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01 サンドバッグという名の男
「くっそー。 痛え……」
恐らく痣になるであろう顔の傷に触れながら1人呟く。
俺は一体誰だって?
俺は佐久間圭人。
友から慕われ、成績優秀、運動神経抜群。
おまけに誰もが2度見するような可愛い自慢の彼女がいる。
__なんて高校生活を夢に見ていたのに、気づいたら全く反対の道を歩みはじめていてもう心がバッキバキに折れている高校1年生だ。
「クソォォォォォォ!! こんな高校生活望んでなかったんだよぉぉぉぉぉぉ!!! 俺が何をしたぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
誰もいない道で叫ぶ。
すると、目の前に見慣れた黒い炭酸飲料の缶が落ちていた。
柄にもないと分かっていながら俺は、それを力いっぱい蹴っ飛ばした。