた。

 デンマーク王ハンスの王太子であるクリスチャンは兄のヨアヒムへ嫁いだエリサベトの兄である。

 クリスチャンについての話を聞くと、彼はよく宮廷から逃げ出し、若い荒者達とつるんでいるらしい。

 そして、罪もない市民を脅したり、良家の娘達を乱暴したりしているそうで、デンマークの王宮には苦情が寄せられているとか。また、1502年には、ノルウェーに復讐のために出兵したらしい。過去にノルウェーで悪さをして、ノルウェーの人たちと揉めたのだろう。

 その出兵では、デンマークの圧政に反対し、暴動を起こしたノルウェー民を、罪の有無に関わらず虐殺したそうだ。斬首され、四つ裂きにされた死体が、血の海の中を次々に運ばれていったという。

 更に、いかがわしい安宿に宿泊し、狙った女性達を追いかけまわして手当たり次第に乱暴したそうだ。最早、将来の王としての資質が無いような気がするんだが。

 フレゼリクの兄のハンスも頭を抱えているそうで、国中の貴族たちから苦情が来ているらしい。

 フレゼリクには秘密裏に次の王はフレゼリクがなるべきだと接触してくる貴族もいるとか。デンマークもなかなか不穏な様子だ。シュレースヴィヒ=ホルシュタインが平和なのが唯一の救いだ。

 アンナとフレゼリクの夫妻は、最近はドイツに近いボルデスホルムの町がお気に入りのようで、領地巡回の際には良く滞在しているようだ。平和って良いなぁ。


 ここ数年で騒がしいのはイタリア半島であった。

 ローマ教皇アレクサンデル6世が、フランスの支援を受けて、カテリーナ・スフォルツァの治めるイーモラ及びフォルリへ向けて進軍したのを始まりに、イタリア半島は戦乱の世となってしまう。

 アレクサンデル6世の息子たちによって、イタリア各地の攻略やナポリとの戦いが断続的に行われていた。アレクサンデル6世下のバチカンは腐敗と汚職にまみれ、ローマの治安は最悪な状態らしい。

 そんなアレクサンデル6世は、トルデシリャス条約を承認した教皇なので、個人的には憎たらしいおっさんである。

 アレクサンデル6世は、1503年に亡くなったことで、息子のチェーザレ・ボルジアは後ろ楯を失ってしまう。その後、チェーザレ・ボルジアは、後押ししたユリウス2世に裏切られ、虜囚の身になってしまったらしい。

 これで、イタリア半島が落ち着いてくれると助かるんだが、フランスがイタリア半島に影響力を持ってしまったので、不穏な状況は変わらないな。



 そして、イベリア半島も現在は不安定な状況にある。

 イベリア半島のカスティーリャ=アラゴンは、1497年にハプスブルク家と二重結婚を行った。

 カトリック両王の王太子フアンがハプスブルク家のマルグリットと結婚したのだが、世継ぎが生まれる前に逝去している。

 カトリック両王の後継者は、1498年に長女イサベルが再婚後に産褥死し、その遺児ミゲルも1500年に夭折してしまった。

 そのため、次代の王位は次女のフアナとなる。

 そもそも、カトリック両王の子供たちは、不幸な境遇が多く、末娘のカタリナは、1501年11月に、イングランドの王太子アーサーと結婚したが、翌年の4月に死別している。

 そこでイベリア半島に帰っていれば良かったのだろうが、イサベルは、第二次イタリア戦争におけるイングランドからの支援を期待して、カタリナをイングランドに留まらせていた。

 1504年、第二次イタリア戦争での勝利を理由に、カタリナとアーサーの弟のヘンリー王子との再婚を決め、カタリナの将来におけるイングランド王妃の地位を確保したが、どうなるか分かったものではない。


 そんな不穏な国際情勢の中、1504年11月26日、バリャドリッドのメディナ・デル・カンポの王宮にて、カスティーリャ女王イサベルは薨去したのだった。

 女王イザベルの死は、ヨーロッパ全体を驚かせるとともに、国際情勢の更なる暗雲をもたらすこととなったのであった。

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