変化する世界
「じゃあ5時に前袋公園に集合な。」いつもの調子で裕樹が確認する。多田裕樹とはこの大学で出会った。学籍番号が近かったのもあり、なんだかんだで気が付けば一緒にいるようになった。明るくて人見知りしない性格で、誰とでも仲良くなれる。俺の方は結構人見知りだが裕樹といるおかげで、友達はそれなりにいる。
「裕樹は自転車だよね。私はどうしようかな。昌は?」
俺の顏を覗き込むようにして聞いているのが佐々木優衣。笑顔が可愛い小柄な女の子だ。愛嬌があり、学部の中でも結構モテる。
「俺もチャリかな。電車なくなったら帰りが面倒だし。」
「夜に一人で自転車漕いで帰るのちょっと怖いんだよね。」
「じゃあ2人で優衣の家までおくっていくよ。昌も大丈夫だよな?」
「どっちにしろ方向一緒だしな。裕樹は逆だけどいいのか?」
「昌もか弱い男の子だから俺が守ってあげなきゃ。」
「なんでだよ。」笑いながら答える。
「そうそう。この間行ったお化け屋敷でも怖くて進めてなかったじゃん。結局みんなで手を繋いで進んだし。」優衣も同調する。
「あれはマジで怖かったんだって。裕樹はともかく優衣もめちゃくちゃビビってだじゃん。」
「私は本当にか弱い女の子だもん。」ちょっとふくれたように優衣が反論する。
「まあまあ。とりあえず5時に集まって、明るいうちからゆっくり飲みますか。帰りはみんなでチャリに乗って帰ろう。手を繋いで。」
「転けちゃうよ。」優衣が突っ込む。
「でも分かった。自転車で行くね。」
「オッケー。」俺も答える。
「じゃあ一旦帰って行くから。また後でな。」裕樹がそう言って手を振る。
「私も帰ろっと。じゃあねー。」優衣も続く。
「じゃあな。」そう言って一人残された俺も帰宅する。